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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2019年01月14日

すでに起こった未来 

ヒット商品応援団日記No727(毎週更新) 2019.1.14.

すでに起こった未来 


タイトルの「すでに起こった未来」は周知のビジネスの師であるP.ドラッカーの著書のタイトルである。多くの著書を残したP.ドラッカーであるが、最もP.ドラッカーらしさのある内容の著書である。自らを経営学者ではなく、社会生態学者であるとしたように、社会に次々と起こる事象に、その意味を求め、時代の物見役に徹した。
その物見役だが、まずすでに起こっている変化を観察すること。そして、その変化は一時的なものではなく、時代の底流をなすものであるかを見極めること。その変化に意味があるとすればそれはどのような「機会」をもたらしてくれるかを考えること。
その物見役であるP.ドラッカーは未来を知るにはどうしたら良いのか、ビジネスに携わる人の指針について、次のように述べている。

“未来は分からない。未来は現在とは違う。
未来を知る方法は2つしかない。
すでに起こったことの帰結を見る。
自分で未来をつくる。”

前回のブログで「バブルから学ぶ」というブログを再掲したのも年末年始における平成という時代を振り返るTV番組にあって、あまりにも”バブル期に起きた変化”の理解の足らなさ、無理解に唖然としたからであった。バブル期とは1980年代であり、そこで何が起きていたか、その変化の先に今日があることを、P.ドラッカー流に言うならば「動かしがたい事実」として理解しているかどうかということである。未来は茫洋とした「先」にあるのではなく、「過去」の中にも「今」の中にもあるということである。そうしたことを踏まえて敢えて再掲したという次第である。
そこで「すでに起こった未来」として、その変化の意味を私は以下のようなタイトルでブログを書いている。

1,「パラダイム転換から学ぶ」(概要編)2016年7月
2,「パラダイム転換から学ぶ」(江戸と京)2016年8月
3,「パラダイム転換から学ぶ」(回帰から見える未来)2016年9月
4,「パラダイム転換から学ぶ」(健康時代の未来)2016年10月
5,「パラダイム転換から学ぶ」(働き方が変わる)2017年1月

その転換であるが、”何から何へと転換し、このような変化が生まれた”という変化の意味を抽出した内容となっている。どこまでぱパラダイムという価値観変化の本質に迫られたかはわからないが、「未来」を考える人には何らかのサジェッションになるかと思う。

例えば、「パラダイム転換から学ぶ」(概要編)で、「グローバル化」の進展によって起こる変化についてその構造を図解したものである。主に転換によって引き起こされるライフスタイル変化の本質を理解するための図解したものであるが、ここで着眼しなければならないのが、グローバル化への「揺り戻し」である。忘れてしまった「何か」、昭和であれ、和であれ、多くの回帰現象が生まれそこに多くのヒット商品も生まれている。
ただ、この大きな潮流は日本だけでなくグローバル化の波が押し寄せている先進国においても同様であることがわかる。この図を書いたのは3年ほど前であるが、ローカルを自国第一主義に置き換えれば英国のEU離脱も揺れ戻しの一つであり、米国のトランプ大統領の誕生も同じである。グローバル化の恩恵を受けることのなかった取り残された人達は英国にも米国にもいたということである。この頃ほとんどの国際ジャーナリストはこうした「揺れ戻し」に気付くことなく、英国の離脱は無いであろう、トランプ大統領の誕生は無いであろうと的外れな考えに陥っていたということだ。そして、周知のようにそのグローバル化の象徴が「移民」の存在ということであった。結果、数年前までの国際秩序は大きく変わったということである。

ここでもう一つ気づかされることが、日本国内であれば「交差」という着眼である。これは私見であるが、日本の場合アジア大陸の東端、しかも海に囲まれているという地政学的なことから、多くの人や物や文化がある意味吹き溜まりのように集まっていた歴史がある。室町時代には丸木舟に乗って太平洋を渡り、南米のペルーまで出かけた日本人の記録が残されている。当時から「海道」があり多くの人々と交流していたということである。江戸時代は鎖国という閉じられた時代のように思いがちであるが、長崎の出島を介し盛んに輸出入が行われていた。島国であるということは、逆に「開かれている国」ということでもある。渋谷のスクランブル交差点ではないが、多くのものを取り入れ消化する優れて強い胃袋を持った国ということだ。

例えば、昨年度3200万人を超える訪日外国人客が観光で日本を訪れた。あまりの急激な増加は観光に必要な宿泊施設といった観光インフラ整備が遅れてしまっているという現実もあるが、それ以上に訪日外国人との「文化の衝突」が心配である。というのも、上記の図を見てもわかるように訪日観光客の興味関心事は、実は日本のローカル、昭和や和、~家族(コミュニティ)に向かっており、それらは全て日本人の日常生活そのものである。つまり、「日常生活」の中に入ってくるということである。最近はそうでも無いが、日本の木造住居には垣根はあっても低く通りから見える住まい方をしている。勿論、昔から見知った人たちとのコミュニティが作られており、外部への寛容さはあっても文化の衝突はどうしても起こる。つまり、交差ではなく、衝突ということである。日本人が渋谷のスクランブル交差点でぶつからないのは「相手を思いやる気持ち」が根底にあり、”譲り合い”といった行動へと向かわせるからである。こうした自己主張の前に、まず相手にとってどうであるかを考える文化が身についているということであろう。こうした「文化」の不思議さもあって、訪日観光客の観光地になったということだ。日本観光は日本文化観光であると言っても言い過ぎでは無い。数年前から東京・ディズニーランド、富士山、京都と言ったゴールデンルートから、大阪をはじめ地方都市へと広がっていったのも図から言えば、左側にある「ローカル」がそのまま残されているからである。東京には無い日本文化が残されているということである。日本人にとっては「揺り戻し」であっても、訪日外国人にとっては日本文化に出会える世界であるということだ。少し古いデータであるが、2017年度の訪日旅行客内の60%以上はリピーターであったように、回数化とは日本文化への興味が深まっているということの証左である。
日本文化との衝突への心配と書いたが、それは1〜2回の観光客であり、回数を重ねることによって日本文化の理解も深まり、つまり衝突ではなく、交差へと向かうであろう。

今回はインバウンドビジネスを読み解く一つの資料としてコメントしたが、グローバル化の中の「ロボット」についてもその象徴としてAI(人工知能)を考える場合にも活用できる。つまり、その対極にあるのが「職人」であるが、今後の働き方などの未来を考えるにあたってもこうした図を入り口に予測することは可能である。(今後、「未来塾」にて公開します)
このように現在は紛れもなく「転換期」にあり、図で表現したように俯瞰的に見ていくことが必要である。是非、再読していただければと思う。(続く)


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タグ :転換期

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