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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年09月26日

内閣支持率=期待値のゆくえ

ヒット商品応援団日記No302(毎週2回更新)  2008.9.26.

麻生内閣の支持率調査が新聞各社出揃った。朝日48%、毎日45%、読売49.5%、東京(共同通信)48%、日経53%であった。支持率は政治家、政党の通信簿などと言われるが、マーケティングの視点から見ていくと、また違った生活者心理の意味合いが見えてくる。
支持率をマーケティングとして見ていくと、それは「何かしてくれるであろう」という「期待値」に他ならない。支持率は一定の傾向を見せてはいるが、直接的な投票には結びつかない。例えば、新しい商業施設がオープンする時の調査と同じである。自身の興味・関心を惹く施設構成、テナントが入っているか、その期待値が支持率のようなものである。商業施設を実際に利用して、継続フアンになる場合もあるが、ほとんどの場合は期待ハズレ、もしくはこの程度ならとして、集客数は右肩下がりになる。興味・関心を満足させてくれるのは初日だけで、以降その鮮度は落ちていく。多くの商業施設は、その鮮度維持のために、プロモーションやイベントを行ったり、時にはテナントを入れ替えるリニューアルを行うのである。集客数を支持率、テナントを閣僚に、リニューアルを内閣改造に置き換えたら分かりやすいと思う。売上・利益が投票結果であり、継続の有無となる。

政治家の発言、メッセージは全て広告である、と以前から指摘してきたのはコラムニストの天野祐吉さんである。つまり、限られた秒数(TVCM)、限られたスペース(新聞や雑誌)で、商品の魅力などを興味深く伝えるのが広告である。それを見事に演じ切ったのが支持率80%を超えた元小泉首相による「小泉劇場」であった訳だ。ワンフレーズポリティクスとは広告用語でいうところの「キャッチコピー」である。生活者の興味関心をキャッチする短い一言、これが広告の本質である。
麻生内閣の支持率がマスコミ各社から報じられた直後、その元首相である小泉さんが引退すると報じられた。私は既に1ヶ月半ほど前に「小泉劇場の閉幕」というタイトルでこのブログを書いていた。

『・・・・改革を叫べば票になるフェーズではなく、結果民主党が参院では第一党となった。その後、私は「サプライズの終焉」というキーワードで生活者の体験学習結果を書いたことがある。トレンドマーケティングに対する体験学習結果ということである。トレンドというニュースによって期待し、一度は体験・使用したいとするマーケティングは、一過性という課題を常に持っている。そして、ニュースという鮮度は時間の経過と共に色あせ、明確に2つのマーケットに分かれる。一過性という期待ハズレや全く違うのではないかという好きから嫌いへと振れる層。これらの層の多くは参院選において民主党支持へと動いたと思う。もう一つが今なお小泉復活を期待し続ける待望論のように、いつかは何かが起きるであろうと期待する層である。』(2008.8.3.「小泉劇場の閉幕」)

つまり、劇場型の時代は終わり、トレンドを継続・延命させられるだけのパワーを自民党内においてもご本人自身にも無くなったということだ。

福田内閣の総辞職後の候補者5人による総裁選と、選挙をしないで3選された小沢民主党とのコミュニケーション戦略の違いは明確である。以下、その対比である。

自民党:劇場型戦略、マスメディアを活用した広告、パフォーマンスというニュース、
民主党:日常型戦略、個別・直接対話、身近な生活をテーマ、

高度情報化社会にあって、特に都市部においては今も劇場型コミュニケーションは成立する。過剰な情報集積の中で生活しているのが「都市」であり、「分かりやすさ」を求める広告的手法は成立する。一方、生活実感から生まれたコミュニケーションが前提となるのが「地方」である。前者を自民党戦略、後者を民主党戦略と呼べなくはない。ただ、今回の麻生内閣の支持率を見ていくと、予測以上に低く、劇場型選挙は失敗に終わったと言えよう。その最大理由は、これまでの劇場型手法に対する生活者自身の学習体験によるものだ。これから政治が流動化していくことと思う。そして、広告の時代は終わり、「深く考える」時代へと向かっているということだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 15:35│Comments(0)新市場創造
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