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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2022年01月03日

第二の創業へ 復活を願って  

ヒット商品応援団日記No802毎週更新) 2022.1.3

第二の創業へ 復活を願って  


明けましておめでとうございます。
年末年始の帰省をはじめとした移動もこれまでのコロナ学習を踏まえての行動と思うがコロナ禍以前の7~8割ほどの日常に戻ってきrている。風景としては久しぶりの賑わい・混雑が東京の街をはじめ、空港でも新幹線の駅でも、高速道路でも見られた。
一方、コロナウイルスの感染は増加傾向となっており、NHKによると12月29日確認された感染者数は全国で501人。東京では76人、、大阪では61人。その大阪ではオミクロン株の市中感染も始まり、依然としてコロナ禍が続いている年末年始となった。その新たに変異したオミクロン株の感染は欧米では一桁どころか二桁以上の猛威となっており、この先日本でも同じような感染になるのではといった予測が報道されている。日本で感染された患者の症状は欧米からの情報と同様無症状もしくは軽症者がほとんどで重傷者は見られてはいない。感染が拡大してからでないとわからないが、オミクロン株のウイルスは季節性インフルエンザと同じような「風邪」の一種になるとした仮説が専門家からも出てきている。いずれにせよ、今年もまたコロナ禍と向き合わなければならないということだ。

ところでこの念頭にあたり、コロナ禍とどう向き合うかその「基本」について書いてみたい。昨年の未来塾ではコロナ禍によって覆い隠れてしまっていたバブル崩壊以降の失われた30年と言われる社会経済の停滞にどう向かうべきかをテーマとしてきた。読んでいただいた読者は着目した「昭和」、しかも30年代にどんな「出来事」があったかを思い起こして、この年頭の「基本」を共に学んでほしい。
かなり前になるが、私はある企業のコンサルテーションを担当したことがあった。その企業は事業本部制をとっており、私が担当した事業本部は赤字状態が続く事業の再生がテーマであったが、もう1社他の事業本部を担当したのがマッキンぜーの日本支社であった。コンサルテーションと言っても「現場」に入り込んでの共同ワークであることから互いにどんな「考え方」、そのビジネスフレームであるかを確認することがあった。そのマッキンゼー社のフレームは次のようなものであった。

「空・雨・傘」と呼ばれるフレームワークで、空を見上げて、どんな状態かを判断し、傘を持っていくべきかどうか、・・・・そんなイラストまじりの図解が添えられた極めてわかりやすいビジネス手法であった。少し理屈っぽく説明するとすれば、
「空」は現状の認識で市場・顧客認識が中心となる分析である。コロナ禍に即して言えば、例えば緊急事態宣言が解除されてもそれまでの顧客数は戻っていない、そんな認識になる。
「雨」はその現状分析で、その理由の抽出である。メニューなのか、価格なのか、その要因など問題につながる要点を整理する。
「傘」は文字通り解決方法で土砂降りの雨であれば「休む」ことも必要になるし、小雨であれば折りたたみ傘を持って出かけるということになる。
一方、私が提案したのは「問題点と市場機会」という「方法」で、「空」と「雨」が問題点抽出の主内容となっており、「傘」はまさに市場機会と同じである。ただ、特徴的なのが次のような整理の仕方をして本質に迫る方法である。例えば、問題点と市場機会を左右に分けて主要な要点を次のように列記する。

              問題点                                    市場機会
・常連客の来店が減少                サブスクではないが回数特典案 

上記のような一般論では解決にはならないが、この方法の良いところは「問題点こそ市場機械になる」という整理法・発想である。 もう少し先に進めるとすれば「常連客」のタイプ分けをしてその代表的な常連客に回数減少の理由を「聞く」  ことを通して解決の着眼を探るということになる。  こうした方法は自らの思考の整理のためで、思い込みなどを排除することに役立つものとしてある。結果、出てくる着眼点は考え及ばなかったアイディアが出てくる場合もある。      

ところで今年も複数の新聞元旦号を斜め読みした。その中で日経新聞が時代の危機にあるとして、「資本主義 創り直す」というテーマで一面で提言していた。その中で北欧の各国を事例に挙げ、学ぶべき点として、「フレキシビリティ」(柔軟さ0の必要を説いていた。世界のマクロ経済を論じ力はないが、失われた30年の日本においてもその「危機」は誰もが実感しているところである。 
コロナ禍はまだまだ続くと描いたが、問題はウイルスが収束してもその後遺症、肉体的な病気としての後遺症だけでなく、人間心理に深く浸透したリスク心理が残っている。欧米においては1日数十万人ものオミクロン株による感染者を出しても、マスク着用もせず、飲食店の規制も限定的な国が多い。国民性の違いと専門家はコメントするが、危機心理、危機への認識が日本の場合と決定的に異なるからである。一言で言えば、ウイルスとの共存を図る欧米に対し、「ゼロリスク」を求める日本との「違い」である。

昨年11月末からの訪日外国人の入国規制、いわゆる水際政策に賛成する国民は70%近くに及んでいる。コロナ禍支援の給付金について 現金あるいはクーポンと言った論議があったが、自治体も含めて圧倒的に「現金」への支持であった。一昨年の現金による給付につては70%近くが貯蓄に回ったとの検証結果があるが、今回もかなりのパーセンテージで貯蓄に回るであろう。そして、現預金などの金融資産は2000兆円にまで膨れ上がっている。しかも、株式への投資はわずかで、金利もつかない銀行預金もしくはせいぜい国債の購入である。つまり、どれだけ「リスク」を小さくするかというリスク心理からである。極論ではあるが「ゼロリスク」心理が根深く浸透したということだ。
こうしたゼロリスク心理は実は若い世代にも異なる形で浸透している。 昨年夏コロナ禍がピークに達した時、東京都はワクチン接種には懐疑的であると勝手に決めつけて予約なしで接種できる計画を実行したことがあった。結果、 若い世代を中心にした長い行列が隣の原宿にまで及び話題になったことがあった。・・・・・・・つまり、危機を前にして若い世代の心理がワクチン接種へとリスク回避に向かっていることを見誤った結果である。こうしたリスク回避は若い世代にとって「合理的」であるということである。

私がタイトルのように「第二の創業」あるいは「復活」という言葉を使ったのも、危機は着実に迫っていると感じるからである。特に、コロナ禍の波が直接押し寄せた飲食業や観光産業はこれからも危機の只中にいるであろう。生活者心理、消費者心理がゼロリスクを求めるリスク社会にあって、どう行動したら良いのか、敢えて冷静に問題点を整理し、しかも柔軟に経営して欲しいと願ったからである。ここ2回ほどの未来塾で「昭和という時代」に着目したのも、明日に向かった先人達の事例を学ぶことにしたのも、この危機をどう向き合うか着眼して欲しかったからである。
戦う相手は誰か、いや戦う相手は顧客心理、まずはゼロリスク心理であり、事業変更についても、コンセプト変更についても柔軟に対応することが不可欠である。危機の時代は何があっても不思議ではないということだ。昭和30年代は何も無かった時代であったが、今もなお共通していることは「やりたいことをやる」ことに尽きる。その思い、行動が閉じこもったリスク心理の扉を開けてくれるに違いない。昨年の未来塾の最後に大谷翔平を取り上げた。大谷が戦ったのは「既成」という心理であった。周知のように「二刀流」は無理であるとし、どちらかに専念すべきとした既成との戦いであった。その戦いは2度の手術を経ての戦いで、今年もその戦いは続く。
ところでゼロリスク心理との戦いであるが、例えば昨年LCCピーチの「旅ガチャ」人気も良き成功事例の一つであろう。ガチャのカプセル自動販売機で5000円を支払うと、北海道や沖縄など指定された目的地への航空券が購入できるという販促策である。どこに行けるかわからないが、沖縄であれば大当たりと言った「遊び心」が閉じられたリスク心理をこじ開けたということだ。
前述の思考整理に即していうならば、「空」は曇りでありながら時に小雨も降るが陽もさす、そんな天気であるが「雨」は次第に止みはじめてもいる。まだ「傘」の必要な時間もあるが、陽のさすところには紛れもなく「日常」がある。そんな陽を受けるにはリスク回避という心理の扉を開ける工夫をすることだ。ブログの読者は理解されていると思うが、市場認識の間違いはこの2年間至る所で見られた。特に若い世代の市場には新しい芽も出てきており、当たり前のことだがその心理は時間経過と共に変化する。若い世代、特にミレニアム世代は次の市場の主役に躍り出ると未来塾で書いたが、つまり陽がさし込む市場になるということだ。そうした意味を踏まえ、年頭の画像にはLCCピーチの5000円ガチャの画像を掲載した。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:05│Comments(0)新市場創造
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