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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2018年06月05日

未来塾(32)「消費税10%時代の迎え方」(1)前半 

ヒット商品応援団日記No714(毎週更新) 2018.6.5.




「消費税10%時代の迎え方」(1)

ロングセラー誕生物語と
その成長

来年10月には先送りを重ねてきた消費税10%が間違いなく導入されるであろう。8%と10%の差はわずか2%であるが、高くなったという消費心理は勿論のこと、10%への心理としては「わかりやすく」なったということである。例えば、税抜き前1000円であれば今までは1080円であった商品が1100円になり、その差20円高くなったという受け止めではなく、消費税が100円になったという心理が働くことは間違いない。つまり、「わかりやすく」とはそれだけ強いインパクトを持って受け止められるということである。これから1年4ヶ月ほど未来塾の主要なテーマとして、この「消費税10%時代」を軸に考えていくこととする。

どんなビジネスであれ、安定した売り上げ、しかも継続してわずかでも成長するビジネスを目指す。いわゆる求められるのはロングセラー商品であるが、これは言い得て極めて難しい課題である。消費税10%時代、いや国の借金を考えればそれ以上の消費税率が財政健全化上必要な時代を迎えており超えなければならない大きな課題である。

ところでロングセラーとは言葉を変えれば、老舗のことであり、ブランドにも繋がるキーワードである。もともと日本は周知の通り世界でダントツNo.1の老舗大国である。何故何百年も続くのかというテーマについてはブログにも何回か書いてきたのでここでは再録はしないこととする。ただ世界最古の建築会社である金剛組が幾多の戦乱に出合い、明治維新による廃仏毀釈によって仕事が失われ、それでも今日まで存続している理由を思い起こすことが必要である。。
ここでは愛され続ける訳、永く使われる訳、その「訳」に着目し、人を惹きつけ続ける魅力がどのように生まれ、それが人から人へと伝わり広がっていくのか、そうした「消費物語」に焦点を当て「消費税10%時代」の生き残りの術を見出していくこととする。

野外劇場という「パフォーマンス」

劇場化というキーワードが広く一般化したのは小泉政権の誕生によってであった。周知の元総理小泉氏による多くのパフォーマンスの意味は、人目を引くための演出・演技のことであり、あらゆるものがメディア化してしまった時代には、その人目をひくために周到な「舞台」がつくられることが必要であった。小泉劇場はそのわかりやすいパフォーマンスの第一歩であった。
ところで冒頭の写真は大阪の人にはよく知られた京橋の路上にある立ち飲み居酒屋「とよ」である。京橋はJR環状線と京阪電車とが交差する街で飲食店も多く「オヤジの街」、立ち飲み居酒屋も多く「昼飲みの街」とも表現されている街である。
実は京橋は初めてであったので大阪の友人に街歩きをしながら案内してもらった。全国的にはマイナーな小さな路上劇場ではあるが、劇場のなんたるかは小さくてもわかりやすくあった。

名物はインドマグロをはじめとした海鮮と気さくなオヤジで行列が絶えない店として知られている。面白いことにJR環状線京橋駅北口から歩いてわずか数分、裏手が市民墓地というなんともユニークな立地である。普通であれば縁起が悪いと避けがちな立地だが、そこを逆手にとって笑い飛ばすのが大阪商人らしいところだ。実はその名物オヤジに話を聞きたかったのだが、その日は体調が悪く店にいなかったので、一番古くからアルバイトをしている女性に聞くことにした。彼女曰く20年ほどアルバイトをしているので、その数年前にこの居酒屋とよが生まれたので創業は24年ほど前であると。そして、当時から行列が絶えず、数年前には横の土地に屋根を作り店を広くしてきたと。そして、名物メニューであるマグロのセットメニューも変わらないとも。勿論、保健所の認可を受け、水洗トイレもある。名物のマグロ・魚介のための冷蔵庫は5つほどあると言う。

基本は全てセルフサービス、立ち食い、しかし出されるメニューは本格・・・・・・・5年ほど前に銀座で話題となった「俺のフレンチ・イタリアン」と考え方は同じで、何を売り物にするか明確になっている。「俺の」の場合は1日の客回転が6回転を超えていたと記憶しているが、この居酒屋とよも同じで営業は火・水・金・土の4日間で時間も1日6時間ほど、行列ができてももその回転が早いので待ちくたびれることはない。通常飲食店の場合は厨房などの投資が大きいが、「とよ」の場合も見ての通り極めて小さく、空き店舗を居抜きで改装して出店する「俺の」と比較しても更に効率良い経営となっていることがわかる。そこにはあるものを徹底して使い切るという発想である。そして、聞くところによると居酒屋とよの年商は1億を超えていると。

こうした経営を可能としている第一は、やはり顧客を魅了するそのメニューのダイナミックさにある。中心はインドマクロとのことだが、その部位ごとのメニュー化も図られていてロスもなく、顧客を喜ばせるだけに終わらない。久しぶりにインドマグロの刺身を食べたがこれも旨かった。数年前から「インスタ映え」が時代のキーワードになっているが、単なる「映え」であれば一過性で終わる。居酒屋とよは物の見事に一つの「劇場」になっている、顧客はその鮮度をはじめとしたライブ感に魅了されるということである。
写真は名物となっているマグロの刺身である。値段は3種類のセットで2850円。2〜3人前というボリュームであるが居酒屋チェーンと比較し価格だけを見れば極端に安いとは言えない。しかし、食べてみると誰もが美味いの一言で納得・満足。大阪のパフォーマンスは「実質」そのものであり、居酒屋とよは「ザ・大阪」という丸ごと大阪を楽しめる劇場であった。
そして、写真を見てもわかるように顧客には「オヤジ」もいるが若い男女も多く、アルコール離れが進む世代と勝手に決めつけてはならないと感じた。

「うどん物語」の誕生とその広がり

”食い倒れの街”として親しまれている大阪の食文化の中でも「粉もん文化」と言えばたこ焼きやお好み焼きとなるが、もう一つあるのが関西の出汁と共に食べさせてくれるうどんである。うどんと言うと讃岐となるが、広く庶民の食べ物として定着したのが大阪うどんである。それだけ競争も激しく「違い」を求めたうどん市場となるが、大阪うどんの老舗店にはその誕生と広く行き渡ってきた物語がある。つまり、競争によって生まれた誕生物語とその変化である。

元祖きつねうどん;うさみ亭マツバヤ

南船場にある明治26年創業の元祖きつねうどんの店である。大阪には日常的に頻度多く来ていたが、うさみ亭マツバヤはほぼ30年ぶりの訪問であった。御堂筋線心斎橋駅を降りて店に向かったが周りは多くのビルに囲まれ当時の雰囲気はまるでなかったが、店先は昔のままで当時を思い出した。実はきつねうどん発祥の店として大阪の人にはよく知られている店である。30年前に案内してもらった人に言わせると、甘辛く炊いた揚げをサービスとして別の皿に出したところ多くの客がうどんの上に乗せて食べていたことからきつねうどんが生まれたとのこと。
そして、もう一つの名物が「おじやうどん」である。その名の通り、四角い鉄鍋に半分がうどん、半分がおじやとなった煮込みのメニューである。その欲張りメニューにはトッピングとして、かしわ
かまぼこ、穴子、しいたけ、ネギ、しょうが、半熟卵、・・・・・・・今回は更に海老の天ぷらを追加してもらった。いわゆる具沢山でシンプルな出汁で食べさせるうどんとは異なる。そして、大阪うどんにあっては少し濃い口の色と味の出汁で作られており、さらに「違い」を際立たせている。
このおじやうどんは780円で海老の天ぷら200円をプラスして980円であった。









肉吸いの千とせ

うどんと言うと道頓堀 今井が挙げられ、私も大阪にビジネスに来た時最初に案内してもらった店の一つである。そして、大阪の出汁と言う存在を知った店でもある。大阪観光の初心者向けには良い店である。もう一つの「うどん」の観光名所となっているのが、なんばグランド花月裏、いや道具屋筋の裏路地にあるうどん店「千とせ」である。吉本の芸人花紀京が「肉うどん、うどん抜きで」と注文したことから、肉吸いが生まれる。これだけであれば単なる誕生物語で終わるのだが、後に明石家さんまをはじめとした吉本の芸人が「うどん屋なのになんでうどんが入っていないのか」とギャグのネタにしたことから一気に広まることとなる。ちょうど新世界ジャンジャン横丁の串カツだるまがタレントで元プロボクサーの赤井英和が「ソースの二度漬けは禁止やで!」というフレーズと共に「だるま」を広めたことと同じである。そして、周知のようにだるまは銀座のど真ん中のGINZA SIXにまで進出することとなる。
つまり、名物商品の誕生物語を広く伝える「人物」が必要であると言うことである。「千とせ」には勿論きつねうどんもあれなカレーうどん、親子丼まであるが、名物の肉吸い目当ての顧客がほとんどのようで、この肉吸いが無くなり次第閉店となる。ちなみに定番メニューは肉吸い650円に小玉(小ご飯に生卵)210円。
市場というのはこうした新しいうどんの誕生と共に、更なる違いを求めたMDによって裾野は広が
っていく。大阪人にとっては至極普通のことであるが、アイディア満載の「うどん」も誕生している。心斎橋に讃岐うどんの流れを汲む川福という美味しい店もあるが、大阪うどんの裾野にはどんなうどんがあるのか見ていくと、その競争世界が見えてくる。









低価格で、しかもアイディア満載うどん

このタイトルそのままのうどんが大阪にはある。その代表的メニューが「かすうどん」であろう。飲んだ後のシメには東京だとラーメンになるが、大阪の場合はかすうどんとなる。このかすうどんの歴史は浅く1990年代と言われているが、次第にうどんメニューの一つとして定着し、かすうどんの専門店まで出現している。その「かす」とは牛の小腸・ホルモンを十分油抜きしたもので、東京でいうところの天かすをのせたたぬき蕎麦のようなものである。こうした表現をすると大阪の人に怒られてしまうが、関西の出汁に凝縮された旨味のかすが入ったアイディアフルなうどんである。
このかすうどんのように表舞台に出てくるかどうかはわからないが、大阪らしいアイディアのあるうどんがある。それは「シチュウうどん」で「あづま食堂」の名物メニューになっている。通天閣のある新世界の食堂のメニューであるが、写真を見ていただければわかると思うが、牛肉に玉ねぎ、それにじゃがいも、塩味のシチュウにうどんが入ったものである。
ハウス食品からご飯にかける専用のクリームシチューのもとが新発売されたが、かなり前から大阪では塩味のシチュウにうどんを入れて食べている。ちなみにあづまのシチュウうどんは500円。









変化を続ける顧客満足世界

少し前のブログにインバウンドビジネスが「西高東低」へと変化したと書いた。インバウンドビジネスもそうであるが、西=大阪は「元気」である。その元気とは失敗しても怯まない商売にある。元気の先頭を走っているのは周知のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)である。オープンした当時は西部劇のアトラクションもあって、こんなアトラクションを誰が面白いと思って来園するのか、疑問に思い興味も無く訪れることはなかった。しかし、その後ハリーポッターの導入を機に業績は反転した。実はその頃から新しい試みが随所に見られるようになった。その象徴が人気のアトラクション待ちとして実施されたUSJスタッフと主にファミリーの子供達との水鉄砲合戦というお金もかからない試みで、その後人気が出て本格的なアトラクションメニューの一つになった。それは顧客に投げかけ良いと思えば果敢にトライするという大阪らしい「やってみなはれ精神」であった。
そして、何回か未来塾にも取り上げたが、もう一つが寂れ果てた新世界の再生であった。街の再生に「飲食」、具体的には串カツ「だるま」が大きく貢献したことは周知の通りである。

2つの巨大フードホールの誕生

商業集積、特にSC(ショッピングセンター)のテナント構成を見ていくとその地域の生活者のライフスタイル変化が良くわかる。時代の変化、顧客変化によるスクラップ&ビルド、つまり何を変え、何を誕生させるかに、顧客満足を読み取ることができるということである。このスクラップ&ビルドによって、今大阪の「消費」が劇的に変化し始めていることがわかる。大阪の友人そのほとんどが顧客の流れが変わり、しかも新たな顧客も誕生し、まさに元気な大阪が生まれていると指摘する。

更に活況を見せる「ルクア イーレ」の地下飲食街バルチカ

大阪駅ビル「ルクア」に出店した伊勢丹が業績不振で撤退した跡に生まれたバルチカについては何度かブログにも触れているので繰り返さないが、バルチカのコンセプトに準じた飲食街の拡大と共に、隣り合わせに阪急オアシス(食品スーパー)が併設され、その「食」の集積度は極めて高く、文字通り「フードホール」が出来上がっている。
まず、新バルチカの方であるが、オープン当初から行列が絶えなかった洋風おでんとワインのコウハク(紅白)は相変わらず若い世代で溢れていた。他にも銀座で話題となった鶏白湯のラーメン篝(かがり)にも行列ができていた。まあ既に知っているラーメン店なので私にとってそれほど興味を引く店ではなかった。一番興味を惹いたのが「魚屋スタンドふじ子」という老舗鮮魚店が経営する「ザク飲み」の店である。席数も70席ほどと思われるが、2日にわたり3度ほど訪れたが常に行列状態であった。人気なのは鮮魚店としての鮮度ある魚介ということだが、ドリンクを含めどのメニューもほとんどが1品300円台という安さである。しかも行列をつくるその多くが若い世代で前述の昼飲みの街京橋ではないが、昼間から一杯という顧客が多いことに驚いた。アルコール離れ世代と言われてきた若い世代であるが、コウハク(紅白)同様やり方次第では新しい顧客を創ることができるということである。

このバルチカの奥まったところに阪急オアシスの新業態「キッチン&マーケット」という食品マーケットが連なっている。大阪の人には知られたスーパーであるが、東京でいうところのクイーンズ伊勢丹的スーパーである。飲食街に連なるマーケットとしてそのエンターティメント性、目からも楽しめる売り場づくりとなっている。このルクアイーレの2階には国内外の生活雑貨からアクセサリー雑貨までを集積したマルシェのフロアがあるが、そんな「雑」を集積した食品フロアとなっている。それまでのバルチカ飲食街とこの阪急オアシスによるフードホールというネーミングの通り約860坪という大きな食の雑エンターティメント世界が出現したということである。ある意味、これでもかというぐらいの食の楽しさが提供されており、大阪の新名所となっている。
このフードホールと新バルチカを合わせたB2階の面積は約1500坪に及び巨大な「食」のエンターティメント世界が誕生したということである。

もう一つのフードホール、阪急三番街北館

阪急梅田駅の商業施設「阪急三番街」北館地下2階に3月28日、飲食エリア「ウメダ フードホール」が開業した。この阪急三番街というSCは簡単にいうと阪急電車の梅田駅ホーム下・改札下にある巨大な商業施設。オープン以降、このフードホールにも連日多くの顧客が押し寄せている。ソファ席、ボックス席、カウンター席、立ち食い席など飲食スタイルに応じた多種多様な約1000席を全て共用で配置した総面積約700坪弱というフロアである。このゾーンは北の外れにあり、立地的にも厳しい場でともすると古書の街(現在は移転)に繋がる通路的なものとして魅力のない場所であった。今から25年ほど前のリニューアルでは当時のキラーコンテンツであったキャラクター世界を集積した「キディランド」など特定顧客には強い吸引力を持った専門店が上の階に編集されていたが、下の階にはなかなか顧客を呼び込むことが難しいそんな場所である。

このウメダ フードホールに出店した飲食店舗を見ていくと新バルチカと比較し、若者というより大人・ファミリー向きの店舗構成となっており、価格帯も少し上になっている。ちょっとした違いを売り物にした飲食店が多く、「鳥焼き・蕎麦(そば)・おでん 一重」「天丼・天串・串カツ いしのや」「大阪梅田 花火寿司(すし)」あるいは「宮武讃岐うどん」といったところで、実は懐かしさもあって名古屋の「矢場とん」のみそかつ丼を食べた。
昼時には少しの行列もできていたが、オペレーションもスムーズで座る席を確保する方が大変である、そんな賑わいであった。大阪の友人の一人は混雑がひどく食べるのを諦めたと話し、もう一人は阪急三番街では古くからある南館の「インディアンカレー」に行列ができており、人の流れが変わってきたと話す。
2つの「フードホール」、私の言葉に変えれば2つの「フードテーマパーク」の誕生ということになる。実は一見この過剰とも思える「食」の持つ意味を考えていくことが必要である。デフレが常態化した時代にあって顧客を惹きつけるものとしての食。そのことはまさに1年数か月後に実施される消費税10%を迎えるための戦略、ロングセラーという生き残るための施策。小さな単位で言うならば街の商店街から商業施設、更に俯瞰的な視座に立てば街の再編集・再生への鍵となる「テーマ」ということになる。




(後半へ続く)

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