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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2015年08月24日

消費後退の夏

ヒット商品応援団日記No620(毎週更新) 2015.8.24.

電子書籍の出版にかかりきりのため、ブログの更新が1ヶ月ほど経ってしまった。この間、消費を含めた景気の動向に関する情報がいくつか公開されている。その第一はなんといっても中国経済の激変であろう。7月12日のブログで、中国の株式市場についてバブルであると書き、バブルは必ず崩壊すると指摘したが案の定「泡」となった。今度は2度にわたる中国元の切り下げによる輸出の振興策が思っているほど良くないとの予測もある。つまり、中国経済全体が予測以上に落ち込んでいるとの専門家の指摘である。そうした中国発の株安という爆風は米国を含め、勿論日本もそうであるが、世界中に飛び火している。この間わずか3ヶ月である。

そして、あまり注目されてはいないが、4-6月のGDPの速報値であろう。民間のシンクタンクによる予測値が出ていたので、それほど驚くことはないが、このマイナス数値、4-6月の成長率は▲0.4%(年率▲1.6%)の意味合いは極めて大きい。その中でも、家計最終消費支出は、実質▲0.8%(1~3月期は 0.4%)となった点にある。
10%増税の先送りにより、2015年1-3月期はプラス成長となった。ある意味、堅実な消費に戻ったと言える。その堅実さとは、使うべき時は使い、日常は節約といったメリハリ消費であると以前のブログに書いたことあった。しかし、4-6月の消費支出が▲0.8%となったことは、やはり円安による4月以降の物価の高騰による消費萎縮が大きい。そして、多くが高騰するなかで、世界的な原油安によってガソリン価格が安くなったが、それまで唯一好調であった軽自動車の新車発売も、4月からの軽自動車税のアップによりマイナス成長となった。
周知のように昨年の2014年度GDPは実質で前年比▲1.0%だった。消費増税後の消費の落ち込みが大きく、5年ぶりのマイナス成長となった。こうしたことから10%の増税時期を先送りするとの結論であったと思うが、円安による物価高騰の影響は大きく、消費を後退させているということだ。そして、その先には消費税10%導入が更に先送りされ、凍結状態という判断が出てきても不思議ではない。

そして、この円安であるが、その象徴とも言える数字の発表があった。東京入管成田空港支局は、お盆休み期間(7~16日)に成田空港を利用した出入国者の総数(速報値)は前年同期比4%増の83万8110人で、2年ぶりに増加に転じたと。その内訳であるが、日本人は1割減ったが、外国人が3割以上伸び、全体を押し上げた。当然のことであるが、円安で日本人は海外旅行を控える一方、「爆買い」目的で来日する中国人を中心に訪日観光客が増えたのが主な要因であろう。
思い起こせば3年ほど前に中国の人民元は大きく高騰した。当時は1人民元が12円程度であったものが、20円ほどとなった。倍近くまで上がったわけで、中国人観光客によってはまたとないチャンスとなった。以降、周知の爆買いが注目されることとなる。しかし、この「爆買い」の恩恵を受けているのは、消費増税によって低迷する百貨店をはじめとした流通や都市部であるが、日本経済全体として見れば一部に過ぎない。

ところで、経済の専門家・エコノミストの口から「アベノミクス」という言葉はほとんど聞かれることがなくなった。せいぜい、第三の矢・成長戦略が出てこない時の言い訳に使われる程度となっている。ある経営コンサルタントに言わせると、「アベノミクス」は既に失敗に終わったと明確に言い切っている。
またGDPと並ぶ重要な指標であるインフレ率も低迷している。最新6月の数字は生鮮食料品などを除いて前年比0.1%上昇という低い数字であった。景気回復、物価上昇率2%という異次元緩和の目標は達成できる見通しが全くない。そして、「アベノミクス」という言葉とともに聞かれなくなったのが、トリクルダウンという企業が儲かれば賃金も上がるとする景気循環の言葉である。アベノミクスから2年半を過ぎた今、これも周知のように賃金は下がり続けている。

JTBによれば今年の夏の旅行の特徴となっているのが「観劇、イベント参加、スポーツ観戦」(1.1%増)の増加が目立つという。また、利用交通機関では、レンタカーを含む乗用車の利用が5.6ポイント増で約7割に拡大。JR新幹線は1.4ポイント減の13.4%に縮小したと。今年の夏の消費を見ていくと、メリハリ消費から後退した感が強い。昨年の消費増税によってワンコインランチや激安・デカ盛りといったデフレ型消費が再燃したが、ここにきてそうした消費が加速しそうである。
そして、今後もこうしたデフレ型消費の傾向が続くかと言えば、景気が好転する材料は全くない。消費を活性するための新交付金、いわゆるプレミアム付き商品券が話題となっているが、一過性のものであってこの夏限りである。特に、地方にとっては必要であるとは思うが、地方創生という根本課題に対する解決とは無縁である。よくよく考えれば、プレミアム付き商品券というお得商品券は、デフレ型官製プロモーションのことである。現政権の誕生を促したのは、日本経済の再生、景気の回復であった。第一の矢、第二の矢がこうした消費後退を生んでおり、残るは第三の矢となるが、未だ出てきてはいない。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 11:00Comments(0)新市場創造