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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年05月16日

明るさの予感

ヒット商品応援団日記No467(毎週2回更新)  2010.5.16.

上海万博や南アW杯観戦ツアーは予測以下の予約状態であると報じられているが、数年前の生活者の消費意識とは根底から変わっていることを考えれば、至極当然の結果である。万国博覧会という世界各国の未来を映し出すことへの興味も、未来を感じ取れない情況の日本の生活者にとってはそもそも論外のテーマである。南アW杯観戦ツアーも治安の悪さも加わり、40〜90万円という高い費用をかけてまで観戦にいくのはごく少数のサッカーフアンだけだ。地デジ対応のTVを買って家でゆっくり観戦するといったように、まだまだ消費は内向きである。

しかし、3〜4月と続いた天候不順も治まり、少しずつではあるが消費に明るさが戻りつつあるように感じる。それは百貨店で高額な宝飾品が売れ始めたとか、あるいは売れなかった春夏向け衣料品が売れ始めたということではない。それは前回書いた「お得感」という世界の理解に、提供する側も、生活者の側も、同じ価値観に立ち始めたということである。
例えば、2年ほど前食品から始まった「わけあり商品」も衣料品・雑貨のアウトレット商品人気として広がり、更にはホテルや旅館の料金設定まで、鮮度に価値を置いていた商品やサービスは、提供する側もされる側も互いに価格として理解&納得し、それが普通となった。つまり、「わけあり」はブームを終え、日常として定着してきたということである。

確か4月上旬であったと思うが、コラムニスト天野祐吉さんが朝日新聞のCM天気図で、新党「たちあがれ日本」というネーミングにふれ、若い世代に対し景気回復でも経済回復でもなく、いきいきと呼吸できるような「人間の回復」を期待したいと書いていた。そんな「人間の回復」を基本政策にする新党なら「たちどまれ日本」という名前がいいと。
私流に理解すれば、失われた10年、いや20年もの間、生活者はたちどまって次の座標となる価値観を探していたと思う。時代の踊り場という表現を私は使ってきたが、パラダイム転換期には一人の生活者のなかで振り子のように異なる価値観が振れる。勿論、顧客のそうした変化に合わせるように提供者側、特に流通も振り子にように振れてきた。しかし、デフレ下の低価格競争もある程度底を打ち、「お得感」への一種の折り合いがつき始めた感がする。

ここ数回、草食世代、だよね世代の消費価値観についてブログに書いてきた。それを裏づけるような記事が日経MJ(5/12号)に掲載されていた。日経産業地域研究所が行ったコンビニの利用情況に関する調査結果である。その消費分析によれば、2009年度夜間の利用商品数が大幅に減少し、夜間利用の多数を占めていた未婚男性客の購入が減少。その購入中心商品である雑誌の落ち込みが特に目立っていると。その背景には節約志向と共に、帰宅時間が早まったことによると分析している。
こうしたリーマンショック後の消費、巣ごもり消費についてはコンビニサイドも早くから分かっており、商圏分析を踏まえ、ドラッグストアを併設したり、生鮮食品や惣菜を充実させミニスーパー化したり、北海道のセイコーマートのようにPB商品の開発を充実させるといった対策を行っている。つまり、従来の夜間も利用できる少々高いが自宅の冷蔵庫代わり、あるいは雑誌という情報仕入れといったコンビニ業態も少しづつ変化してきたということだ。

以前このブログにも少し書いたが、東京秋葉原にガンダムカフェが4/24オープンした。内覧会を行わなかったので、オープン当日見に行くことになったが、案の定長い行列が出来ており、中で食事することができなかった。行列には子ども連れのファミリーが多いのではと思っていたが、40代、50代の男女もかなり並んでいた。日経MJにも大きく取り上げられていたが、後日デベロッパーからの話によると、具体的な数字を書くことができないが、予測以上の売上を上げ順調に推移していると。
特に秋葉原という街は異なる価値観をもつ人達が交差している街である。再開発地域にはIT関連企業が入る高層ビルとそこで働くアジアの国からの技術者。一方オタクの聖地と言われるようなサブカルチャーが誕生する街であり、最近ではAKB48が出演する常設劇場もある。多様な価値観がぶつかり合う一種猥雑な街であるが、そこにこそエネルギーが生まれる。こうした街では、明快なコンセプトが求められ、今回のガンダムカフェはそうした明快さが支持を得たということであろう。
つまり、生活者内側に新しい消費行動へのエネルギーがふつふつと生まれ始めたということだ。提供する企業の側の方が萎縮し巣ごもり状態となっている。需要は在るものではなく、創るものである、この基本に立ち返る時に来ている。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:16│Comments(0)新市場創造
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