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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年02月17日

情報の質とは

ヒット商品応援団日記No445(毎週2回更新)  2010.2.17.

1年ほど前、週刊東洋経済は日本のマスメディアが抱える問題を指摘し陥落へと向かうであろうと特集を組んだ。そして、また1年後「新聞・テレビ断末魔」という少々おドロドロしいタイトルで特集を組んでいる。既に1ヶ月以上前に、米国のニューヨークタイムズ紙が経営危機に陥りリストラが始まったとの情報を得ていたが、インターネットを含め情報源の多様さにどう向き合うかの問題は米国も日本も同じである。

今号では新聞各社の経営内容について詳しく分析されているが、一言でいえば、新聞広告離れが激しく、不動産事業等本業以外の事業でなんとか経営を継続している、という内容であった。つまり、インターネットという無料経済の嵐の中、広告と言う収入源によるビジネスモデルは最早崩壊し、次のビジネスモデルの構築が急がれているということだ。更に言うと、朝日新聞が特徴的であるが、本業以外の不動産事業の収益性が悪くなっており、楽観できない情況にあるという点である。ちなみに、今年末で退店すると発表した有楽町西武の大家さんは朝日新聞である。そして、超一等地ではあるが、西武百貨店が支払っていた家賃がそのまま得られるか、都心の地価が下がっていることもあり、収入減へと向かう恐れがあるということだ。

もう一つのマスメディアTV局であるが、昨年秋からスポット広告の復調の兆しが見え始めたこと。更に各社とも大幅な制作経費削減によって危機に対し踏みとどまっている。そして、地デジ整備への投資もほぼ終わり、経営的には楽になると分析されているが、疲弊した地方経済にネットワークを組んでいるキー局にとってネットワークを維持していくことは極めて難しいと指摘している。
つまり、制作経費削減は番組の質の低下を招き、視聴率という商品の価格を下げる結果となっている。その典型がTBSの「総力報道!THE NEWS」(18:40〜19:40)である。報道という一番制作経費のかからない便組であるが、一桁台の視聴率しか獲得出来ていない。TBSの経営も放送事業という本業は113億円という巨大な赤字であるが、「赤坂サカス」という不動産事業収入によってなんとか黒字を見込んでいる。これも朝日新聞と同じビジネス構造だ。

つまり、本業の再定義が問われているということである。このブログでもあらゆる業種・業態が次へと転換していく様を書いてきたが、一番遅れていたのがマスメディアということだ。なんとも皮肉なことであるが、情報を取り扱うマスメディアが時代に対し非情報的であったということである。
米国の経済紙ウオールストリートジャーナルは購読料を支払った購読者のみに閲覧できる有料モデルが成功を収めつつあるようだが、これも一つの方法である。いずれにせよ「情報の質」が問われているのであって、その質とは「未知なる情報」「限定・希少な情報」「面白い情報」の3つに分類できる。そして、各々の情報は「使うに足る」「使用性の高い」もので、「知られにくい情報」だけにお金を支払うということである。

こうした情報を受け止める購読者、視聴者と共に、広告と言う情報を提供するスポンサーの側も変わり始めている。まだテスト段階のようであるが、TVCMの標準である15秒CMが「5秒CM」が登場した。シャープの「プラズマクラスター」や日本コカコーラの「ジョージア」であるが、メディア・ミックス上の費用対効果等を測定していると考えられる。
こうした常識を破った「5秒CM」のように、他の業種・業態でも「次」を見据えたテストマーケティングが行われている。ブランドと提携した宝島社のおまけ付き雑誌、最近では調理道具付きのレシピ本を書店で売っているように、例えば書店も大きく変わろうとしている。
パラダイムチェンジ、価値観の転換期にはこうした本業を生かすためのテスト、小さなチャレンジが必要なのだ。インターネットという無料経済の中で、生活者が求める情報の質とは、インターネット検索では出てこない、知られにくい、未だ知らない、興味を喚起してくれる情報、ニュースということである。つまり、新商品開発、新業態開発と何一つ変わらないということだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:41│Comments(0)新市場創造
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