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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2014年11月19日

GDPショックって何?   

ヒット商品応援団日記No597(毎週更新) 2014.11.19 

7-9月のGDPの速報値が発表された。既に民間のエコノミスト42人による予測が日本経済研究センターからプラス2%前後といった数値で発表されていたが、この予測とは真逆なマイナス0.4%であった。項目別では全体の約6割を占める個人消費が0.4%増。設備投資は0.2%減。公共投資は2.2%増。在庫の寄与度はマイナス0.6ポイント、外需の寄与度はプラス0.1ポイントだった。発表と同時に多くのエコノミストが発表数値の内容についてコメントを出し、メディアもその発表数値を分析している。予測をした民間エコノミストはもっと消費は回復すると予測していたとコメントしているが、私は今回の0.4%増という消費はその程度であろうと思っている。予測したエコノミストはこの消費結果について、この夏の天候不順などを理由としているが、そんなことは理由にはならない。例えば、4-6月の百貨店売り上げの内容について宝飾貴金属商品はある程度売れていたが、7-9月それら高額品の売り上げは止まっている。百貨店売り上げはかなり株価と連動しているが、それすら継続しえていない。周知のように高い株価は外国人投資家によるもので、国内投資家にとっては先行き不安定ということであろう。また、食品などの必需消費も総体的に落ち込む傾向を見せている。0.4%増というその消費の背景についてであるが、このブログにも多様な視点をもって書いてきた。

まず一昨年の秋、既に消費増税対策が始まっているとブログに書いた。その背景には金利の安い状況にあって、住宅ローンの借り換えがヒット商品になっており、こうした大きな買い物を含めどれだけ安く買えるか、合理的な消費を見せていると。更に、この延長線上に昨年秋からの東京湾岸エリアを始めとしたっマンション・住宅取得ブームがあると。また、その後新車の販売台数についてもこうした計算心理は働いている。ホンダのNシリーズのようなヒット商品となったこともあるが、新車の販売台数の7~8割が軽自動車が占めるように変化してきた。これは自動車税やガソリン価格高騰への対応、燃費を考えたら軽自動車の方がお得。それほど車好きでない利用者にとって、軽自動車で十分という合理的消費が中心になったということである。そして、とどめは、今年の4月新消費税導入の結果についてであるが、不動産については的確な情報を提供してくれている不動産経済研究所の年間予測が発表された数値が大幅に訂正された記事を引用し、次のようにブログに書いた。

『2014年4月はどうであったかというと、不動産経済研究所による首都圏のマンション市場動向調査によると、4月の新規発売戸数は前年同月比39.6%減の2473戸と、マイナス幅はリーマンショック翌年の2009年3月(46.2%減)以来5年1カ月ぶりの大きさであった。これは前回の消費増税のあった1997年4月のマイナス幅は41.0%減で、当時に匹敵するマイナス幅である。
同研究所によると「市場が好調だった2013年に前倒しで販売したこともあり、今後も減少傾向は続く」とみており、2014年の年間見通し(2013年比0.8%減の5万6000戸)を下方修正する可能性を示唆している。』

更に、こうした計算された合理的消費の一つの事例として、消費が大きく落ち込んだリーマンショックの翌年はどんなヒット商品が生まれていたかというと、あのLED電球のように長く使えば「結果お得」という計算された消費であり、車であれば燃費を考えたらHV車となる。この延長線上に勿論軽自動車の好調さもある。ちなみに日経MJによるリーマンショック翌年2009年のヒット商品番付は次のようになっていた。

東横綱 エコカー、 西横綱 激安ジーンズ
東大関 フリー、    西大関 LED
東関脇 規格外野菜、西関脇 餃子の王将
東小結 下取り、   西小結 ツィッター

エコカー(HV車)」、「LED電球」、「下取りシステム」といった省エネ=省マネー商品が数多くヒットした。更に前頭には花王の「アタック Neo」という節水型洗剤やエコ容器のコカ・コーラの「い・ろ・は・す」も入った。そして、規格外野菜(=訳あり商品)も入っており、ここに表れている価値観は、費用対効果、費用対満足度、という新しい合理的生活への潮流である、とコメントした。そして、この時のブログのタイトルが「本格化する消費の減速」であった。

こんな予測は当たらない方が良いのだが、誰も指摘する専門家がいないので敢えてこうしたテーマ選んだ次第である。そして、今後についてであるが、リーマンショック後のヒット商品のような傾向を見せるかというと、新しい合理的商品、「結果お得商品」が生まれてくると思っている。明確にしておきたいことは、単に安いといったデフレ型商品ではない。例えば、200年代半ばに生まれた100均ショップはその後価格を超えたアイディアに溢れた商品へと進化してきている。更に付け加えるとするならば、馬鹿笑いのような「楽しさ」ではない、チョット笑える、そんな楽しさのある商品やサービスがヒットするであろう。つまり、景気が悪い時はこうした少しの明るさが必要であるということだ。但し、グルメレポーターでやたら大きな声で「おいし~い」としか言えない芸人のそれではなく、知的でオシャレな小さな笑いである。こうした着眼についてはで、12月上旬に発表される日経MJのヒット商品番付を踏まえて書くことにしたい。

今回のブログのタイトルを「GDPショックって何?  」としたが、生活者にとってのショックではなく、政府をはじめエコノミストや大学教授といった有識者にとってのショックである。ここ2年ほど街を歩き、商店街を観察し、そうした消費現場の実感をもって「未来塾」というレポートを公開している。そこに出てくる生活者は消費に関しては十分学習してきており、これからも計画的で合理的なすこぶる賢明な消費に向かう姿が見られる。10%の増税先送りは勿論のこと、実質賃金が消費増税分3%+物価上昇分に見合うものへと向かって欲しいというのが生活者にとって共通する要請である。景気回復への補正予算を組むとのことだが、そんな対処療法より日本の産業構造が既に変わりつつあるのに、その全体像を提示できていない政治にいらだちを感じているのだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:35│Comments(0)新市場創造
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