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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年09月03日

「ザ・プライス」 レポート

ヒット商品応援団日記No296(毎週2回更新)  2008.9.3.

ガソリン小売価格やファミレスのデニーズのメニュー価格が若干下がったが、食品の多くが値上げとなった。そうした中、先月29日オープンしたセブン&アイグループのディスカウント業態である「ザ・プライス」西新井店を見に行ってきた。東京の方にとって足立区西新井という立地はわかると思うが、簡単に言うと公団やマンションの中に古い商店街や戸建住宅が混在する「下町風情の残る」街である。この「ザ・プライス」西新井店は従来業態のイトーヨーカドーをディスカウント業態に転換させてオープンさせた店である。200mほど離れた場所にある大型商業施設アリオに核テナントとして従来業態のイトーヨーカドーが入っており、商圏的には重なることからディスカウント業態としてリニューアルオープンさせたのだと思う。

さて、そのウオッチングした感想であるが、確かに安さを感じる価格帯のスーパー業態となっている。店内は近隣の顧客で混雑しており、まずまずの情況だと思う。特に食品については考え方として先行するOKストアとほとんど同じだ。いわゆる規格外、基準外商品をかなり安く提供している。例えば、今が旬である梨(幸水)なんかは小玉(規格外)が1個当り30〜50円といったところである。NB(ナショナルブランド)商品については若干安い程度で、規格外といった訳あり商品を目玉としている点もOKストアと同様である。オープンして4日目ということもあり、何が売れ、何が売れていないか、見極めがついていないこともあるが、MDと価格、陳列、訳あり商品の表示法など総じてOKストアの方がその精度は高いと感じた。

今後、こうした食品を中心としたスーパーのディスカウント業態はどうなるかであるが、更に進んでいくと私は思っている。特に、消費都市である東京では、こうした価格を中心とした業態へと再編が進んでいく。恐らく私が知らないだけで、京都府のスーパーNISHIYAMAや沖縄糸満のスーパーのように地方にはこうした規格外、基準外商品を巧みに取り入れたディスカウント業態が存在していると思う。こうした食品、日常使いの商品から業態転換が始まり、他の商品カテゴリーへと進んでいく。既に、ブランド商品を買うならアウトレットへという消費の流れが進んでおり、ブランドバッグのレンタルショップにも注目が集まっている。また、インテリア雑貨のフランフランなんかの売上の好調さも、オシャレなデザイン商品を取り揃えたMDと共に、若い女性にとって手頃な価格帯であることも大きな要素だと思う。

この10年間ほど「過剰」であった流通も、縮小、圧縮を行ってきた。前々回「川上ではインフレ、川下ではデフレ」と書いたが、当分の間この傾向は続くものと思われる。この「ねじれ」の意味合いはどのような変化、あるいは再編へと向かわせるのかということである。「ザ・プライス」と同じセブン&アイグループ企業の一つであるデニーズはメニュー価格を引き下げると発表があった。周知のように、不採算店のスクラップを行うと発表したデニーズのメニュー価格引き下げである。今後、「ザ・プライス」のような業態店を出店させていくかどうか分からないが、OKストアやザ・プライスといった低価格業態店と価格維持をはかる業態、例えばクイーンズ伊勢丹や成城石井といったスーパーとの2極化が進んでいくと思う。

政治における「衆参ねじれ国会」ではないが、「インフレ&デフレのねじれ」状態の解決、顧客を巻き込んだ解決策が問われていくと思う。よく流通の再編などと言うが、顧客接点を持つ流通は顧客要望の反映としてある。ただこれから進むであろう再編・統合は、間違いなく顧客自身も変わらざるを得ない再編となる。今までの「過剰」が量的であり、圧縮してきたのに対し、これからは異なる次元での解決となる。顧客も、流通も、そしてメーカー・生産者の3者がどう変わっていくか、価格の意味合いを踏まえた次なるポリシーとスタイルが問われてくる。江戸時代近江商人はそのビジネス心得として「三方よし」を持つに至った。古くて新しいテーマであるが、売り手よし、買い手よし、世間よし、を今の時代経済に置き直す時を迎えている。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:48│Comments(0)新市場創造
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