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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2020年03月05日

パニック前夜 

ヒット商品応援団日記No759(毎週更新) 2020.3.5.

パニック前夜 

新型コロナウイルス感染及び昨年の消費増税による消費縮小についてブログを書き始めたのは2月11日であった。その時のタイトルは「移動抑制が消費を直接低下させる 」で、マスク着用はそれほどの効果はないとされているが、昨年12月からの季節インフルエンザの流行は予測を下回る感染であることが報告されている。これは1月後半からの新型コロナウイルスに対する自己防衛によるところが大きいと分析する医師も多いと書いた。つまり、「自己防衛」は1月末から既に始まっているという指摘であった。そして、2月23日には「人通りの絶えた街へ 」というタイトルで、賑わいは街から亡くなったと指摘をした。小中高の一斉休校が始まる10日以上前の指摘であった。誰もが心配するのは新型肺炎が本格的に市中感染した時、まさにパンデミック状態となるのだが、「移動抑制」は移動することなく「冬眠」状態となる。つまり、氷河期時代の冬眠生活である、と指摘もした。

「見えないこと」「不確かなこと」への不安・恐怖はとうとうトイレットペーパー騒動へと向かった。周知のようni
SNSへのデマ情報に端を発したそうであるが、鳥取米子の生協職員の投稿であるが、発生源はどこにあるのか少し調べれば誰が投稿したのかわかってしまうことからHPに謝罪文が掲載されるといった始末である。一人のデマは数人の同調者に拡散されるのだが、その「同調」はマスメディア、特にTVメディアによって増幅拡散する。トイレットペーパーのない棚が繰り返し放映されることによって、デマとわかっている人間も無くなっては困ると考え、行列を作ってしまう。行列は更に行列を生み,TVメディアが更に増幅させる。TVメディアはメーカーの工場現場を取材し、在庫は十分あると放映するのだが、消費心理がまるで理解してはいない。前回の指摘をしたのだが、「理屈」では消費行動を変えることにはかなりの時間を要すると。「空の棚」を払拭するには、トイレットペーパーが十分に積まれた棚」を繰り返し放送することである。

そして、スポーツ・文化イベントの自粛要請と共に、小中高の一斉休校が始まったが、「移動抑制」は移動することなく「冬眠」状態となる。つまり、氷河期時代の冬眠生活である。この冬眠生活については2008年9月のリーマンショック、2011年3月の東日本大震災という災害時の消費生活を思い浮かべればどんな冬眠生活なのか容易に想像することができる。例えば日本大震災の時には「電力不足」から飲食店では営業時間の縮小・限定が行われたが、今回は移動抑制による「人手不足」と「顧客不足」による時間限定営業もしくは臨時休業の違いだけである。鎌倉市では職員の「夫婦共働き世帯」が多く、出庁できずに行政サービスに支障が出る状態となっている。少し古いデータであるが夫婦共働き世帯は48.8%で、約半数が小中高の一斉休校による生活変更を余儀なくされている。売れているものは何か、過去2回の「災害」と同じで、レトルト食品、冷凍食品、缶詰、お米、・・・・・・つまり、数週間の冬眠生活を送る日持ちするものとなっている。

さて、本題であるが、数週間程度の冬眠生活で治るかどうかである。リーマンショックから生まれたのが「わけあり」でデフレ生活ウを一変させた。東日本大震災においては、やはり自家発電への傾向が生まれソーラーパネルの設置や電気自動車といった自己防衛消費の傾向が強まった。前回も少し書いたが、消費心理の真ん中には何が問題であるか、その「正確さ」がある。それは何よりも新型コロナウイルスが「未知」のウイルルであるからだ。わからない、不確かさ、に対して不安が起きるのは至極当然のことである。しかも、生死に関わることであれば尚更の事で、うわさ・風評の素となる。NHKによれば、感染が疑われる人からの電話相談に応じる専用窓口「帰国者・接触者相談センター」に寄せられた相談は、2月26日までの10日間に少なくとも全国で8万3000件余りに上っていると報道されている。そして、今なお、電話相談が相次いでいるという。恐らく相談センタ^や保健所も人的に対応できない状態、パンク状態になっており、不安を確かめる「正確さ」を得ることができない状態になっている。

この「正確さ」を自己防衛的に確認できるのが「PCR検査」しかない状況となっている。しかし、現実はかかりつけの担当医が保健所などに検査の要請をしても実施してもらえない。こうした事例がTV報道されることによって「不安」は増幅し、このままであれば「恐怖」へと向かっていく。
今、この新型コロナウイルスに関する正体の「正確さ」は6万件近くの中国における感染データがWHOから発表されている。Report of the WHO-China Joint Mission on Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)その中で、約80%が軽症で、感染ルートのほとんどが家庭内感染であること(感染の起こった344のクラスタ/感染小集団のうち、78~85%は家庭内の感染だった)。しかも、子供から大人に感染した事例はないとも(18歳以下の子供の感染率は低く、すべて家庭内で親から感染したものだ。逆に子供から親に感染したケースは報告されていない)。他にも中国各地の地域差について書かれており、発生源である武漢については感染爆発しているが他の地域、上海や北京では武漢のような爆発的感染はしていないとも。従来の季節インフルエンザとは異なるウイルスであり、固定概念を捨てなければならないということである。

日本の感染症の専門委員がスタディしているようにクラスターという感染小集団の事例の概要が報告されている。北海道ではそのクラスター(若い世代)が雪まつりや展示会を通じた感染であったと推測され、大阪京橋のライブハウスについても大阪市が調査報告されているようにライブ参加者の中の小集団が自宅に戻り家庭内感染していることがわかっている。中国ほどの正確な疫学データではないが感染ルートのスタディはなされつつある。これらの情報だけでも小中高の一斉休校は愚策であることがわかる。従来の季節インフルエンザの発想から離れることが必要で、クラスター感染が起きている北海道や市川市、和歌山市あるいは相模原市は休校にしたら良いとは思うが、全国一斉ではない。生活者の不安を少しでも減らすことであれば、まず自己防衛の一つとして「マスク・消毒液」を全国隅々に早急に行き渡らせることである。ドラックストアの棚に置かれたトイレットペーパーと同じようにマスクと消毒液を棚に十分置いておくことである。繰り返し言うが、理屈で解決できることではないということだ。

もし感染拡大を防ぐには、感染のクラスター小集団の「場」となっている、あるいは想定される「場」を「休止」することが第一であろう。屋形船、スポーツジム、ライブハウス、カラオケ、・・・・・・こうした場の衛生管理はもとより、休業期間に対しては政府は経済保証すべきとなる。但し、問題なのは「いつまで」という期間の設定である。本来であれば、精度は低いとはいえPCR検査による疫学データがないため期間設定ができないということである。このことは不安心理をストップさせることができないだけでなく、その先には東京オリンピックの開催ができるかどうかという問題まで行き着く。その前に、3月中旬までの順延・休止となっている東京ディズニーリゾートを始め、プロ野球やJリーグ、・・・・・多くのイベントや美術館などの諸施設はそのまま休止を続けるのか、それとも再開するのかという判断である。
いや、東京オリンピックだけでなく、WHOが発表した感染国として注意すべき国々、韓国、イタリア、イランと共に日本も加わったことにある。クルーズ船における防疫の失敗から始まり、「感染国」というイメージが世界に流布されている。推測するに、米国トランプ大統領は日本への渡航&入国制限をかけることになるであろう。そうなった時、中国だけでなく米国も加わった場合の「経済」である。単なるインバウンドビジネスの減少だけでなく、両国との貿易は日本の貿易総額の22%を優に超え、リーマンショックどころの話ではない。(中国11.6%、米国10.6%/2017年)一部の経済アナリストは昨年の10月ー12月に続いて、1月ー3月のGDPはマイナスになると予測されているが、4月から元に戻ることはない。前回「人通りの絶えた街へ」消費氷河期を迎えると書いたが、その先に何が起こるかと言えば、凍死企業、凍死者が至る所に現れてくる。つまり、「日本経済崩壊」に向かうということだ。今どんな時かと言えば、パニック前夜としか言いようがない。

繰り返し言うが、後手後手になってしまった対策を指摘することは容易いが、今は「正確さ」こそが危機をおり超える道である。PCR検査が広く担当医から民間企業に依頼できない理由を明らかにすること、そのできない理由にその後の入院など医療体制を組みことができないパンク状態になる実態、少ない疫学デーアではあるが中国のデータをベースに日本国内の感染実態を明確にした対策を立案すること、地域によっては小中高の休校を解除し通常の授業に戻すこと、クラスターと言う小集団の感染源が想定されたら休止・休業の要請をすること、勿論休止・休業に当たっての経済損失は一定額を政府保証すること、そして、マスメディアを含め従来の季節インフルエンザとは異なる対策を講じなければならないと言う意識転換をし、「正確」に事実をアナウンスしなければならない。その正確さとは科学としての疫学における正確さと共に生活者心理の正確さに基づくものであることは言うまでもない。電車内で咳をした女性への暴言を吐いた乗客に対し、それを見ていた乗客との間で喧嘩が始まった様子がスマホで撮られ報道されていた。トイレットペーパー騒動もそうだが、新型コロナウイルス感染の不安は一種のヒステリー状態を起こしているわかりやすい事例である。ある意味、パニック前夜にあると言うことだ。不安をヒステリー状態に向かわせるのも「情報」であり、特に過剰なTV報道による不安の増幅こそ元凶の一つであり、抑制的に正確な情報公開こそが危機を超える唯一の方法である。(続く)


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タグ :新型肺炎

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