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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年03月21日

銀座の地価下落から学ぶこと 

ヒット商品応援団日記No4512(毎週2回更新)  2010.3.21.

先日国交省から2010年の公示地価が発表された。3/19の日経新聞には全国の地価一覧が出ていたが、やはり東京都心部の下落率、特に銀座の下落率は大きく以前ブログに書いたように銀座の商業地図が大きく変わったことを裏づけるものであった。ちなみに、銀座の中心部高額地点の地価(1平方メートルあたり万円/前年比)は
・銀座4丁目山野楽器  2840/▲25.7%
・銀座5丁目ソニービル  2500/▲25.8%
ところが都心部においても下落率の小さなところもある。その代表的地点は昨年10月池袋駅東口にオープンしたヤマダ電気日本総本店を始めとした家電量販店の激戦地域である。
・東池袋1丁目42-4   120/▲7.0
更には、西武百貨店池袋本店のある南池袋1丁目付近と東武百貨店池袋本店のある西池袋1丁目付近の地価は以下の通りである。
・南池袋1丁目11-22  160/▲8.6%
・西池袋1丁目17-10   456/▲5.0

まず言えることは、銀座と池袋という商業地の下落率の差である。そして、このヤマダ電気日本総本店は周知のように三越池袋店の跡地にオープンしたものである。更に言うならば、有楽町西武百貨店は今年限りで撤退する。不動産鑑定士でもない私の少し短絡的な見方かもしれないが、商業地域の活性、集客装置が百貨店や高級ハイブランド店から家電量販やカジュアル衣料量販店を始めとした低価格業態に移行したことを地価の下落率が表しているのではないかと思う。
更に、住宅地の地価下落は言うに及ばず、物価も不動産もデフレが深化している。少子高齢化がこれからも進むであろうし、現状の700万という空家を考えると、今後地価が上がる要素は極めて少ない。

ちょうど同じタイミングに日経MJ(3/19)は、イオンやセブン&アイだけでなく、ホームセンター大手のPB(プライベートブランド)の拡充をカインズを始め各社の特集を組んでいた。スーパー以外の流通業態が続々と低価格商品開発に自らリスクを負って参入してきたということだ。百貨店もそうであるが、デフレ対策、市場低迷を突破するために、低価格戦略をバネとしたことが広く浸透しているということである。
その日経MJの3/17号ではサービス産業生産性協議会による「日本版CSIランキング」を掲載している。上位50位の顧客満足の共通項をA(安価)、K(快適)、B(便利)としている。それぞれの代表的な企業として、Aの安価では回転寿司の「スシロー」、Kの快適には「スーパーホテル」、Bの便利にはネット通販の「ECカレント」を挙げている。しかし、私に言わせれば更に3社に共通しているのが安価、リーズナブルプライスである。ただ、全体1位には東京ディズニーリゾートになっており、顧客を魅了し、リピーターを満足させる特段のエンターテイメントサービスは他の企業と比較し、抜きん出ている。以前から私が指摘しているように、この東京ディズニーリゾートの集客数が大幅に減少した時、本格的な消費氷河期を迎えることとなる。

東京ディズニーリゾートもそうであるが、今注目されている「撮り鉄」と呼ばれている鉄道マニア、更にはフィギュア収集などのオタクといったマニア市場、コレクション市場は、規模は小さいながらも健在である。前回、キョロキョロ市場文化論で書いたように、「外」へ、「過去」へとキョロキョロ見回している一般生活者市場とは全く異なる市場がこの市場である。この市場の最大特徴は、例えばたまには美味しい食事を食べたい、オシャレな格好もしてみたい、・・・・・こうした誰でもが持つ欲望を捨ててでも自分のコレクションなどに全てを投資するパーソナリティを持つ。いわばアイドルのおっかけであり、その対象となるアイドルが美少女フィギュアであったり、懐かしいデゴイチであったりするだけだ。今年の5月に東京秋葉原にガンダムカフェを併設したバンダイミュージアムがオープンすると聞いている。ガンダムマニアは自身のことをガンオタと呼んでいるそうであるが、恐らく全国から集まることであろう。

マニア市場、オタク市場、といった市場は独自・固有な市場である。芸術と同じように、好きで堪らない人にとっては他に代え難いものだが、興味・関心のない人にとっては嫌悪すら感じるものだ。しかし、規模は小さくてもその独自性・固有性を守り育てていくことによって低価格の大波を超えることは出来る。前述のガンダムカフェが秋葉原に出店することはアキバ系と言われるオタク文化を深め、磨いていくことへとつながる。逆に、銀座は憧れをもって出かけていく独自な地域、ある意味ではハイスタイルを生み出す聖地から、どこにでもある普通の都市へと変貌していった。その結果が今回の地価下落の数字に表れていると思う。つまり、エリアというメディア性、情報発信性に独自性が無くなりつつあるということだ。
このことは地方に於いても同じことである。町起こし、村起こしが全国で盛んに行われ、地域間競争の様相を見せている。どこにでもある田舎を、ここにしかない田舎にすることの大切さを、銀座の地価下落が教えてくれている。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:47│Comments(0)新市場創造
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