さぽろぐ

ビジネス  |札幌市中央区

ログインヘルプ


インフォメーション


QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2019年10月14日

やはり始まった市場の再編 

ヒット商品応援団日記No749(毎週更新) 2019.10.14

やはり始まった市場の再編 

前回のブログで「デフレが加速する、顧客が変わる」という増税を一つの契機とした市場の再編について書いた。そして数日後流通最大手のセブン&アイ・ホールディングは2019年3~8月期の決算を発表した。連結営業収益は前年同期比0.9%減の約3兆3000億円だったものの、営業利益と純利益は第2四半期としては過去最高となったと。同時に各事業グループの問題点を踏まえたリストラ計画を発表した。そごう・西武といった百貨店事業では5店舗の閉店と2店の営業面積の縮小、約1300人の人員削減。長年課題となっていたイトーヨーカ堂は33店舗において外部専門店との連携及び閉鎖を検討し、1700人の人員削減。また、稼ぎ頭であるセブンイレブンにおいては約1000店舗について閉鎖や移転を行うというリストラ案であった。

好業績のセブン&アイが何故リストラを行うのかと不思議がる専門家もいたが、報道に接し、やはり、なるほどなというのが素直な感想であった。好業績という良い時にこそ変わることが必要であるという一般論としての理解ではなく、これからのでフィレ経済を生き抜くには必要なものであり、しかもセブンイレブンにおける加盟店との対応についても柔軟性のない建前主義、悪くいえば巨大化した官僚主義的な組織への改革も意図されていると思う。
また、日本産業のリーディング企業であるトヨタ自動車も周知の事業環境の変化対応が遅れているとの危機感が豊田社長以下経営陣にあるが改革派遅々として進んでいないようだ。それは自動車メーカー間の競争もさることながら、自動車もIT化・AI化が進み、GoogleやAppleといった異業種との主導権争いなど厳しい事業環境にある。こうしたなか、労使交渉にもこの「危機感」の無さが露呈していると日経ビジネスは指摘している。その危機感とは「働かない50代」問題で、巨大化した組織にあって出世コールから外れた40代以上も肩書きはあっても部下はいない、与えられた仕事もそれほど大きくはない。それでも年収では1200万円を得ているから辞めることはない。これが肥大化した組織、「働かない50代」問題である。トヨタも早晩リストラを行わないと衰退の道を歩むことになるということである。

前回のブログで消費増税で一番影響を受けるのはアパレリ産業であるとし、ワールドを事例に挙げて、リストラ後の生き延びる道としてアウトレット事業に進出し始めたと書いた。同じようなアパレル企業のオンワード樫山についても少し触れたが、大規模な店舗閉鎖などが明らかになった。周知のように百貨店ブランドが主力商品となっており、オンワードの売り上げの66%が百貨店によるものとなっている。この百貨店自体の低迷と同様にオンワードの売り上げも低迷し、2019年2月期は前期比5.7%減の906億円であった。そして、日経新聞によればグループ全体で約3000ある店舗の2割、約600店舗を閉鎖すると報道されている。
こうした百貨店向け売り上げが大きい「バーバリー」で知られている三陽商会も2018年12月期の売り上げは前期比5.5%減の590億円、3年連続の営業赤字であった。他にも百貨店への比重が大きいレナウンも低迷していることは言うまでもない。

前回のブログを含め課題となっていることは一つの転換期を迎えているということである。その転換とは消費という側面から見ていくと成熟時代の新しいライフスタイルが求められていることであり、今回の消費増税はその新しいライフスタイルの構築を加速させていると理解すべきということだ。新しいライフスタイルの一つとなるために、生活者はもちろんのこと各企業は経営におけるそれまでの事業やメニューをゼロから見直しし、再編成・再構築を始めたということである。
つまり、コンセプトを変える、新しいメニューにチャレンジする、撤退もすれば店舗閉鎖もする。変わるために、時にリストラ・人員整理もする。場合によってはZOZOのように事業あるいは企業丸ごと譲渡する、ここ数年起きていることはライフスタイルの根幹を成す新しいライフスタイル価値の創造ということに尽きる。少し前になるが「デフレを楽しむ」「デフレを遊ぶ」というタイトルでブログを書いたことがあった。常態化したデフレをいかに楽しく暮らすかというライフスタイルである。
実は未だ食べに行っていないのでその評価はできないが、大手回転すしのスシローが寿司居酒屋「杉玉」という業態で新たな市場を開拓しつつある。数年前から郊外型の大規模店舗業態から、どう都市部に進出するか課題であった。勿論、安く食べてもらう、私の言葉で言えば「デフレを楽しむ」ための業態であるが、都市部への出店の最大課題は高い賃料のもとで安い寿司を提供できるかということであった。今回の居酒屋業態は大規模な設備も必要としない50席前後の中型店舗である。これも変わるための業態、一つの都市市場戦略ということだ。こうした新たな業態へのチャレンジはアパレル大手のワールドにおけるアウトレット業態への進出と同じである。「顧客が変わる」という危機感が新たな市場創造へと向かわせているということだ。(続く)

あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(新市場創造)の記事画像
2023年ヒット商品版付を読み解く 
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半  
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半
春雑感  
変化する家族観
常識という衣を脱ぐ
同じカテゴリー(新市場創造)の記事
 2023年ヒット商品版付を読み解く  (2023-12-23 13:34)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半   (2023-07-05 13:21)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半 (2023-07-02 14:15)
 春雑感   (2023-03-19 13:29)
 変化する家族観 (2023-02-26 13:23)
 常識という衣を脱ぐ (2023-01-28 12:57)

Posted by ヒット商品応援団 at 13:11│Comments(0)新市場創造
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
やはり始まった市場の再編 
    コメント(0)