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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2009年11月18日

回帰のゆくえ 

ヒット商品応援団日記No420(毎週2回更新)  2009.11.18.

このブログを書き始めてから4年余となるが、多くの回帰現象について書いてきた。昭和回帰、和回帰、故郷回帰、といった時や場所への回帰が思い出消費として現れてきたり、自然回帰や家族回帰といった近代化によって壊されゆくものへの修復や取り戻しも数多く現象として出てきた。少し前にもサントリー角のハイボールを取り上げたが、昭和の時代のアルコール飲料も若い世代にとってはOld New、温故知新として受け止められるような消費の在り方もある。このように回帰はシニアばかりか、若い世代にとっても同様の多様な側面を持つ。
変化と不安が常態化した時代には、こうした回帰現象は底流としてあり、これからも起こってくる現象である。変わってゆくこと、変わらないこと、変化することが良いとする価値と継続することこそが良しとする価値この2つがせめぎ合う、まさに混沌とした時代の特徴としてある。

変化を象徴するものと言えば、やはりインターネットの進化であろう。ブログの進化系としてトゥイッターが流行っているが、「今、渋谷にいるが、美味しい店教えて」と発信すれば、「○○のこれがおすすめ」といった情報がすぐに手に入る便利な時代だ。数年前、若い世代でケータイ小説が注目されたが、アマゾンの電子ブックリーダー「キンドル」やiPhoneの端末で読める電子書籍も出てきた。つまり、Web時代が本格的に到来し、本の読み方や学習の在り方、情報と知というテーマを根底から考え直す時代にきたということである。このWeb時代を招いたのが周知のGoogleであるが、キーワードを入れれば瞬時に欲しい情報と出会うことが出来る。そうした便利さに慣れてくると、逆に検索で手に入らない情報はあるのだろうかと、ふと自問することがある。

私のマーケティング・ブログを訪問するキーワードには大きくは2種類ある。1つは人名で、だんとつに多いのが鬼頭一弥さんである。あの渋谷109のエゴイストを誕生させカリスマを育てた人物であるが、基本的には取材を受けないためマスメディアには一切登場しない、結果私のブログに来られるのだと思う。しかも、その多くは鬼頭さんの人物写真、画像を欲しがっているのも特徴の一つである。
もう1種類は、キーワードでいうと「未来予測の方法」と「うわさの法則」である。先が見えない、不透明な時代であることを良く表したキーワードだ。こうした「方法」や「法則」を欲しがっているとは、情報の時代にあって信頼できる情報がいかに少ないかである。
私のブログも、ちょうど1年ほど前から携帯を通じて訪問される方が増えてきた。私もそうだが多くの人にとって、携帯電話とPC、共に必携道具というより身体の一部分のような感覚があると思う。持たないで自由にいられたら、でも持っていないとどこか落ち着かないといった情報の時代に生きる奇妙な感覚である。

こうした情報の時代が進めば進むほど、自ら体験することへと向かう。つまり、自らの実感を拠り所とする、ということだ。特に、人工的な暮らしに慣れてしまった子供達にとって、この体験は不可欠となっている。社会体験のキッザニアしかり、芋掘りなどの収穫体験、昆虫採集体験、農家での薪割り体験ですらビジネスメニューになる時代である。
宮崎駿監督のスタジオジブリ内にある保育園はエアコンなし、バリアフリー設計ではなく間違えれば怪我もする、そんな保育園とのこと。自然は危険でもあることを自ら体験できる保育園であり、人間が本来持っている一種の実感力を鍛えることであろう。
情報の時代とは、見なくても、体験しなくても済んでしまう落とし穴が潜んでいるということだ。情報から実感へ、自らの感受性を磨く方向へと向かっている。

音楽業界も出版業界と同様に低迷している。大きなヒット曲もなく、CD売上は年々下がり続けるばかりである。アルバムを買うのではなく、好きな曲だけを安くダウンロードできる時代だ。しかし、クラシックからJPOPまでライブコンサートには多くのフアンが押し寄せている。何故か、そこにはリアリティ、臨場感、その場その時の空気感、そんな五感を震えさせてくれるものが求められているからだ。音楽の原点とは、こうした五感に訴えてくるライブ感にある。この原点に戻りえなくなった時、音楽業界も出版業界も消えてなくなるであろう。

さて、回帰した後はどのように考えたら良いのであろうか。これは私論ではあるが、回帰することによって感性は磨かれ、知は熟成されることとなる。過剰な断片情報は実感を得て、確かなものとなるということだ。自分の感性、自分の知を手に入れる、そんな時代となっていく。もし、ビジネスという視点を当てるとすれば、感性磨きの手伝い、知の熟成を手伝う、それこそが音楽業界、出版業界が課題・テーマとしなければならない。
ところで、新政権には次の経済成長を目指す戦略がないと指摘されているが、どうも「エコ立国」を旗印として掲げるようである。見事なくらいにエコ社会、循環型経済社会を創ったのが江戸時代であった。また、磨かれた感性、熟成した知が庶民レベルで開花したのも江戸時代であり、今日のライフスタイルの原型の多くは江戸にある。推測ではあるが、消費を含め「江戸回帰」が次なるテーマとなる。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 11:14│Comments(0)新市場創造
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