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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2018年01月08日

「いいね」時代の落とし穴 

ヒット商品応援団日記No698(毎週更新) 2018.1.8.

前回のブログではモノ充足から離れた成熟時代の「いいね文化」「共感物語」について書いた。ある意味、それまで気づかなかった、埋れていた生活文化への「いいね」であり、その共感物語が消費に繋がるという主旨であった。ただ「いいね」という表現はSNSのそれと直接結びつき誤解が生まれるかもしれないので前回のブログに続きこのテーマについて書き添えておくこととする。
実は何故「いいね」という共感に多くの人がひきよせられているかというその社会的背景を明確にしなければならない。マーケティングの基本に「問題点こそ市場機会である」という基本的な視座がある。これはことマーケティングという狭い分野だけでなく、周知のP.ドラッカーが自らを社会生態学者であると言わしめたように、「社会」を見据える視点のことでもある。

ところでこの視座を持って、何故「いいね」に人は魅了されているのかである。その背景には前回も少し触れたが、個人化社会の進行が大きくある。社会の単位が家族や会社という単位から「個人」へとその重心が移動してきたことによる。そこには当たり前のことであるが、「人は一人では生きられない」という心の「隙間」が生まれてくる。この隙間を埋めるかのように、他者の発言や表現内容に「共感」する。この共感の世界を広げることに成功したのがFacebookであるが、以降共感マーケティングやシェアーマーケティングといった販促策が登場してくる。社会心理から言えば、共感することによって自己承認欲求を満たすという構造である。

実は本当の共感とは、「あの人の気持ちがわかる」ことではなく、「共に通じ合っている感覚」のことである。つまり、「感じる」ことがベースとなっており、常にその感じ方は変化するということでもある。この事例として良いのかどうかわからないが、昨年の総選挙における希望の党の小池百合子代表の「排除発言」によってそれまでの「自分たち有権者のことをわかってくれていた」という共感は、一言で言えば「私とは通じ合っていなかった」という真逆の方向へと大きく振り子が振れた社会現象を目のあたりにしたことがあった。ある政治評論家は「それまでのいじめられっ子であった小池代表がいじめっ子になったしまった」と明確に指摘をしていたがその通りである。この排除発言によって引き起こされた「違うじゃないか」という感覚が真逆の結果を産んだということである。「感じ方」はたった一言で変わる事例である。

マーケティングにはロングセラーとベストセラーという2つの「売り方」がある。厳密に言えば、「顧客が求めた2つのあり方」と言ったほうが正確である。例えば、1990年代末、渋谷109で起きたベストセラー「事件」が当てはまる。その中心は周知の「エゴイスト」というファッション専門店でカリスマ店長という言葉と共にまさにベストセラーとなった。ファッションという「情報商品」には多く当てはまるのだが、「一挙に売れ、あっと言う間に売れなくなる」と言う極端な「ブーム」のことである。当時の状況を「エゴイスト」の代表である鬼頭さんにインタビューした折話してくれたのは「売るのを制限した」という、つまりブームを終わらせることであった。つまり、商品の持つ魅力によって売れたのではなく、今の言葉で言えば「いいね」連鎖が起きたからであったと話してくれた。「連鎖」は一定の範囲で必ず終わるということである。

「いいね」時代をどう乗り越えるかという課題を前にしているのだが、問題はその「いいね」の中身とその伝え方ということになる。「感覚」に訴えかけることは必要な時代である。昨年の流行語大賞になった「インスタ映え」はビジュアルという最も「感じる」ことができるメディアとなっている。今や飲食店に行けば、食事の前に写真を撮る人間が数多く見られる。その食事が美味しければリピーターになるが、ごく普通の食事であれば、他のインスタ映えする飲食店へと向かう。つまり、そうしたマーケットを顧客対象とするのであれば、次から次へとそのビジュアルをこれでもかと変えていくことが不可欠となる。しかし、それが驚くようなビジュアルで無くなった時、真逆の結果へと向かう。もう一つの方法はより深みのある商品・サービスへと磨き上げ続けることである。こうしたリピーターづくりの先にはブランド化、老舗へと向かうこととなる。
これらの違いを前回のブログでは前者を情報フロー型、後者を情報ストック型とネーミングしたが、どちらかの道を選ぶこととなる。

この「いいね」という言葉、感性世界の前段階として「かっわいい〜ぃ」という言葉があったことを思い出す。この「かっわいい〜ぃ」は物語消費時代における視覚の言語化現象である。1990年代後半から、この「かっわいい〜ぃ」という言葉はあらゆる世界へと浸透していくのだが、何がかわいいのか、どこがかわいいのか、といっても意味は全くない。「かっわいい〜ぃ」という言葉の裏側に自己愛を見る事も可能であり、また日本語理解の足りなさを指摘することも必要である。ただ、コミュニケーション、表現という視座に立つと、過剰なまでの情報の中で、「かっわいい〜ぃ」は直感的表現そのものと言える。「いいね」も同様の表現である。「かっわいい~ぃ」は日本ファッションのキーワードとして世界の共通語となっているが、「いいね」もまた世界共通の感性ワードという点もまた同じ時代のキーワードとなっている。
繰り返しになるが、この感性世界のあり方もまた常に変化していくことを忘れてはならない。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:32│Comments(0)新市場創造
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