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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2013年12月06日

2013年ヒット商品番付を読み解く

ヒット商品応援団日記No566(毎週更新)   2013.12.6.

2013年度の新語・流行語大賞に続き、日経MJからヒット商品番付の発表があった。今年は選ばれた新語・流行語とヒット商品に通底する一つの傾向が見られる。
その新語・流行語大賞が4つもある当たり年で、それぞれが生活者の中で頻繁に使われた言葉であった。頻度多く使われるとは、生活者自身の言葉になっているということである。しかも、「今でしょ!」「倍返し」、更に使い方次第ではあるが「じぇじぇじぇ」も含めれば強さを持った「決め台詞」となる。そして、どんな会話になるかというと、世代や男女の違いを超えた元気ある活発な会話になるということである。ある意味、流行語の原則でもあるが、4つも出てくる年も珍しい。世相という時代の空気感も以前とは異なり、かなり明るさが感じられるようになった。

ところでテーマである「2013年ヒット商品番付」であるが、昨年までは「デフレ型」ヒット商品が多数を占めていた。特に、2008年のリーマンショック以降は次のようなものであった。
2009年
東横綱 エコカー、 西横綱 激安ジーンズ
東大関 フリー、    西大関 LED
東関脇 規格外野菜、西関脇 餃子の王将
東小結 下取り、   西小結 ツィッター
2010年
東横綱 スマートフォン、 西横綱 羽田空港
東大関 エコポイント、    西大関 3D
東関脇 猛暑特需、西関脇 LED電球
東小結 200円台牛丼、   西小結 坂本龍馬
2011年
東横綱 アップル、 西横綱 節電商品
東大関 アンドロイド端末、    西大関 なでしこジャパン
東関脇 フェイスブック、西関脇 有楽町(ルミネ&阪急メンズ館)
東小結 ミラーイース&デミオ、   西小結 九州新幹線&JR博多シティ
2012年
東横綱 東京スカイツリー、 西横綱 7インチタブレット
東大関 LCC、    西大関 LINE
東関脇 N BOX、西関脇 マルちゃん正麺
東小結 阪急梅田本店、   西小結 メッツ コーラ
2013年
東横綱 セブンカフェ、 西横綱 あまちゃん
東大関 進撃の巨人、    西大関 東南アジア観光客
東関脇 マー君、西関脇 パズル&ドラゴンズ
東小結 ロレックス、   西小結 湾岸マンション

2012年までのヒット商品の推移を見て行くと、コストパフォーマンスの高い商品を入れるとものの見事にデフレ型ヒット商品となっている。激安ジーンズから始まり、規格外野菜(わけあり商品)、下取り、200円台牛丼、節電商品、LCC、  LINE、N BOXといったデフレ型ヒット商品であった。1998年以降、消費を左右する世帯収入が減少し続けるなかでは当然あるが、実は今年度の世帯収入も増えた訳ではない。唯一違うのは、円安、株高による心理的な期待感が広く醸成されつつある点である。原材料を輸入に頼る日本の場合、円安による物価高が起きており、いわゆるデフレを脱却した訳ではない。その象徴ではないが、東横綱のセブンカフェは1杯100円の入れたてコーヒーである。コンビニにありそうでなかった商品で、セブンイレブンの成功に続けとばかりに他のコンビも入れたてコーヒーやプレミアムコーヒーに進出し、良い意味での入れたてコーヒー競争となっている。

株高によって儲けたといった直接的な反映だけではなく、一種の高揚感が生まれたのは確かである。その象徴としてロレックスが東小結にランクされているが、百貨店売り上げの好調理由に挙げられている代表的商品である。ロレックスのような宝飾時計マーケットとは異なるが、元気なコンビニではコーヒー以外にもプチ贅沢商品、セブンでは「金の食パン」やローソンの「ゲンコツメンチ」が前頭にランクインしている。これら商品も安さを全面に出したデフレ型商品とは少し異なる商品群である。
また、ブログでは昨年から指摘してきた消費として、消費増税前の駈け込み需要の一つとして住宅需要、そのなかでも「湾岸マンション」が売れていると。安い金利と増税前という自己防衛的消費であるが、都心から近い便利さと水辺という自然のなかのライフスタイル人気が湾岸に集中した結果である。

昨年度は東京スカイツリーが東横綱に、大阪では阪急梅田本店が東小結にランクインしたが、少し視野を広げれば、都市観光、都市商業観光人気ということである。今年度は大阪梅田の再開発大型複合施設「グランフロント大阪」のオープンでは5ヶ月で来場者が2700万人を超え、初年度目標を大きく突破したという。
こうした都市観光を結果として促進したのが、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互乗り入れである。埼玉ー神奈川私鉄5社が直結し、新宿伊勢丹や中華街に多くの人が訪れるようになった。これも都市観光の足として前頭にランクインしている。

そして、円安は海外観光客の増加、しかも東南アジアからの観光客を大きく増やし、年間1000万人を超える勢いとなっており大関にランクインしている。特にタイからの観光客が大きく増え、本場日本のラーメンを食べるために新横浜のラーメン博物館に必ず立ち寄るという。アニメやコミック、禅、侍、といったジャパンカルチャーのクールジャパンから、食のクールジャパンへと広がる可能性が出てきている。特に、ユネスコの世界文化遺産に和食が登録されたことにより、更なる来日観光客の増加とジャパニーズレストランの輸出が活促進され、日本の産業構造転換の新しい芽の一つになるであろう。

ちょうどこのブログを書いている最中にJTBカら年末年始の旅行予測の発表があった。国内や海外に1泊以上旅行する人は合計で、前年調査比2.0%増の3052万6000人と過去最高を更新する見通しであると。最大9連休と日並びが良く、企業業績が良いこともあって、冬のボーナスを増額する企業も多く、旅行気分を盛り上げているようだと。また、円安にも関わらず、前年比2.1%増の69.5万人が海外へ、帰省を含めた国内旅行も2.0%増の2983万人と過去最高を見込むとの発表。旅行者数が3000万人を超えるのはリーマンショック前の水準に戻ったということである。

このように移動が活性化し、消費内容も変化が出始めている。面白いことに前頭にランクインしている2つのヒット商品がある。ひとつはJR九州の「ななつ星in九州」でそのこだわりが話題となった豪華列車の旅で予約の倍率は7倍以上の人気。もうひとつが米プリンセス・クルーズの「格安クルーズ船」で、食事付き1泊1万数千円からという安さで今年度は2万人の集客を見込んでいるという。勿論同じ旅行ではあるが、異なるマーケット、利用の仕方の違いがあるということが明確になった。

ところで景気が良くなったのか、まだまだデフレ下の消費なのか、といった二者択一的発想ではこれからの市場心理、消費心理に迫ることはできない。ここ10数年間のデフレ時代にあっては消費の物差しの第一が価格であった。そして、結果として価格帯市場が生まれ、その中で熾烈な低価格競争が行われてきた。しかし、今年になってそうした市場を脱皮しよう、市場を変えようという動きが出始めてきた。例えばブログでも取り上げてきたマクドナルドの1000円バーガーの発売やデニーズなどファミレス初の2000円台のステーキメニューの導入。最近ではファストフードの吉野家がファストではなくゆっくり食べていただこうという主旨の「牛すき鍋膳」580円(並盛り)を新規メニューとしたが、こうした従来とは異なる価値観に基づくメニュー開発が始まっている。こうした試みもモザイク模様と化した消費者の価格心理を探り当てる試みである。

こうしたモザイク模様の如き消費心理は京都に残る生活の知恵、ハレの日とケの日の生活価値観によく似ている。ケの日、つまり普段は「始末」して暮らし、ハレの日はパッと華やかに。そうしたメリハリのある生活習慣が、食=台所に深く浸透している。「しまつ」とは単なる節約ではなく、モノの効用として使い切ること、生かし切ることである。今風で言うならばコストパフォーマンスという意味で、コスパ型ライフスタイルと言っても間違いではない。2013年のヒット商品番付を読み解く鍵の一つがこうした成熟したライフスタイルへと向かっている点であると言えよう。(続く)

お知らせ:来年は消費増税という混乱と激変の年になることが想定されます。そこでより具体的応援となるようにビジュアルを組み込んだブログとしてリニューアルいたします。また、現場にて活躍されている仲間にも投稿してもらい、「次」に向かうための学習の場を目指したいと考えています。
  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:40Comments(0)新市場創造