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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2017年05月21日

相次ぐ値下げが意味するもの 

ヒット商品応援団日記No678(毎週更新) 2017.5.21.

ローソンに続きファミリーマートも日用品の一部商品を値下げすると報じられた。既に先月セブンイレブンが値下げに踏み切り、これで大手三社が競って値下げに踏み切ったわけであるが、これは昨年夏ユニクロの柳井社長の決算発表時のコメント、「デフレも悪いことではない」というデフレを前提とした経営の必要を話したことから既に値下げは始まっている。繰り返しになるが、今年に入り無印良品も大幅な値下げを行い、業績は好調である。マスメディアは相変わらず生活者の「節約志向」によるものだとまるでわかってはいないが、前々回のブログにも書いたが、「デフレ」なる言葉は意味を持たない言葉になった。つまり、「安さ」「お得」は当たり前の日常になっている時代にいる。周知のようにスーパーなどの量販店と比較し、コンビニは少し高めの価格設定をしており、便利さ=コンビニエンスが最大の売り物とした業態からの進化で、消費生活全体の中心、核となる「プライスリーダー」、更には新しい業態としての「マーケットリーダー」をも目指した動きであると、私はそう考えている。

確か今から5年半ほど前であった思うが、最後の1店となった埼玉のファミレス「すかいらーく」が閉店したとのニュースを聞いて次のような内容のブログを書いたことがあった。
『ファミレス業態全てとは言わないが一つの時代を終えようとしている。ていねいに顧客を見てメニューが用意できるフレキシブルな業態が支持を得る時代だ。そのシンボル的存在が餃子の王将であろう。あるいは寿司屋の概念を根底から変えた回転寿司が今やファミリーレストランとなった。』
当時はファミレス苦難の時代で、それまでの客単価1000円という価格帯市場が崩壊した頃であった。埼玉のすかいらーくは客単価750円のガストへと業態転換した最後の1店であった。そうした意味を踏まえ「一つの時代を終えた」と表現した。そして、大手ファミレス3社で約500店舗の閉鎖へと向かうのである。

今回のコンビニ各社の値下げはドラッグストアやスーパーとの価格競争、同じ業態であるコンビニ同士の競争もあるが、いうまでもなく消費者の「価格意識」を踏まえたものである。今から5年ほど前に急成長し始めたインテリア専門店のニトリのリーダーである似鳥社長がTV局のインタビューに応えて、「20%程度の安さでは消費者は動かない。30%になると消費へと向かう」とその消費心理を明確にしていた。それまでの「価格帯市場」は、コストパフォーマンスという満足度を前提にしたわけあり「割引率市場」「お得実感市場」へと転換したということである。

コンビニにおけるMD開発競争は、「食」でいうならばおむすびや弁当をスタートに、麺類、スイーツ、揚げ物、コーヒーとドーナツ、惣菜類、生鮮商品、といった分野で主要な「食」の領域を網羅し多くのヒット商品を生み出してきた。先日、大手商業施設デベロッパーの顧問の方とも話したのだが、スーパーや惣菜専門店は言うに及ばず生鮮三品の専門店すら競争相手はコンビニであると幹部担当者に認識を変えるように指摘をしてきたという。少し現場に偏った話になるが、例えばコンビニは鮮魚専門店には遠く及ばないと言われてきた。それは旨みや鮮度の目利きの難しさがあってのことだが、一方消費者の志向として「魚離れ」が進行している。つまり、刺身類は別として、調理済みの魚、焼き魚や煮魚は手間がかかり避けて通ってきたことによる。逆に「手間をかけている」鮮魚専門店やスーパーは成長しており、出店要請の大きな基準の一つしているとも。実はこうした調理の「手間」をかけ、チルド商品として開発し始めたのがコンビニというわけである。これは野菜も同様で、物流技術の改良を踏まえた鮮度維持された「サラダ」や「サンドイッチ」など、顧客の「手間」を代行し、しかも安価な価格で提供し始めている。こうした安価な安定供給を可能としているのは、国内外における生鮮三品の工場生産=工業製品化の進行と並行したものであるが。こうしたことから、これからの競争の軸はコンビニであると語っていた。
従来は、大手牛丼チェーンやファストフードチェーンだけがコンビニを意識してきていたが、そうではない時代を迎えているということだ。

ところで宅急便のヤマトを始め急増する宅配需要に議論が集まっている。そのきっかけは通販最大手のアマゾンの急成長に従来の再配達を含めた丁寧なサービスと安価な費用では難しくなってきたことによる。解決策として、既に実施されてきているマンションや駅における宅配BOXの設置などあるが、その普及は設置場所の確保などから時間がかかり、また再配達についても別途料金を設定したらどうかなど、多様な議論がなされている。
そうした議論の中心にはやはりコンビニが果たす役割は極めて大きい。周知のように全国のコンビニ店舗数は中小を含めると約58000。従来のコンビニ商圏は一般的には500メートル圏、人口3000人と言われてスタートしたが、その商圏はどんどん小さくなってきている。勿論、地方の中山間地や都市においても買い物難民のいる空白地域もあるが、コンビニを配達商品の受け取り、あるいは出荷拠点にすることにより宅配事情は改善されるはずである。特に、大きさ・重量別の受け取り・出荷メニューを作れば、宅配物流の効率化がはかれることとなる。つまり、大きな重い荷物は宅配にしてもらい、小さくて軽いものは受け取りに行くという方法である。もう一つの案はヤマトや佐川、ゆうパックなど大手が「共同配送会社」を作り、拠点間物流と宅配エリア物流を分離する考え方である。しかし、この案は「宅配事業」とは全く異なるビジネスであり、ほとんど不可能であろう。

コンビニの進化は顧客の消費変化によるものであると言ったら話は終わってしまうが、進化の原点は「日常利用」である。スタートは生活用品が中心であったが、次第に週刊誌などの雑誌類へと広がり、コンビニ専門雑誌も生まれるようになる。おにぎりからスタートした「食」も周知のように「我が家の冷蔵庫」へとなくてはならない存在となる。つまり、日常生活にはなくてはならない存在になってきたということである。少し前のブログ”「脱デフレ」を終えた消費生活 ”でも書いたが、もはや生活者にとって「デフレ」は死語になり、どれだけ「日常」を豊かにしていくかに関心事は移行している。ある意味原点でもあるのだが、ちょうどユニクロが昨年から始めている新コンセプト「ライフウエア」(日常生活着)と同じである。日常利用とは「回数利用」である。そのための「値下げ」で、新たな日常価格に移行したということである。おむすびや弁当を始めとした「食」を中心とした日常価格帯市場が同心円状に広がってきたということだ。そうした意味で、日常消費における「プライスリーダー」「マーケットリーダー」を目指していると見るべきであろう。1年ほど前から、街場のパン屋さんや中華店などに小さなヒット商品が生まれてきていると指摘をしてきた。つまり、知る人ぞ知る「孤独のグルメ」のような店が徐々に知られるようになってきている。そうした意味で「日常価格帯市場」での競争が激しくなってきたということだ。

さてそのコンビニはどこに向かっているかといえば、地域社会というより「公」な視点を持ったビジネスなっていくと考えている。言葉を変えれば崩壊しているコミュニティの中心を目指して行くということである。理屈っぽくいうならば、「ライフコミュニティ」「ライフソリューション」となるが、既に住民票などの証明書の取得を始めとした具体的なサービスは実施されている。こうした公的サービスの窓口だけでなく、地域の防犯を始めとした安全安心の拠点としての役割、無形の役割を果たしておりその貢献は極めて大きい。それは崩壊したコミュニティの再構築として、「職場」ー「駅」ー「コンビニ」ー「自宅」という一つのライフラインの再構築である。今、東京ではある区では駅およびその高架下の活用について鉄道会社と行政とが共同でコミュニティ活性、再構築の試みが始まろうとしている。(続く)
  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:41Comments(0)新市場創造

2017年05月14日

黒船来襲後の日本へ  

ヒット商品応援団日記No677(毎週更新) 2017.5.14.

周知の通り、「黒船来襲」とは幕末に日本の開港を求めて浦賀に来航したペリー提督率いる米国艦隊のことである。そして、その衝撃は明治維新、文明開化へと繋がっていくのだが、その衝撃は以降も比喩的に使われてきた。特に価値転換を引き起こすパラダイム転換のような商品や技術に使われることが多い言葉である。そうした比喩の最たるものの一つが1990年代のインターネットの普及であろう。この「インターネット」とまではいかないが、「爆買い」と共に日本に来襲したのが「訪日外国人」である。2015年の流行語大賞にもなった「爆買い」であるが、これも周知の通りすでに爆買いバブルは終えている。しかし、以降も訪日外国人は増え続け、日本の最大観光地である京都では「入場制限」しないと観光できない状況へと至っている。2017年度の訪日外国人の予測は2700万人となっているが、それを上回る2800万人に及ぶと推定される。2018年には間違いなく3000万人を超えるであろう。今一度、「何故、訪日外国人は増え続けているのだろうか」と、「次」へと進むためにその背景と理由を考える必要に迫られている。

訪日外国人急増の背景にはLCCの増便、更にはクルーズ船の日本寄港の増加も同様としてある。ちなみに、そのクルーズ船の寄港はめざましく、2016年の寄港回数は、前年比38.8%増の2,018回(外国船社1,444回、日本船社574回)となり、過去最高を記録している。こうした急増の背景には渡航ビザの緩和などもあるが、その本質は2つある。その一つが「円安」である。日本人の生活者にとって、円安は食品をはじめとした輸入商品の値上げにもつながることだが、幸いなことに原油価格の大幅下落により、消費物価への影響は小さく、生活を圧迫するところまでには至ってはいない。しかも価格競争の時代であり、更に消費増税により、デフレマインドは進行し、日常化している。この円安は訪日旅行を加速させた一番の要因である。
もう一つは中国をはじめ東アジア、東南アジアの人たちの所得の向上による可処分所得が増えたことによる。経済のグローバル化には富の偏在や格差という負の側面もあるが、確実に所得は増えている。そして、LCCやクルーズ船という格安旅行は急増の要因となっている。この2つの要因がいわば掛け算となって訪日外国人市場拡大を加速させている。

しかし、京都観光ではないが、ホテルを始め受け入れ施設や交通などの整備が極めて遅れている状態である。民泊などは東京蒲田での特別措置として実施されているだけで法制化されないまま、闇民泊は急増し、近隣住民とのトラブルも増えているのが現状である。観光庁が行なっている調査でも明らかになっているが、日本観光のリピーター希望が多く、その理由の一番が現場での人的サービスの良さについてである。そして、それまでの団体旅行から個人旅行へと質的変化が進行し、ある意味混乱状態に陥っているといっても過言ではない。
最近になってこの新しい観光需要に対し、3兆円を超えたとか、次は8兆円を目指すと発表されているが、アベノミクスは失敗に終わり(昨年のIMFによるレポートにも失敗は明確になっている)、唯一円安という副産物による新しい需要が生まれた。そうした意味で、「黒船来襲」と言われる所以である。

ところで、そんな批判をしても目の前に増え続ける訪日外国人の観光需要には役には立たない。この観光需要の変化についてはまず日本観光のガイドサイト、例えば世界中で参考とされているTripAdvisorや人気のTime Out Tokyo、各国の実情を踏まえた日本漫遊(中国)、樂吃購(レッツゴー)!日本(台湾)、Marumura.com(タイ)、他にもいくつかあるがその内容について共通したものはいわゆる一般的な観光ガイドと時代らしく「お得情報」が載っているだけである。つまり、初めて日本を訪れる外国人旅行者には良いかと思うが、リピーターを促進するような「日本情報」は極めて少ない。そして、その日本情報についても、よく言われているような「コト消費」としての「日本の文化体験」についても少し異なるような気がしてならない。例えば、書道やお茶、そしていきなり忍者スクールといった具合である。

つまり、日本のどんなところに魅力を感じているのか、その関心事は何かである。ここ20年ほど世界から注目され、評価され、日本を訪れるまでになった外国人オタクを見ていくと、そこに一つの「答え」が見いだせる。1990年代世界を席巻したものの一つがアニメ映画であり、コミックであった。あるいは寿司や天ぷら、最近ではラーメンといった食である。 こうした日本の文化は、言葉を変えれば日本人の誰でもが持つ「日常生活」である。今年の桜の花見にも多くの訪日外国人が楽しんだ。こうした花見も四季折々の生活催事の一コマである。ある意味、普通のことであり、日本人が忘れてきたものに興味関心があるということである。
最近うさぎを始め動物との触れ合いができる動物園に多くの訪日外国人が訪れ、観光のキラーコンテンツになり得るのではないかと話題になったことがあった。古くは温泉に入る猿として外国人に人気の長野県の地獄谷野猿公苑があるが、これも世界でここだけで、別の視点に立てば野生との共生であり、日本人にとってはそれほど特別なことではない。しかし、渋谷のスクランブル交差点がそうであるように、外国人にとって、他にはない、特別な「生活」が日本にはある。それを「クーリジャパン」と呼んでいる。

こうした「生活文化」を味わうには銀座の表通りではなく、裏通り、横丁路地裏にはごく普通に存在している。表現を変えれば、既に東京にはないが地方には残っている、そんな「産物」が山ほどあるはずである。「地方創生」などと言わなくても宝が埋もれていると認識すべきである。
ここ半年ほど大阪・京都に出かけ、町歩きをしたが、そこには多くの訪日外国人が日本を楽しんでいた。大阪新世界ジャンジャン横丁の串カツ、道頓堀のたこ焼きや金龍ラーメン、黒門市場の食べ歩き、皆訪日外国人が行列を作っていた。東京浅草の裏通りではカレーパンの店にレンタル着物を着た中国人と思える若い女性たちが行列を作っていた。カレーパンなどはどこにでもあるごく普通の食べ物である。しかし、その「普通」が訪日外国人市場ビジネスになる、という時代を迎えているということだ。俯瞰的に見ていくとすると、やっと文化が経済を牽引していく時代になったということである。黒船来襲が「日本文化」「生活文化」を表舞台に引き上げてくれたということである。そして、その先には文明開化という「日本創成」が待っているということだ。(続く)
  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:47Comments(0)新市場創造