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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2018年06月24日

日常をおもしろがる時代の着眼 

ヒット商品応援団日記No716(毎週更新) 2018.6.24.

少し前のブログに「デフレを楽しむ時代」になったと書いた。実はその楽しむ内容はと言えば、多種多様で一見捉えどころのないものとなっている。この10数年小売業態で急成長したのは周知のダイソーをはじめとした「100円ショップ」で、価格を100円均一とした広範囲な生活雑貨店である。それまでの生活雑貨と言えば趣味領域にテーマを持たせた東急ハンズやデザインに特徴を持たせた西武ロフトが流通していたが、100円ショップによって生活に必要な消耗品的雑貨が確立できることになったという意味である。ある意味、足りないところを埋めて来たと言っても過言ではない。総合スーパー、GMSが低迷しているが、ドラッグストアもそうであるが足りないものを埋める流通が成長し、「総合」ということでは足りないところを埋めることはできない時代になっているということだ。

デフレ時代のもう一つの潮流がホームセンターの成長に表れている。100円ショップは生活の隙間、日常の消耗品的雑貨であるのに対し、ホームセンターは「ホーム」に関する全てで、すでに出来上がった完成商品ではなく、DIYという名の通り作り手の創造性に応えるための素材が用意されていることにある。
ホームセンターという有店舗市場は約4兆円弱で停滞気味であるが、他の産業同様ネット通販にシェアーを侵食されており、DIY市場全体としては着実に伸びていると推測される。
この市場の中心はDIYというクリエーターとしての創造市場であったが、次第に価格面でも価値基準を持つ顧客も加わっていることによって市場全体としては伸びていると言える。特に、ペット関連や家庭菜園など園芸用品はそれに当たる。

こうした傾向の背景にはもちろんのこと「成熟した生活」がある。よく成熟を誤解してしまうことがあるが、それは1980年代までのような成長、次々と新しい何かの刺激しよって生き生きとした生活を送っていたことに対し、バブル崩壊以降は収入は増えないが、デフレ経済の下にあって一定の購買力を保持することができる生活となっていることを成熟と呼んでいる。消費もリスクのある、つまり当たり外れのある買い物ではなく、好きで永いこと使えるか、もしくは外れても悔いのない安いものを試して購入する、そうした消費傾向を見せるようになる。これがデフレ消費の本質であるが、そうした「考え・行動」は徐々に熟成し、極めて賢明な楽しさのある消費へと向かっている。好きなもので日常生活を埋めて行く、これがデフレを楽しむ消費の本質である。一見すると停滞しているように見えるが、そうではないということだ。

ところで、2年ほど前から冷凍食品市場が急成長している。日本冷凍食品協会によれば平成29年度における国内消費については、国民1人当りの年間消費量は、22.5 キログラムとなり、過去最高を記録した。また、金額ベースでは 1 兆 585 億円と 1 年ぶりに 1 兆円を上回ったとのこと。この伸びの一番の理由は従来の子供の弁当惣菜ということからさらに進化した時短調理要請によるものと推測されている。冷凍食品についてはその技術の進歩もあって、今や夕食用の本格冷凍弁当まで販売されており、夫婦共稼ぎ世帯では必須食品となっている。
こうした時間に追われる生活であるが、実は自由時間を創り出すためのものとしてあり、今風に言えば、ワークライフバランスのための必須アイテムとなっているということだ。ここから得られた「時間」をどう使うかであり、その自由時間は日常生活の中心となっているということである。

デフレというと節約という言葉とともに何か暗いイメージで語られることが多いが、生活者は収入が増えないなか、楽しむための様々な工夫をして自由時間を確保しているということである。総務省の調査からも「自分の 趣味にあった暮らし方をする」とした人が一番多く40%前後となっているように、もう少し言うならば暮らし方とは「好きな時間」をどう創るか、どう使うかである。
そこでメーカーも小売業も等しく行って来たのが「小」への再編集であった。量やサイズはもとより価格までを小さくして販売して行く革新であった。こうした革新から生まれた代表的業態が前述の「100円ショップ」であった。しかし、スタート当初のダイソーはその成長の鍵として”100円で「こんなものが買えるのか」という新鮮な感動”を提供するために、次の3つを目標とすることにあったと創業者は語っていた。
1.「買い物の自由」;
すべて100円、価格を気にせず買える。買い物の解放感、普段の不満解消。「ダイソーは主婦のレジャーランド」。2.「新しい発見」;
「これも100円で買えるの?!」という新鮮な驚き。月80品目新製品導入。
3.「選択の自由」;
色違い、型違い、素材違い、どれを取ってもすべて100円。
さて現在のダイソーをはじめとした100円ショップはどうであろうか。アイテム数の格段の増加などあるが、より顧客に近ずくためのアイディア・工夫された商品が数多く店頭に並ぶ。例えば、固いバターをふわっと削ってくれるバターナイフ。10数年前ヒットしたご飯粒のつかないしゃもじと同じ着眼商品であるが、このように小さな「新しい発見」が次から次へと誕生している。困ったときの100円ショップから、生活を楽しく刺激してくれる100円ショップへの進化である。少し褒め過ぎかもしれないが、絶えざる小さな生活革新創造企業であろう。

さて今起こっていることの本質は日常生活の再編集ということになる。ハレとケという言い方をするとすれば、「ケ」をどれだけ豊かに楽しみを持った暮らしとするかが消費の中心となっているということである。例えば、その日常とは表通りではなく路地裏に、埋れていた街場の中華料理店に、日常の賄い飯が裏メニューに、朝市など雑多な商品が集まる市場に、・・・・・・・「雑」をどのように生活に取り入れ楽しむかに関心事が移っており、そのためには多くのものを「小さく」することが必要となっているということである。価格も、量も、そして多様なサイズ・カラーも、そして何よりもどんなアイディア・着想なのかが明確になっていて、それが刺激的であるか否かが消費を促すこととなる。
つまり、アイディア自体も小さくてかまわない。そうしたアイディア集を未来塾で後日公開したいと思っているが、例えば神奈川平塚の地域の人にとっては慣れ親しんだパンに弦斎カレーパンがある。カレーパンはどこにでもあるが、弦斎カレーパンの場合カレーライスのようなカレーパンで福神漬けまで入った文字通りのカレーライスパンである。もう一例挙げるとすれば、横浜六角橋商店街にある洋食の「キッチン友」に「友スペシャル」というメニューがある。一見すると山盛りの玉ねぎ炒めに見えるが、中から豚肉やポテト、人参などが出てきて小さな驚きが生まれる、そんなちょっとしたメニューである。日常とは特別なことではなく、大きな驚き・サプライズは必要ない。「雑」の中にちょっとしたアイディア、ちょっとした気遣い、そんな「ちょっと」が嬉しくてまた使ってしまう通ってしまう、そんな時代である。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:11│Comments(0)新市場創造
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