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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年05月05日

だよね世代再考

ヒット商品応援団日記No464(毎週2回更新)  2010.5.5.

「だよね世代」の名付け親は「下流社会」を書いた三浦展氏である。ここ数ヶ月司馬作品を読んでいたので、買ったまま本棚に積んであった「情報病」(三浦展、原田曜平共著/角川書店)をこの連休で読んだ。三浦氏曰く「下流社会より5倍笑えます」と言うように、いまどきの若い世代、草食系と呼称される世代消費論である。サブタイトルにあるように「なぜ、若者は欲望を喪失したのか?」とあるように、周りを気にしてばかりいて、周りの空気を読むから物欲が縮小してしまい消費不況の原因は若者が作る「村社会」のコミュニケーション、情報病に罹っている、というのが主旨であり仮説である。最大関心事である周り、友達村社会という関係を維持するキーワードが「だよね」という差し障りの無い、軽い相づちである。対立や争いごとを好まないそうした軽い関係ですら無くすことが出来ない、ただ増え続ける関係に謀殺される世代。電車の中で誰もが目にする象徴的光景であるが、8〜9割の若者は等しく携帯電話を手にしてメールを確認している、いや確認せざるを得ない関係に呪縛されている世代である。それを三浦氏は「情報病」と呼んだ訳だ。

ところで、数週間前に、確かNHKの特報首都圏という番組で、学生食堂に一人では入れない学生が増えていると報じられていた。周りの目が気になり、一緒に食べる相手がいない自分を見られたくない。結果、どこで食べるかというと、一人でトイレで食べているという内容であった。信じられないような内容であったが、ここまできてしまったのかと変な納得もした。
友達とはケータイ友達のことであり、常時接続という常につながっていたい、孤独は嫌いという心理である。自分とは何か、自分らしさとはケータイに入力されている番号とメアドの数ということだ。ケータイ依存症はケータイ病、情報病にまでその症状を悪化させている。無縁社会の孤独を一番恐れているのがこの世代である。

ちょうど1年ほど前、草食系というキーワードがメディアを通じて流され始めた頃、同じような意味をこのブログに書いていた。

「これは私の仮説であるが、今後の消費の在り方、構造転換を計る上での指標とすべき顧客像は草食系男子(女子もであるが総称した意味で)である。欲望そのものを喪失してしまっているかのように見える若い平成世代である。その代表とでも言われている草食系男女を評し、車離れ、結婚離れ、社会離れ、政治離れ、・・・・多くの「離れ現象」に「私」が表れているところが特徴である。良い悪いではない、好き嫌いでもない、彼らは生まれたときから激変する1990年代の現実を幼い目で直視してきた世代である。団塊世代が戦後60数年という時を駆け抜けたと同じように、わずか10数年で駆け抜けてきたようなものだ。しかし、モノ不足を体験してきた私のような団塊世代とは全く異なる価値観を持つ。私たち世代の若い頃、例えば車は憧れのモノであった。少ない給料から頭金をつくり、ローンを組んで手に入れる。そして、働きながら少しづつモノを生活の中に満たしてきた。百貨店についても同じような夢のある存在であった。しかし、草食系男女にとって、モノは欲望の対象ではないように見える。モノを含め、あらゆることに「距離をおくこと」で自分を守っているかのようである。しかし、八方美人ではないが、回りとの関係もそれなりに如才なくこなし、誰からも好かれる。優しい世代、ナルシスト、・・・・なかなか良いキーワードが見つからない新しい人間像である。」(ヒット商品応援団日記No374(毎週2回更新)  2009.6.10.)

当時、情報病に罹った若者を私は「20歳の老人」と呼んでいた。つまり、情報的には体験を積み重ね既に老人の域に達している、という意味に於いてである。実は情報縁というキーワードがマーケティングに使われ始めたのはインターネットの普及からであるが、その申し子が平成世代、だよね世代である。正確なデータがないので憶測の域をでないが、小さな村社会に生きている草食世代、だよね世代は今流行のツイッターにどれほどの関心事を寄せているかである。既に、テーマにもよるが、ツイッターという仮想空間は草食世代におけるケータイコミュニティ、友達村共同体として先行して実現されているのかも知れない。
否、恐らく友達村共同体から個として自立しないかぎり、ツイッター上では相手すらされないであろう。少なくとも、ツイッター上では互いに異なる価値観を持っていることを前提にコミュニケーションが行われる。友達村共同体もツイッターコミュニティも同じような仮想空間コミュニティのように見えるが、その根底において異なっている、そのように今私は理解している。

その草食世代、だよね世代の消費であるが、このブログにも何回か書いてきたが、友達といった数百名単位の関係消費圏においてはそれなりの消費を見せるが、ポスト団塊世代、新人類と呼ばれた世代がサブカルチャーとして見せたような強い特徴をもった個性消費とは真反対のものとなるであろう。
「だよね」という差し障りの無い世界、オシャレも、食も、旅も、一様に平均的一般的な世界に準じることとなる。大きな消費ブームは起こし得ないが、そこそこ消費になる。こうした関係消費から抜け出せるかであるが、社会という競争世界に身を置き、それまで友達といったゆるいフラットな世界から否応なく上下関係や得意先関係といったビジネス世界を生きる時、それまで培ったフラットな横の友達関係がまた異なる消費として出現するかもしれない。あるいは現実社会はそこそこにして、避難場所として友達村社会が継続発展していくかもしれない。いずれにせよ、当分の間は消費の表舞台には現れては来ないであろう。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:39│Comments(0)新市場創造
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