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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2016年08月23日

訳ありから、こだわりへ

ヒット商品応援団日記No655(毎週更新) 2016.8.23.

リオオリンピックでは日本選手の逆転劇に歓声を上げ、夏の甲子園大会でも前評判の高かった3人の好投手が揃う中で、最後は作新学院の今井が見事な投球で優勝した。前回のブログで「ポケモン探しの夏が始まる」と書いたが、いたるところでゲームに熱中する若い世代を見かけた。こう書くと活気あふれる景気を想像してしまうが、それとは真逆の弛緩した景気状態である。
6月の家計支出は前年同月比実質2.2%の減少 、 前月比(季節調整値)実質1.1%の減少。世帯収入も名目0.3%の減少となった。その延長線上にこの夏もあると想像される。
そして、百貨店売り上げも5か月連続のマイナスで、7月は-0.1%とのこと。売り上げの2.6%を占める訪日外国人消費インバウンド売り上げは前年比-21.0%と大きく下げ、既にインバウンドバブルは終わったということである。
しかし、日銀によれば2016年第一四半期の保有する家計金融資産は1706兆円となっている。これも2008年のリーマンショック以降の「現金・預金」の資産構成が伸び、周知の通り株などではない「リスク」を避けた資産保有となっている。

実はこのお盆休みには何回か都心に出向くことがあって、幾つかの商業施設などを見て回った。どの商業施設も家族連れが多く、しかも訪日外国人観光客も多数見受けられた。特に、ターミナル駅や新たにできた新宿のバスタも混雑していた。また、ガソリン代が安いこともあって、報道によれば高速道路も例年通りの混雑を呈していた。
つまり、「人出」は多いが、特筆すべき行動や消費は見られなかったということである。以前であれば、「人出」は移動=消費のバロメーターであったが、長引くデフレ下にあっては特別な消費を引き出すことはできないということである。生活者の多くは、夏休みであれ、休日であれ、どこで何をどのように楽しむか、お金を使わない工夫にどんどん長けてきているということである。

こうした時代にあっては、アッと驚くような消費を期待してはいけないということである。必要なことは「意味ある」消費を創ることに徹するということである。その「意味ある」とは、商業の原点、顧客主義に立ち返るということだ。その顧客は「情報」によって動くものと勝手に決めつけてきた。確かに情報によって消費行動は促されることは事実である。しかし、その情報に翻弄され、時に騙された経験を多くしてきた。見た目ばかりで、内実が伴わず値段だけは高い。行列するほどのことはなかった。・・・・・・・・こうした感想は数多くあるのが消費の現場である。

つまり、消費者は消費のプロ、専門家であるという原点に戻ることに、私は「意味を見出すべき」と考える。このことは消費者におもねることでも、へりくだるサービスのことでもない。今から8年ほど前にエブリデーロープライスをポリシーとしたスーパーのオーケーを取り上げ、その訳あり商品についてブログに書いたことがった。以降、訳あり競争について、その訳あり内容の競争であると何回かブログに書いたことがあった。その主旨に沿うならば、「意味ある訳」の競争とは、消費のプロに負けない専門性、つまりこだわりをしっかりと持つということである。勿論、その「意味」は勝手に決め付けることではない。商売の原則である売り手と買い手の会話によってのみ、「意味」が確認される。安いから売れる訳ではない、高いから売れない訳でもない。長引くデフレは、訳あり」心理を更に内なる心理へと向かわせている。

その心理であるが、今の競争は訳ありから、「こだわり」へと進化している。どんなこだわりか、その意味あるこだわりに納得共感してもらうかの競争である。私の言葉で言えば、「オタク競争」のことである。例えば、B-1グランプリの第一回チャンピオンは「富士宮やきそば」であった。そのこだわりは幾つかあるが、当時私にとって新鮮であったのはイワシの魚粉をかけた焼きそばであった。ありそうでなかった焼きそばである。しかし、その焼きそばもどんどん進化している。最近の焼きそばでは東京神田神保町の焼きそば専門店「みかさ」もその一つである。もちもちした自家製麺、ソースもオリジナル、そして焼きそばの上に乗せるのはお好み焼きの具材である豚肉に卵。まるでこだわり手打ち蕎麦専門店と同じようなこだわりである。そして、焼きそばは日常食べるもので勿論価格も700円とリーズナブルである。このように焼きそば一つとってみても、その「こだわり度」は進化しているということだ。

3ヶ月前のブログにヒット商品は「街場」にあると指摘をした。日常の頻度利用商品である。デフレマインドが横溢する時代にあってヒット商品は小さな街場の専門店、つまりオーナー・店主の意志や思いが、細部にわたって表現されることの中にヒットが生まれていると。日頃利用するパン屋さんであり、中華屋さんということである。そんなこだわりパン屋さんの一つが、私の住む世田谷では東急世田谷線の松陰神社駅前にある「ブーランジェリースドウ」である。ブーランジェリースドウの人気商品は毎日食べる「食パン」で、予約なしでは購入できない。毎日、日常、飽きのこない、明日も食べ続けたいと思わせる「こだわり」商品である。そんな街場のヒット店は数多い。
最近あのユニクロが「ライフウェア」というコンセプトを広告表現に出してきた。値上げによる失敗、間違った価格設定を払拭するための商品戦略である。ヒートテックを始め素材開発にこだわりを見せてきたユニクロが、ある意味原点に戻ったコンセプトによる新商品「ライフウェア」が楽しみである。原点に戻ったとは、ユニクロというネーミングはユニーククロージングであり、創業時のヒット商品であるフリースがそうであったように、どんなユニークさを見せてくれるかという意味である。HPを見た限りではあるが、ユニクロ流のライフスタイル提案となっているが、そこにどんなこだわりの世界、新しさ、珍しさ、面白さが展開されていくのか興味深く見ていくつもりである。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:33│Comments(0)新市場創造
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