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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年09月28日

時代の踊り場から

ヒット商品応援団日記No303(毎週2回更新)  2008.9.28.

私は「時代の踊り場」というキーワードを多様に使ってきた。バブル崩壊後の日本人のライフスタイル変化、例えば消費に見られる「和回帰」「昭和回帰」といった大きな潮流も「洋」に振れ過ぎた生活や個人化してしまった「家族」「絆」を見直し、取り戻しを「時代の踊り場」にいると表現してきた。別な表現をすれば、行き詰まった「今」を過去の中に未来の芽を見出す、そんな次に向かう「考える時」にいるということであった。

ところで米国の金融危機が深刻化するに従って、今まで誰も語らなかった「事実」が広く報じられるようになった。例えば、AIG救済の裏側にCDSという聞き慣れない巨大市場が横たわっていた。金融に携わっている人にとっては熟知したことだが、それはあくまでも業界内取引という「内輪」のビジネスであった。そのCDSは不動産以外の債権を担保にした債権で、いわゆる汚染された証券化商品購入の保証につかわれていたもので、その保険の多くをAIGが引き受けていたということだ。そのCDS市場は6600兆円にまで膨れ上がっていたという。リーマンは破綻させたが、AIGを救済したのは汚染された証券化商品だけでなく、様々な証券化商品にまで波及し、金融恐慌が起こるとのことで、「最後の貸し手」である政府が救済したということだ。

前々回、「証券化」及び「レバレッジ」に潜む問題を指摘したが、サブプライムローン問題に端を発した金融危機のバックグランドにもう一つの伏線があったと思う。それは「時価会計」という会計基準の行き過ぎた評価であると思う。周知のように20年前からあった会計基準であるが、「格付け」と同じで右肩上がりの時は資産評価の方法として意味あるものだと思うが、それ自体を目的に株価や債権を上げ、本来の業績評価としての経営をなおざりにした経営がもてはやされた時期があった。数年前の日本においても、「時価」を担保にした企業買収が盛んであった。この延長線上に、「会社は誰のものか」といった論議もあったと思う。こうした経営モデル、米英型の経営モデルが破綻したということだ。

某外資証券会社の日本法人の役員は、サブプライムローンの借り手の実態について、差し押さえ物件11%、滞納物件20%で、それほど問題ではないと発言していた。製造メーカーの場合、トヨタを持ち出すまでもなくその品質管理は万全を期し、それでも欠陥があればリコールする。あのパナソニックは欠陥商品の最後の1台まで回収すると約束し、今なお活動している。流通であれば、鮮度管理は勿論のことで欠品を出さないように常に店頭をチェックする。実体経済においては、至極当たり前のことである。サブプライムローンという欠陥商品は、米英型のビジネスモデル、金融資本主義から必然として産まれたものだ。

今、金融の街ウオール街でデモが起きていると報じられた。政府による救済策として75兆円の資金で不良債権を買い取る専門機関設置に反対するデモだという。市場原理を旗に掲げ行ってきた金融機関はその市場原理にまかせ公的救済すべきではない、税金を使うなと言うデモだ。一方、リーマン・ブラザーズは市場原理にまかせ破綻させても、AIGや不良債権買い取りに国が乗り出さない限り、世界恐慌が起こる。そのためには必要な措置であるとの議論もある。

「お金がお金を産む」とは「お金にも働かせなさい」ということである。しかし、そのことだけを目的とした時、永遠にお金が増え続けていくことはありえない。実体経済を反映しない「お金」は、いつかババをつかまされるゲーム、金融工学というシステム化された博打であったということだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:25│Comments(0)新市場創造
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