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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年08月23日

素の魅力 

            ヒット商品応援団日記No92(毎週2回更新)  2006.8.23.

ここ2週間ほど、多くの人が高校野球に釘付けになった。特に2日間にわたった決勝戦「早実×駒大苫小牧」とのゲームには誰もがハラハラドキドキ感動したと思う。3月のWBC戦のイチローをはじめとしたゲームにも感動したが、この2つには共通する「感」を動かす何かがある。つまり、プロとアマという違いを超えた何かである。そして、多くの人は先日のWBA世界ライトフライ級のタイトルマッチ「亀田興毅×ファン・ランダエタ」戦を比較してしまったことだろう。決勝戦もそうであるが、智弁和歌山×帝京戦のように逆転、再逆転といった「面白さ」と「恐ろしさ」を併せ持った緊張感、緊迫感のあるシナリオの無い物語であった。亀田興毅の戦いを安物のパフォーマンスとはいわないが、一昨日の決勝戦は物語のクオリティさがある。甲子園を一杯にした応援であったが、決勝戦はどこか静けさを感じさせるゲームであった。真剣、無心、気迫、全力、あきらめない気持ち、そんな言葉で表現されるのであろうが、そこにはスポーツする人間の素顔、素の姿があった。やたらとタレント的パフォーマンスばかりの時代にあって、素顔こそ新鮮に映る。私はそんな今回の高校野球を「素の魅力」と呼んでみた。演出なし、シナリオなし、簡素な舞台、演じるのは無心になった人間である。イチローも早実齋藤投手も”良き仲間を信じて””良き仲間と一緒で良かった”とコメントしたが、そこには素顔の人間だけがもつ、清々しさがあった。早実にとって、駒大苫小牧という最高の敵は、最高の友になったと思う。最近耳にしなくなった「勝ち組」「負け組」もいない。ここ数年間、エンターテイメントの作り手はエンターテイメントというものを誤解してきた。コンセプトを創るにあたって、過剰なパフォーマンス、過剰なことば、過剰な演出、過剰な繰り返し、「インパクト」という妄想に支配されてきた。唯一、人工的なエンターテイメント世界で成功してきたのはディズニーランドだけである。あとは最新式のジェットコースターを投入し続けている一部の施設だけである。周知のように、旭山動物園や水族館のような自然をテーマにしたエンターテイメントへと向かっているのだ。
私のブログを続けて読んでいただいている方はすぐ理解いただけると思うが、伝え方=受け止め方が変わってきているのだ。話題、サプライズ、劇場化、ある意味で伝え方過剰の時代から、納得、奥行き、体験といったバランスの時代へと向かいつつある。私のことばだと「日常物語」「素の物語」ということになる。ここ数年「話題」は発信先が創るものと考え、意図的に実行されてきた。しかし、話題は受け手が創るという当たり前の原則に立ち戻ったということだ。早実齋藤投手を「ハンカチ王子」と誰となく呼んだのであって、マスコミは後を追っただけである。今誰もが、マスメディアの流すニュース、話題を斜に構えて受け止めるようになり始めている。その結果が先の「亀田興毅×ファン・ランダエタ」戦の判定に対する反発であった。結果、再戦することになって良かったとは思うが。耐震偽装事件、ライブドア事件、偽メール事件、村上ファンド事件と立て続けに起こった事件は全て「情報」に関するものであった。作られた情報、ある意図をもった情報、そうした膨大な操作された情報が錯綜する中で、何を信じ、何をよりどころにして判断して良いのか私たちは学習してきた結果であると思う。少しネットビジネスを知っている人ならば周知のことであるが、誰が何に対しどんな発言しているか情報を収集分析するビジネスが盛んだ。今回の「亀田興毅×ファン・ランダエタ」戦についても多くのブログに意図的な情報をコメントする組織だった動きが表面化していた。従来は、一部の反論者が書き込むだけであったり、いわゆるスパムと呼ばれる連中による「荒らし」もあったが、ブログが1000万にもなる今日、公開されているネット上での情報は常に監視されていると思わなければならない。いわゆるログのデータベース構築による活用である。誰でもが知っているオンライン通販のアマゾンが行っている各種サービスの精度の高さは、こうしたデータベースによるものである。アマゾンのような便利さは顧客にとって良い活用法であるが、亀田興毅戦の時のように炎上するブログが多数出てきたことは残念なことである。いつかネットの未来についても書いてみたいと思っている。
さて、超コンセプト=素の魅力であるが、実体のないイメージとスタイルばかりが先行する時代にあって、本当に顧客は喜んでくれているのかと、厚手の皮膜を一枚一枚はがしていけばよいのだ。最後に残ったもの、それを更に削ぎ落とし続けることの中に「コンセプト」「素の魅力」があると思う。削ぎ落とせば落とすほど、コトの本質に迫らざるを得なくなる。超コンセプトとはコンセプトを超えた本質である。今一度立ち戻らなければならないことは、コンセプトの素(もと)である。キーワードとしていうと、素顔、素直、素朴、素食、素服、素地、簡素、質素、・・・・飾らない、うまれたまま、ありのままの、人という文字をつければ素人となる。今回、素の魅力という素敵さと強さを高校野球は教えてくれた。テクニックに汚染されたコンセプト世界を超えられることを教えてくれたと思う。今、過剰な物語の時代から素の物語へと変わりつつある。これからは素をどれだけ素そのものとして伝えていくかの競争となる。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:38│Comments(0)新市場創造
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