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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2017年10月04日

「人気者」という罠

ヒット商品応援団日記No688(毎週更新) 2017.10.4.

政治をテーマとしたブログではないのでほとんど書くことはないが、2005年にブログをスタートさせた時期がちょうど小泉郵政選挙の時期と重なり、当時の小泉総理を1個の商品、小泉ブランドとして見立て、その戦略を消費論的に分析したことがあった。その中で使ったキーワードが「小泉劇場」で、劇場化社会におけるブランドの創造と衰退がテーマであった。というのも市場が心理化し、政治も、ブランドも、ある意味「未来への期待」がその本質にあることからであった。
ブランドは情報によって創られるものであるが、つまりコミュニケーションによってあるが、過剰な情報が行き交う時代にあって、ブランド・メッセージが届かない時代にいる。その突破戦略として採用されたのが劇場型コミュニケーションで、その名の通り、舞台があり、主役や脇役がいて、どんなパフォーマンスを行えば観客は喜ぶか、シナリオと演出が用意されるコミュニケーション手法である。そのパフォーマンスは、「わかりやすさ」と「驚き・サプライズ」にある。小泉劇場は物の見事にこの2つ、わかりやすさは”ワンフレーズポリテクス”であり、驚きは”自民党をぶっ壊す”であった。多くの国民は圧倒的な支持、いや共感・拍手を送り当時の支持率は80%近くであったことを思い起こす。恐らく戦後政治にあって初めての人気者であった。
そして同時に、この人気者も小泉劇場の無くてはならない脇役田中真紀子という女房役を外務大臣を解任することによって急激に支持率を落としたこともまた思い起こさせる。

周知の通り東京都知事選を勝利し、都議会選挙においても55議席という圧倒的な勝利を納め一躍人気者となった。前都知事の舛添氏の辞任の模様を1年数ヶ月前次のようにブログに書いた。

『メディアサーカスという言葉がある。過熱報道、集中報道といった意味合いの言葉である。舛添都知事に関する疑惑は東京ローカルの問題にもかかわらず、週末の舛添都知事との記者会見は民放各局はその模様を全国ネットでライブ中継するという異常なまでの報道であった。コミュニケーションの専門家であれば熟知していることだが、こうしたニュースが全国にわたって微に入り細に入り繰り返し伝えられ、一大狂騒劇と化した。
その舛添要一という人物についてであるが、「朝まで生テレビ」に颯爽と登場し、舌鋒鋭く多くの論客を圧倒した。以後政治家になり、母親を介護し、厚労大臣にまで上りつめる。そして、次の総理候補としてもてはやされた。それら人物像はTVによって創られたイメージの高さによってであり、「政治とカネ」の問題で辞職した猪瀬前都知事に代わって、大きな「期待」を持って誕生した都知事であった。しかし、TVによって創られたいわば「人気者」は、繰り返し、繰り返し、謝罪の言葉は言うものの、違法ではないもののその公私混同の「セコさ」や「屁理屈」が伝えられるとどうなるか。謝罪は本気でも本音でもなく、「嘘」と感じさせてしまう。当然「期待」は失望どころか、一気に「怒り」へと変容する。』

舛添氏を小池氏に置き換えてもその構図、劇場型社会は変わらない。そして、小池新党を立ち上げた小池新党(希望の党)は「安倍一強多弱政治」を変えようと民進党との合流(吸収合併)に臨み、一躍台風の目となった。一大サプライズである。ところが、民進党からの希望の党への合流は丸ごとは”さらさらない””削除する”という「一言」、更には政策協定書といういわば誓約書をとることなど、それまでの小池人気、希望の党への追い風がパタッと止むことになった。それは新聞各紙・TV局メディアによる世論調査に如実に出てきている。つまり、大きく「潮目」が変わったということである。
その変容について、小池氏を側面から応援していた元総理の細川氏は毎日新聞のインタビューに答えて次のようにコメントしている。
『「(安倍政権を倒す)倒幕が始まるのかと思っていたら、応仁の乱みたいにぐちゃぐちゃになってきた。政権交代までいかなくとも、せめて自民党を大敗させて、安倍晋三首相の党総裁3選阻止まではいってもらわないと」と語った。小池氏が衆院選に立候補する可能性は「恐らくないだろう」とも述べた。
小池氏は日本新党結党以来、折に触れ、細川氏からアドバイスを受けてきた。希望の党の公認を巡り、リベラル勢力や首相経験者を選別することに「同志として小池氏を手助けしたいと考えてきたが、排除の論理を振り回し、戸惑っている。公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と強く批判した。
 同じく日本新党出身の前原誠司民進党代表については「名を捨て実を取ると言ったが、状況をみていると、名も実も魂も取られてしまうのではないかと心配になる」と述べた。
 さらに自身が日本新党を結成したことを振り返り「政権交代という大目標に立ち向かうときは怒濤(どとう)のように攻め立てなければ成功しない」と、候補者擁立などで混迷する「小池の乱」に苦言を呈した。ただ、「首相を目指すのであれば、保守やリベラルにこだわらず、器量の大きい人でいてもらいたい」と、門下生への思いやりもにじませた。』

更に、小池知事を応援し、圧倒的な都民ファーストの会の勝利の先導役を果たしてきた音喜多・上田都議の二人が離党すると発表された。その離党の理由は豊洲への市場移転問題や東京オリンピック・パラリンピックなどの諸問題が山積しており、こうした取り組みについても情報公開されず、「安倍一強」ではなく「小池一強」になってしまったという小池氏の政治手法を強く批判している。小泉劇場と比較するとわかるが、小泉劇場の場合は女房役に田中真紀子氏がいたり、裏方にはイエスマンこと幹事長の武部 勤氏や飯島勲秘書官が居た。小池劇場の場合は小池氏一人だけで、脇役はおらず敵役だけで、演出もシナリオも小池氏一人である。「劇団ひとり」という多才なタレントがいるが、小池劇場は全て一人回しとなっている。今回の総選挙が突然決まるという奇策により、他党は全て準備不足となっているが、希望の党の場合はこの「一人回し」による矛盾であり、時を追うごとにその矛盾が出てきたと見る方が正確であろう。

TVによって創られた人気者舛添氏は、TVを通じたマジョリティ(大衆)の「物言う力」によって辞職へと追い込まれることとなった。この事例から見てもわかるように、情報の時代にあっては、TVによっていとも簡単に「人気者」を創ってしまう。多くのタレントが間違ってしまうのは、自分の才能(タレント)によって人気者になったと錯覚してしまうことにある。人気者はTVという増幅する「映写機」によって映し出された虚像であって、実像ではない。最近では”このハゲ〜”で注目された豊田前議員も不倫報道の山尾前議員も逆の意味で同じ構図の中にある。今回の総選挙に出馬するようだが、本来目指すべきは実像は地元有権者が一番知っている。実像としての人気者であるかどうか選挙結果が明らかにするであろう。

「小池人気頼み」によって民進党から希望の党に合流した前議員は少ないとは思うが、TVが映し出す世界には、虚像としての世界が含まれるという自覚が不可欠である。さらにはTVというメディアを意図的に自由に使えるという「思い上がり」が社会には存在しているが、舛添氏の場合そのTVは同時につぶさにセコさや小狡さ、あるいは違法でなければ何をやっても、そんな実像をも映し出していく。逆にメディアに復讐されたと言っても過言ではない。
また物言うマジョリティの行動、政治でいうならば「無党派層」についてビジネスに置き換えると、「ブーム」という一過性の現象とよく似ている社会心理である。トレンドという一つの人気情報による潮流、話題となったことに自らも乗ること、若い世代の言葉で言うと、「KY・空気読めない」そんな一人にはなりたくない、一種の仲間内の自己保身本能に似ている心理である。まさか希望の党に合流した前民進党議員はいないとは思うが。

ブランドの本質はその未来価値にあり、それは顧客が創るという当たり前のことである。政治に置き換えるならば、選挙区の有権者一人ひとりによって創られるということである。ブランドの価値、つまりそこから生まれる「人気」は顧客によってのみ創られ、また忘れ去られることもあえrば、場合によっては悪評から「嫌悪」へと変化する。この揺れ幅の大きさと急激さはこの情報の時代の最大特徴となっている。
元総理の細川氏が応仁の乱のようにぐちゃぐちゃになってきたとコメントしているが、周知のように室町時代後期に発生し、戦国時代への転換点となった応仁の乱は複数の守護大名家の家督争いや将軍家の後継問題、有力大名の細川勝元と山名宗全の幕政をめぐる主導権争いなどを要因として、全国の諸大名が東西両軍に分かれる形で応仁元(1467)年に勃発した戦乱である。ベストセラーとなった「応仁の乱」(中公新書)によれば、寝返りが相次ぐなど混迷を極めた戦乱は11年にわたって続き、主戦場となった京都の荒廃や室町幕府の衰退を招いたと言われている。
民進党の希望の党への合流問題に端を発し、都議選までの小池人気は終わり逆風が起き始めている。希望の党と立憲民主党との間でドロドロとなった選挙戦が既に始まっている。そして、希望の党は選挙が初めての候補者も多く、公職選挙法違反が多発すると言われてもいる。こうした問題は与党自民党の場合も抱えており、多くの世論調査を見てもわかるように安倍政権への支持率は相変わらず低い。しかし、自民党への支持率は高いのだが、自民党はいわばネイティブな党であり、問題があれば内閣総辞職をし、リーダーを変えるという自浄作用を働かせてきた。恐らく総選挙がなければ自民党内部でこうした自浄作用「安倍おろし」が活発化していたと思う。そうした意味で、与野党共に混迷・混乱は必至である。政治ブログではないので、この程度にしておくが、政治においては平成の応仁の乱が始まり、政局の混乱はこれからも続くと見なければならない。
繰り返しになるが、人気者が悪いのではない。人気は顧客、有権者が創ることを忘れた時、平成の応仁の乱が始まるということだ。(続く)
追記 小池の風が止まったことに対し、更なるサプライズが用意されていると思うが、止まった風を再び台風にすることは極めて難しい。


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:29│Comments(0)新市場創造
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