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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2011年12月16日

2011年ヒット商品番付を読み解く 

ヒット商品応援団日記No521(毎週更新)   2011.12.16.

2005年夏に始めたブログも6年半近く経過した。スタート当初は理屈の多いブログであったが、次第に「消費の変化」を通じて、経済ばかりでなく、社会や文化の変化・推移を見ていくといったスタイルへと変化してきた。そのなかでも、日経MJのヒット商品番付は全てではないが、時代を映し出しているものの一つである。
ところで2011年上半期には東西横綱に該当するヒット商品はないとした日経MJであるが、今年の横綱をはじめ主要なヒット商品は以下とした。

東横綱 アップル、 西横綱 節電商品
東大関 アンドロイド端末、    西大関 なでしこジャパン
東関脇 フェイスブック、西関脇 有楽町(ルミネ&阪急メンズ館)
東小結 ミラーイース&デミオ、   西小結 九州新幹線&JR博多シティ

2011年度の新語流行語大賞、あるいは世相を表す恒例の一文字「絆」も東日本大震災に関連したものばかりである。つまり、ライフスタイル価値観そのものへ変化を促すほどの大きな衝撃であったということだ。西の横綱に節電商品が入っているが、例えば扇風機を代表とした節電ツールや暑さを工夫した涼感衣料が売れただけではなく、今は暖房こたつや軽くて暖かいダウンが売れている。震災時に電話が通じない状態のなかで家族と連絡を取り合ったFacebookといった情報端末やサイトの活用。震災復興の応援ファンドにツイッターが使われたこと等、スマートフォンやタブレット端末も震災との関連で大きく需要を伸ばすこととなった。

震災から9ヶ月既に年末商戦に入っているが、百貨店を始めほとんどの流通のテーマは世相を表す「絆」ではないが、人と人とを結びつける商品や場づくりとなっている。阪神淡路大震災の時と同様に、東日本大震災後婚約指輪が大きく需要を伸ばした。こうした消費は一つの象徴であるが、母の日ギフトや誕生日ギフトなどいわゆる記念日消費に注目が集まった。
あるいは家族や友人といった複数の人間が一つ鍋を挟んだ食事は、家庭でも居酒屋でも日常風景となった。こうした傾向、「絆消費」は一過性のものではなく、今後も続くであろう。そして、前回も書いたが「国民総幸福量」の国、ブータンの国王夫妻の来日は、人と人との絆、その精神世界にこそ幸せがあることを再確認させてくれたということだ。

日経MJでは取り上げていなかったが、東日本大震災によって新たに生まれた市場が自己防衛市場である。「絆」とは真逆のように見えるかもしれないが、自然災害などに対しては自らを守る志向が極めて強く出てきている。防災グッズは言うに及ばず、電気自動車を蓄電池代わりとする。帰宅難民化に対処するために自転車が飛ぶように売れ、避難住宅にもなるとしてキャンピングカーまで売れ行きを伸ばした。また、主婦感覚とでも言うべきなのか、賞味期限の長い日持ちする商品が売れている。ソーセージなどがその代表であるが、従来鮮度価値の日配品と言われてきた牛乳やお豆腐にも賞味期限の長い新商品が出てきた。こうした商品以外にも、レトルト食品や缶詰も再認識されている。
ところで、液状化を恐れ売れ行きが難しいとされた東京湾岸の高層マンションが意外にも好調な売れ行きを見せている。液状化への更なる地盤対策、あるいは地震による周期地振動対策、・・・・・多くの教訓を踏まえたものであるが、なんと言っても都心から歩いて帰宅出来る点が再認識されたようである。

また、福島原発事故による放射能汚染に対する自己防衛策は子育て中の母親を中心に防衛のための活動が活発化した。放射能汚染が広範囲に渡ることが明らかになった3月末、私は放射能の線量計がヒット商品になるとブログに書いたが、残念ながら現実のものとなってしまった。そして、汚染された農畜産物、水産物といった食への不安は、二転三転する政府の安全基準にあって自ら基準を持つ生活者が増えてきた。
マスメディアを含め、「風評被害」という一言で全て片づけてしまうが、こうした「不確かな情報」こそが、風評を産む原因になっている。やっとここ数ヶ月前から「汚染の見える化」が小売店頭において始まった。繰り返し言うが、命にかかわるような重要なことで、しかもあいまい・不確かであった時、うわさは生起し、しかも連鎖し続ける。その連鎖の先は元となった情報とは全く異なったものとなる。それを私たちはうわさではなく、デマと呼んでいる。

ところで東日本大震災の衝撃によって見失いがちの消費がある。それは西関脇に入った有楽町(ルミネ&阪急メンズ館)であり、九州新幹線の開通による効果も踏まえたJR博多シティという2つの商業施設である。特に、有楽町ルミネについてはその出店専門店の顔ぶれを見てそれなりの売上をあげるであろうと思っていたが、旧西武百貨店との時とは全く異なった館内レイアウト&動線のつくりがプロの目から見てもうまくつくられていると感じられる。特に、A館とB館をつなぐ動線のつくり方などがそうで、従来のおおざっぱな売り場づくりとは正反対のディテールにも美意識が感じられるものとなっている。また、JR博多シティを見てきた友人の感想であるが、九州ならではの未だ知られていない食の専門店がかなり出店していて、金太郎飴の如き顔ぶれの専門店集積SCとは一味異なっているとのこと。両SCは勿論コンセプトも異なるものであるが、次なる消費を踏まえていることは間違いない。
3.11以降いくつかの商業施設を見てきたが、東京においては11月ぐらいからかなり旺盛な消費が見られ始め、この12月に入り、昨年より良い売上の商業施設も出てきている。年末には2012年度の消費傾向をまとめの意味を含め書いてみたい。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 10:47Comments(0)新市場創造