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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2009年06月28日

アラカルトの時代 

ヒット商品応援団日記No379(毎週2回更新)  2009.6.28.

少し前に、私は巣ごもり消費の時代は自己解決型ライフスタイルに向かうと書いた。更に、当分の間大きなヒット商品は生まれないとも書いた。しかし、小さなヒット商品は次々と生まれてくるであろうとも。生活者、顧客の側に立てば、価格を含め選択の幅が必要な時代であるということだ。日経新聞が行った小売業調査によれば、2009年度中に47%が値下げを計画していると報じている。つまり、価格競争が更に激化するということである。ところで、生活者は「自分で解決できるか否か」、そして、それは「自分でやるよりどれだけ安上がりになるか」が明確に分かることを要求している。ネット上においては比較サイトが無数にあり、商品機能もさることながら、価格比較がまずチェックされる。今、起ころうとしていることは、アナログ世界である小売店店頭でもこうした比較が求められるということだ。家電量販が行っていた他社より高ければその分値引きしますといった手法は既にスーパー西友にも及び、徐々に他の商業にも広がるであろう。小さなヒット商品を産み出すには、まず小さな価格を含めた比較選択しやすいアラカルトメニュー、アラカルト商品が用意できるかにかかっている。

少し前から、「消費の移動」が起きていると指摘してきた。その代表が「○○したつもり消費」と「××の替わり消費」である。これらは顧客サイドの比較結果による消費移動である。例えば、結婚式の披露宴に多大な費用をかけるのは止めて、ウエディング姿の記念撮影だけはこだわりたい。あるいは、結婚指輪のかわりに、普段身につけたいので気に入った指輪にする。こうした消費移動は至る所で行われている。ここ1年ほどになるが、人気レストランや割烹料理でのコース料理が減り始めている。好きなメニューを自分で選ぶというアラカルトメニューの充実がはかられていると聞く。また、回転寿司人気も、勿論安さと共に好きなものと自分の財布との両立が分かりやすくできる点も魅力の一つとなっている。

小売店では、店側のプロの表現として、更には顧客単価を上げようと「組み合わせセット」がつくられる。あるいはメーカーも、あれこれ品揃えを価格帯ごとにセットで販売することが多い。何年も前から、個人単位の消費傾向が強く出ていることから、小さな単位で販売しなければならないと言ってきたが、最小単位、つまりバラ売りの時代になったということだ。しかも、あれこれちょっとづつという好みを満たすと共に、価格比較が瞬時に分かるのがバラ売りの良さである。勝手にセットしたり、組み合わせたりするな、ということだ。

こうした消費傾向に合わせるように食においてはブッフェスタイルが盛んだ。しかし、最近の顧客は更に目が肥えていて、例えば1時近くになると大皿に盛られたメニューの中にはほとんど無くなるものもでてくる。そんな補充をこまめにしないような店には二度と行かない、というのが最近の顧客意識だ。
また、じわじわと浸透しているのが、オフィスへの配置菓子販売である。富山の薬売りではないが、近くのコンビニに行かなくても、配置された菓子の食べた分だけ支払うという合理的な仕組みである。バラ売りならぬ、顧客のバラ買いである。
1年以上前に、「ワンコイン商店街」というタイトルでブログを書いたことがあった。当時は100円と500円を意識した「ワンコイン売り出し」であったが、この春頃からワンコインは10円、50円、100円という単位となった。つまり、それだけ価格にシビアな目が注がれているということと共に、バラ売り、バラ買いが浸透してきたということだ。

少し前に、「わけあり商品」の在庫が無くなってきていると書いた。家庭のタンスや問屋の倉庫、勿論小売店の店頭に至まで、下取りや見切り販売によって在庫が無くなってきた。このこと自体は良いことであるが、次の段階はいわゆる正規商品による価格競争である。欧米の日本に対する懸念の第一は本格的なデフレになることだと指摘されている。マクロ経済の専門家ではないので、どこまで消費物価指数が下がればデフレなのか否かはわからない。しかし、店頭の小売価格を見る限り、この1年明確に下がっている。
情報の時代の特徴であるが、「一人勝ち」というキーワードが指し示しているように、消費は一点に集中する。しかし、単に話題だけであれば瞬時に売上は止まる時代だ。アラカルトの時代、バラ売りバラ買いの時代にあっては、こうした一点集中が小さな単位で至る所で起こるということだ。そして、言わずもがなであるが、バラバラの中で選ばれる理由、より専門的、より独自性のある商品が更に求められる時代である。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:58│Comments(0)新市場創造
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