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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2018年06月07日

未来塾(32)「消費税10%時代の迎え方」(1)後半 

ヒット商品応援団日記No714(毎週更新) 2018.6.7.




消費税10%時代の迎え方(1)


かなり以前からデフレが常態化していると指摘をしてきたので、繰り返す必要はないであろう。一言で言えば、少し前まで物価上昇への期待と共に「消費」活性化への期待も生まれてはいたが、何故頓挫してしまったのか、答えは明白である。収入が増えない中では、最近また原油価格が上昇したり、人手不足による賃金上昇によって、一定の物価が上昇しても収入が増えない以上、消費心理は節約をはじめとした様々なお金の使い方など工夫をする、そんな消費の方向に進むのは至極当たり前のことである。理屈っぽくいうならば、賃金上昇が限られている場合、物価が上昇すれば、それだけ実質購買力が低下し、消費は落ちるということだ。

今回大阪という地域を選び、しかも主に「食」というテーマを選んだのも日常消費の中心である「食」、デフレ下の「食」に極めて「元気」な変化を見ることができたからである。
地域には地域固有の商い文化があり、消費文化もある。多くのものが標準化してしまった時代にあって、この「固有」が残されている地域の一つが大阪である。この固有文化、庶民の食が、どのように生まれ変化しているかその原型の世界を「うどん」に見ることとした。食い倒れの街としての歴史は古く、日本の食の誕生と原型がここ大阪にはあるということである。消費税10%という時代をどう迎えるのか、生活者が持つであろうその「増税感」を超える「満足」は何かという課題である。

「誕生物語」を今一度考えて見る

どんな企業も、その業種や規模の違いはあっても必ず「誕生物語」はある。そこには「何が」顧客を魅了したのか、そのビジネスの「原型」があるということである。うさみ亭マツバヤの場合、元祖きつねうどんは顧客から教えてもらったことから生まれている。肉吸いの千とせも顧客であった吉本の芸人花紀京が「肉うどん、うどん抜きで」と注文したことから生まれている。かすうどんはどうかと言えば、大阪人の焼肉特にホルモン好きから生まれたうどんである。まだその歴史は浅いが大阪ではかすうどん専門店が出現するほど、その市場の裾野は広がっている。さらに、シチュウうどんまであることを書いたが、これは「大阪的」と表現した方が適切ではあるが、市場の広がりを示した事例で、こんな食べ方、あんな食べ方、そんなアイディア・工夫のある「文化」、これが大阪の「食い倒れ」という消費文化である。食い倒れとは、大阪人の飲食にぜいたくをして、財産をつぶしてしまうさまを言い当てた言葉と言われているが、「そこまでやるか」というオタクのような一種の商いへの執着のことを指している。その根底にあるのは絶えざる工夫、常に顧客を見続ける商売ということになる。誕生物語に立ち返るとはこの原点に立ち返って今一度考えて見るということである。
そして、うさみ亭マツバヤの場合、その「おじやうどん」というもう一つの名物が生まれている。これは元祖きつねうどんは多くの飲食店でもメニューとして取り入れられ、一般化してしまったことによる。「違い」「新たな魅力」を創るという課題への一つの答えであろう。そして、うどんだけでなく、おじやも、そして具沢山のトッピングという新しいメニューが生まれ、次の名物になった。
千とせの場合は、この5月に吉本のグランド花月の1階に千とせ別館を出している。あくまでも吉本の芸人によって生まれた名物をより強めていく考え方である。そして、名物の肉吸いの「売り切れごめん」というのはその証左であろう。ある意味、肉吸いの誕生物語を薄めさせていくことなく、更に強めていく考えによるものである。何故なら、大阪では讃岐うどん系のうどん店も多く、うどん市場は激しい競争下にあり、更に言うならばお好み焼きもラーメンもあり、・・・・・・過剰なほどの選択肢の中での競争である。「千とせ」の観光地化という戦略はその誕生物語が面白い伝聞になるものであり、生き残るために不可欠なものとなっている。

野外すら劇場店舗とする発想

ここ数年賃料に見合う売り上げを上げられねい飲食店が続出している。常態化したデフレ時代にあって、旧来の「業態」の変革が求められていると言うことであろう。空き店舗となった銀座の店舗を居抜きで借りて、本格フレンチなど提供する「立ち食い」業態を聖刻させたのはあの「俺の」である。こうした既にあるものを生かす発想は古くは「紅虎餃子房」で知られている際コーポレーションもそうであった。六本木の破綻した中華料理店を借り受け「紅虎餃子房」をスタートさせたのが1号店で、以降店舗改装部署を社内に置いて多様な飲食業種に対応している。
あるいは「立ち食い」と言うスタイルも江戸時代の屋台をルーツとしているが、冒頭の居酒屋とよはそうした過去の業態にはない破天荒な居酒屋であった。テーブルと言えばホームセンターで売っているような家庭用のものであったり、ビールケースの上にステンレス製の板状のものを置いてあるだけとか、とにかく店舗(?)にお金はまるでかけていない居酒屋である。写真を見ていただければ分かるように屋根はあるものの雨であれば濡れるのは必至。アルバイトの女性に聞けば、雨の日はさすがに行列はないが、それでもお客さんが来ると言う。顧客層も「オヤジの街」と勝手に決めつけていたが、若い女性も多く、同じテーブルに相席したのは若いカップルであった。勿論、お目当てはインドマグロではあるのだが、この立ち食いスタイル、都市の中にポツンと空いた空間で、しかもほとんど路上との境目のない野外という、ある意味異空間のような店である。TV番組「マツコの知らない世界」ではないが、こんな場所に、こんな居酒屋があるとは知らなかった。
こうした面白さ、野外居酒屋を満喫したのだが、名物オヤジのもう一つのパフォーマンスを見ることができなかった。それはマグロの頬肉を網の上で焼くのだが、上からはバーナーで焼く、そんなパフォーマンスが見られなかった。ちょうど宮崎の名物である地鶏の網焼きに似ているが、しかもバーナーでも焼くと言うことでこれも名物になっているとのこと。実際のパフォーマンス写真ではないが、食べログの写真を載せておくこととする。
全てが標準化という均質世界にあって、今までとはまるで違う「異質」な世界に多くの顧客は魅せられているということだ。この野外劇場の主役はこの名物オヤジであり、名物のインドマグロということになる。

そして、ここから学ぶとすれば店舗が果たす役割は「人」によるライブ感、リアリティのある「劇場」にしなければならないということになる。ネット通販が中心となっている便利で安く手に入るこの時代に、有店舗の意味があるとすれば、この「実感劇場」ということになる。この実感劇場とは、店のスタッフと顧客とが「交感」する舞台のことである。いま風に言うならば、「いいね」を超えた信者・オタクにつながる舞台になるということである。ちなみに、新しくなったバルチカの焼き小籠包の店頭ののれんには「肉汁注意」というシズル感を投げかけるメッセージがあった。こうした店頭の工夫も劇場化の一つである。

「食」という新たなキラーコンテンツ

時代時代によってキラーコンテンツ、生活者が虜になってしまう商品はある。例えば、1950年代後半には電化製品でいうと白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が『三種の神器』と言われ、高度成長期には、カラーテレビ (Color television)・クーラー (Cooler)・自動車 (Car) の3種類の耐久消費財が新・三種の神器といわれ、今日のキラーコンテンツはどうかと言えば商品として言えばスマホということになる。つまり、内実はインターネットの世界であり、ITとでも表現するしかない。
今という時代にあって生活者を惹きつけるものがあるとすれば、それは「食」ということになる。家計調査を読み解けばわかるようにこの10数年で一番消費額が増えたのは「情報」への消費で、そのほとんどがスマホである。そして、その「食」であるが、デフレ下にあって切り詰めるのが「食」であり、生活者にとって最大の関心事は食で、しかも日常食である。節約、切り詰めるといっても戦後の物不足の貧しい時代の節約ではない。一見節約の対象である食がキラーコンテンツになることに疑問視する人も多いかと思う。しかし、その「食」に小さな楽しみを見出すデフレマインドにあっては、食は人を惹きつける新たなキラーコンテンツになっているというのが、私の仮説である。

正確なデータにはなってはいないが、消費を促す情報という視点に立てば、TVの情報番組や「孤独のグルメ」のようなグルメをテーマとした番組、あるいは旅番組などもその多くは「食」を取り上げたものばかりである。過去1980年代はTV番組の構成に多くのファッションブランドが番組制作上のコラボレーションとして使われていた。つまり、現在はファッションに代わって「食」がその役割を果たしているということである。今やご近所だけでなく、温泉などを組み合わせた食べ歩きが盛んであり、日帰りバスツアーのメインはほとんどが「食」となっている。しかも、周知のように「クックパッド」という投稿サイトは食への関心をさらに高めることに繋がっている。
こうしたことを背景に大阪に2つのキラーコンテンツが新たに生まれた。大阪ルクア地下の新バルチカとフードホール、もう一つが阪急三番街のウメダフードホールである。大阪の人にとって驚くことではないが、前者はJR線の駅ビル地下で、後者は阪急電車のホーム下という、つまり梅田という関西における一大ターミナルにおける食の集積商業施設である。更に言えば、この2つの商業施設の間には日本一の集客を誇る阪急百貨店の食品売り場がある。一見過剰とも思える梅田エリアへの集積であるが、各々顧客層が異なっていてある意味満遍なく顧客を魅了している点にある。
そして、ルクア地下のバルチカとフードホールは伊勢丹撤退跡の売り場であり、阪急三番街のウメダフードホールは中心からハズレにある北館という沈滞したエリアへの活性化策として実施され、現時点においては共に良い結果を残しているようだ。前者の顧客層は若い世代の男女が中心となっており、後者は近隣のビジネスマン・OLと共に阪急沿線住民・ファミリー層となっている。前者は1500坪、後者は700坪という大きな商業施設に顧客が押し寄せているという結果を踏まえれば、デフレ時代のキラーコンテンツとしての役割を果たしていると言えよう。そして、なんば・道頓堀を訪れていた訪日外国人は次第にこの2つのフードテーマパークにやってくるであろう。

鮮明になった「価格帯市場」という納得価格

そのデフレが常態化した時代の「食」というキラーコンテンツには鮮明な「価格帯市場」とでも呼ぶに相応しい現象が現れている。まず新バルチカとフードホールについてであるが、バルチカ成功の先導役を果たしてきたのが入り口にある洋風おでんとワインの店「コウハク(紅白)」である。何回かブログにも取り上げているので価格だけを紹介すると、グラスワイン380円、名物の洋風おでん180円と極めて手軽な価格帯となっている。
この新バルチカでもう一店行列の絶えない店がある。前述の鮮魚店が経営する「魚やスタンドふじ子」も同様の安い価格帯となっている。店頭のサイン看板には「海鮮が安いだけの店」とある。
京橋では当たり前となっている「昼飲み」がここ梅田の駅ビル地下で推奨されているのだ。日本酒はコウハクと同じ価格の380円。
肴も380円を中心に200円台から高くても500円台。種類も豊富で店は若い男女で満席である。写真には写していないが、写真右側には行列ができており、キラーコンテンツの「食」にあって、更にキラーコンテンツとなっているのが、「洋」の紅白、「和」のふじ子である。ちなみにボリューム満点の刺身定食は995円と、これもお得価格。
ショッピングセンターの常であるが、幅広い顧客層に応えることが求められている。あまり良い比較例ではないが、焼肉の店が2店出店しており、肉にこだわった高級店「焼肉トラジ」と一人焼肉ができる「やきにく萬野」である。
「焼肉トラジ」と「やきにく蕃野」で、前者は老舗の本格高級焼き肉チェーン店であり、後者は卸売問屋が経営する今流行りの「一人焼肉」のスタイルの焼肉店である。何故この2店を比較事例として取り上げたのかは、やはりその価格帯の違いである。前者は夜のコースだと5000円以上で昼のランチは1500円、後者は昼のランチは1000円程度となっており、マーケットの違いとは言え、前者はガラガラであったが、後者はそれなりの顧客で埋まっていた点にある。

余談になるが大阪ルクアには伊勢丹撤退跡にはユニクロとguが入っている。共に500坪以上の大きなスペースであるが、誕生祭というセール期間中であったが、ユニクロは一定の集客もあって売れている様子であったが、guは今一つといった状況に見えた。快進撃を進めてきたguであったが、それはジーンズ、ガウチョパンツといったヒット商品によるものであったが、その後のヒット商品は出てきてはいない。つまり、単なる低価格帯だけでは維持できないということも明らかになっている。それは同じように低価格メニューで快進撃を続けてきたラーメンの幸楽苑の低迷と同じである。周知のように290円まで下げたラーメンでは経営できず元の価格390円に戻す(新・極上中華そば)という路線転換を図ったように単なる低価格だけでは顧客は次第に離れていくということである。

今回取り上げたうさみ亭マツバヤのおじやうどんは780円、千とせの肉吸いも小玉とのセットで860円、居酒屋とよについてもあのボリュームの刺身などの三点セットで2850円。
今回は食べることができなかったが、大阪の友人に言わせると安くてうまいのは当たり前、うどんなら「なんばうどん」が良いと言う。ちなみにうどん そば170円。寿司を食べるなら新世界ジャンジャン横丁の大興寿司。回転すしではなく、カウンターで職人が握ってくれる寿司店である。一皿二貫ではなく三貫150円からという寿司である。そこには「これでもか!」といった超低価格か、更にそこにアイディアが込められたものしか生き残れないということである。
結果として、「納得価格」という考え方が生まれる。消費税8%の時は「まあこれでも良いか」といった心理であったものが、これからは今まで以上に明確な「納得価格」が求められるということである。そして、勿論納得価格は顧客が決めるということである。死語となった感のする顧客満足であるが、別の言葉で表現するならば徹底した「満足価格」ということになる。

共感価格の時代へ

今から10年ほど前、「付加価値という幻想」というタイトルでブログを書いたことがあった。付加価値の多くは「こだわり」という「訳あり」によって創られてきた。しかし、そうした情報はすぐ競争相手に伝わり、「類似したこだわり」が生まれる。結果、「こだわり」の再生産がなされ、市場に充満していくこととなる。「こだわり」は文化という固有性にまで時間をかけて昇華されないかぎり常に一般化してしまうということだ。いつの時代も顧客価値が価格を決める。消費税10%時代とは次の新しい価値時代を迎えるということである。居酒屋とよに見られたように劇場としてのライブ感のある「店舗」のあり方。単なる安さではない価格帯市場としての「満足価格」のあり方。そして、何よりも店の生き死にを決める「人」の活かし方。更には、デフレが日常化した時代における新たなキラーコンテンツ、「食」のあり方。そんなことを十分分かった「共感価格」へと向かう。つまり、納得から共感へ、これが消費税10%を超える消費であり、そしてブランド化へと向かうということだ。
誕生物語への共感、そして変化し続けることへの共感、そこに新たな価値消費が生まれる。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:08│Comments(0)新市場創造
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