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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2012年06月01日

観光都市TOKYO 

ヒット商品応援団日記No526(毎週更新)   2012.6.1.

今年のGWは国内、海外を問わず、数年ぶりの観光移動が見られた。昨年の3.11以降小売りレベルの消費現場では少しづつ回復し、昨年秋からは順調に推移してきた。そして、今年に入るとリーマンショック以前の高い消費、時計等の高額商品も動きを見せるようになった。その証左であろうか、今年のGWは被災地東北を含め多くの観光客が訪れ旺盛な消費を見せた。そうした観光地で群を抜く集客を見せたのが観光都市TOKYOである。
特にTV局による過剰な事前報道によるものであるが、、東京の新名所となった東京スカイツリーには連日20万人超の観光客が押し寄せた。実は東京スカイツリーの下にある東京ソラマチのお土産を含めた商業施設を見てからこのブログを書こうと思ったが、あまりの混雑のため時間をおいてからにすることにした。

4月19日には東京台場に新たな商業施設「ダイバーシティ東京 プラザ」がオープンした。「劇場型都市空間」というコンセプトの下、、ショッピングだけでなく、遊び、くつろぎ、驚きや感動を体感してもらえるような“東京の新名所”を目指している。なかでも話題になっているのが、人気アニメ「機動戦士ガンダム」の世界を体感できる常設型エンターテインメント施設「ガンダムフロント東京」など154店舗が入る商業施設である。デベロッパーによれば、初年度の集客数2500万人、売上は300億円を見込んでいるとのこと。
4月26日には渋谷の新しいランドマークとして「渋谷ヒカリエ」がオープンした。渋谷におけるエリア間競争を勝つことを目的に、「大人の都市生活者」に向けた大型商業施設である。例えば、インテリア関連ショップとしてコンランショップは既に日本にも進出しているが、テープルウエアなど暮らしの雑貨関連を集めた日本では初めてショップ等新しい特徴的な商業施設だ。ちなみに、オープン2日間で約20万人が来館し、3億円弱の売上を挙げたとのこと。
首都圏という広域で見ていけば、4月13日には千葉県木更津に巨大なアウトレットパークがオープンした。年間来場者数500万人を見込んだ大型商業施設で、「BOSO CITY RESORT」をテーマに、屋上にオーシャンビューテラスを設けるなど、海沿いの立地を生かしたリゾート感のある開放的な空間が特徴。子供向けの遊び場や大人も遊べるパターゴルフ場、ペット連れの買い物客向けの「ドッグレスト」など、長時間滞在したくなる施設も設けられている。

そして、5月22日にオープンしたのが東京スカイツリー、東京ソラマチである。当然と言えばその通りとしか言いようがないが、634m世界一の電波塔の眺望という話題に集まった観光客によるゴミ捨て、違法駐車・駐輪等マナーの悪さ、あるいはタワーの写真撮影をするために住民の土地に無断で入ったり、・・・・・そんな人間をも集客する現実に押上周辺の住民は予想外であったようだ。また、周辺の商店街はどうかと言えば、スカイツリーの「あやかり商法」もそれほど商売になっていないと既に嘆きが始まっているいう。
そもそも「スカイツリー狂想曲」は、東京スカイツリーがある業平橋(なりひらばし)という駅名を東京スカイツリー駅に改名したことに象徴されている。高校の教科書に出てくる周知の話しであるが、伊勢物語の「東下り」に、在原業平たち一行が隅田川で渡し船に乗る場面がある。その業平にちなんだ名前である。そうした歴史を引き受けていた駅名を東京スカイツリーに改名したということは、墨田区も周辺住民も勿論デベロッパーである東武鉄道も大賛成し、「新たな街づくり」を目指したということである。
しかし、東京スカイツリー、東京ソラマチを見てもクローズされた建物で、周辺エリアを回遊させる導線や仕組みがまるでない。どちらかと言えば、東京ディズニーランドのような「完結」した閉じられた商業空間となっている。集まった観光客は建物内で眺望を楽しみ、食べ、お土産を買い、そして帰るだけである。東京ソラマチのコンセプトは「新下町流」であるが”街起こし”というエリアの視座はまるでなく、単なる普通の商店街である以上、周辺エリアを回遊し、経済効果も当然期待しえない。残るのは展望台に上がれなかった多数の観光客が残すゴミの山だけである。

東京タワーを「Always三丁目の夕日」が描いたように、あらゆるものが荒廃した戦後日本の復興のシンボル、夢や希望を託したタワーであったのに対し、東京スカイツリーにはそうした物語はない。あるのは世界一高い634mのタワー、その眺望である。しかし、それでも人が押し寄せるのは東京が複合的テーマパ−ク、観光都市として存在しているからである。
東京に象徴される都市商業を舞台化することによって更に世界中から集客する時代となった。その舞台空間は非日常的でそこに繰り広げられる、新しい、珍しい、面白い、そうした刺激に酔うことになる。
ちょうどそんなタイミングをはかったように、LCCのエアアジアから就航記念特別運賃の発表があった。成田ー新千歳、那覇が片道5円。時間に余裕のあるシニアやファミリーといった未開拓市場を狙ったものだが、その本質はアジアからの観光客を狙ったものである。従来の銀座や秋葉原に加えて、東京スカイツリーや台場エリアも観光スポットになったということだ。千年の歴史・文化をたどる京都や奈良観光はいわば楽習旅行であるのに対し、都市観光はTOKYOという巨大遊園地のジェットコースターに乗るような刺激的なエンターテイメン観光といえるであろう。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 12:33│Comments(0)新市場創造
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