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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2009年10月11日

未来は創るもの

ヒット商品応援団日記No409(毎週2回更新)  2009.10.11.

「消費氷河期へ」というタイトルでブログを書いたのが8月23日であった。以降、約1ヶ月半嫌な話であるが着実に向かっている話しか書くことが無い状態である。日経MJを始め経済誌も、注目すべき新しいテーマを失ったかのように「価格」に関することやその象徴である「ユニクロ」といった業態について、あるいはその逆の象徴として百貨店の苦戦について取り上げるだけである。
低価格の波はユニクロのようなSPA業態として、あるいはわけあり商品のようなアウトレット化商品として、衣食住遊休美のあらゆる領域まで浸透した。私が書いたブログを1年半ほど遡ってみればそのほとんどが書かれている。

先日、駅商業施設のデベロッパーの方と話す機会があった。勿論、いま何(どんな専門店)が売れ、何(どんな専門店)が売れなくなっているか、その傾向と課題についてである。昔はテナントミックス、今ではテナント編集という言い方をするが、要はどう専門店(商品)を組み合わせたら全体の売上が上がるかと言うことである。商圏分析を踏まえコンセプトづくりをするのだが、集客の中心となるコア・テナントをリーシング(招聘)するのがまずもってデベロッパーの主要な仕事であった。その他の専門店もそうした吸引力のあるコア・テナント次第で出店の是非や出店条件(特に賃料)を決めていた。小売業で言えば、目玉となる商品をどう仕入れたり、作るかである。コア・テナントの集客力によって他の専門店への波及効果を期待したテナント編集ということであった。小売業でいうところのついで買いを促すという戦略である。しかし、ここ1年ほど、その集客による波及効果はほとんど無くなった。小売業では特売日しか商品が売れないという情況になったということである。分かりやすく言うと、出店しているユニクロには顧客は来て買うが、周辺の専門店での購買はほとんどないということである。つまり、必要とするもの、必要とする量しか買わない、ついで買いはしない、というのが巣ごもり生活における消費実態である。

今、M-1グランプリをもじった「B-1グランプリ」に話題が集まっている。町起こしを目的とした、ご当地自慢のB級グルメ全国一を決めるイベントである。ご当地自慢のB級グルメには既に宇都宮餃子を始め、B-1グランプリを勝ち取った富士宮焼きそばは既に商品化されスーパーに並ぶようになった。3年ほど前、「今、地方がおもしろい」と私はブログに書いたが、東京銀座・有楽町に地方のアンテナショップが集積し、アンテナショップ巡りをするためのマップができるほどとなった。地方に埋もれた、地元の人達が美味いと思う自慢の食が表舞台へと上がってきた。こうした地方の日常が注目されているが、全て一つのテーマに共同で参画することによって成し遂げられたものである。今や当たり前となった「ワンコイン商店街」は価格がテーマである。B級グルメは日常がテーマで、全国至る所に存在する。私が良く行く鳥取ではこれから松葉ガニの季節になるが、高価なカニで大きいと数万もする。当然、地元の人の食卓には上がらない。しかし、雄ガニと一緒に雌ガニも捕れ、小さな安い雌ガニはみそ汁にして一般家庭の食卓に上がる。従来は数万円の雄ガニを更に高く売ることばかりを考えてきた。しかし、数年前から日常を楽しむ時代へと変わってきたのだ。日常という足下に小さな宝物が埋まっている時代である。

最近、私のブログに「未来予測」というキーワード検索で訪問する人が増えてきた。大不況下で消費への価値観が見出せないということからと思うが、結論から言えば、「未来は予測できない、しかし未来は創ることができる」というP、ドラッカーの言葉を伝えたい。ただ、確かな予測はできないが、どんな方向に向かうか、ある程度は可能である。3年ほど前、次のように未来予測の原則を書いたことがあった。

未来について確実に言えることは2つしかない。
未来は分からない。
未来は現在とは違う。
未来を知る方法も2つしかない。
すでに起こったことの帰結を見る。
自分で未来をつくる。

つまり、自分で未来をつくらないのであれば、「すでに起こったことの帰結を見る」という方法をもとに予測していく方法しかないと私も思っている。3年前、「今、地方がおもしろい」と書いたのも、「既に起こった帰結」の結果として書いた。詳しい背景についてはここでは書かないが、「都市」が失ってしまったものを取り戻す動き、例えば和回帰や自然回帰、あるいは昭和回帰、日常回帰といった回帰の芽を辿っていくと、そこに「地方という宝物」にいきつくということであった。

こうした地方の芽が育ち、全国の舞台に上がるようになった理由は大きくは2つある。1つはB-1グランプリがそうであるように、「なんとかしなければ」と、ほんの少しの有志が集まって行動したことに始まる。今回のB-1グランプリに入賞した「厚木シロコロホルモン」も数名の居酒屋や飲食店の店主が立ち上がり、今や類似品が出るほどとなっている。そうした小さな力がグランプリイベントという一つのテーマに集まる、つまり一種のテーマ・コラボレーションによるものだ。
もう1つの理由がやはり競争から生まれた顧客研究=メニュー研究である。ある意味、街・村自慢が全国自慢になるための都市生活者研究ということである。私は鳥取や沖縄へよく行くが、「良き素材はあっても、メニューがない」と繰り返し話をしている。メニューづくりと言うと、必ずパッケージデザインのことばかりとなる。勿論、それも必要とは思うが、その前に誰を顧客とするのか、その顧客に合った商品のサイズや量、どのように食べてもらったら良いかというガイド、その結果どんな便益(効果や楽しさ等)を提供できるか、そして価格。こうしたいわばスタイルとしてメニューはある。更に、物流・梱包や店頭陳列の在り方を踏まえデザイン化される。

結論から言うと、都市の主要な役割は消費である。その消費をまかなうのが地方である。未来は分からない、でも小さい未来であれば創ることができる。また、消費都市は東京や大阪だけではない。山陰の人達にとって韓国ソウルは昔から消費都市であり、今も交流は盛んである。最近では農産物をロシアのウラジオストックのスーパーにも営業している。大不況であればこそ、顧客の未来を思い描き、小さく行動することから始めることだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:50│Comments(0)新市場創造
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