さぽろぐ

ビジネス  |札幌市中央区

ログインヘルプ


インフォメーション


QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年05月25日

精神的コスプレ時代

ヒット商品応援団日記No268(毎週2回更新)  2008.5.25.

奈良県の「平城遷都1300年祭」のキャラクター・せんとくんを始め、街起こしからイベントまで全国至る所にキャラクターが氾濫している。その多くは単なるシンボルマークといった記号の意味合いだけであるが、本来はディズニーのミッキーマウスやゲゲゲの鬼太郎のようにアニメや漫画の作中人物のことを指した言葉であった。つまり、一つの人格をもったものとして使われる言葉である。情報の時代は、この人格を好きなように創る遊びが盛んである。周知のアバダーがそうであるが、ブログやオンラインゲームあるいはセカンドライフなどでハンドルネームと共に使われている。変身願望と言ってしまえばそれで終わりであるが、インターネット上ではいとも簡単に多重人格的ないくつもの「私」を手に入れる、いや虚構世界を生きることができる。(オンラインゲームでのアバターと現実ユーザーとの比較が出ていたのでご覧いただきたい。Gigazine/http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070621_netgame_avatar_player/

私はよく市場は「心理化」しているとこのブログでも書いているが、心理化とは情報によって購買の決定要因に心理的「何か」が深くかかわっているということである。誰も分析していないのでなんとも言えないが、不況期にはこうしたキャラクターが出現し、広く流布するという専門家もいる。1970年代の第一次オイルショック後の不況期にはあのキティちゃんが生まれ、この平成不況期にもキャラクターブームが起こるというものだ。つまり、不況という不安心理を背景にした個人化の進行。つまり、バラバラになった「私」、そう感じている「私」の逃避先=変身先がキャラクターであるという説である。勿論、変身先とは仮想現実、虚構の世界である。そして、既に始まっていると指摘する人もいる。

今、出版業界で唯一好況なのが中高生を対象としたライトノベルである。周知の元祖的存在である「スレイヤーズ!」(神坂一/かみさかはじめ)は、累計販売部数は1200万部とも1500万部とも言われている。内容は一言でいうと、中世ヨーロッパを基調とした仮想の物語で魔族と神々が抗争するファンタジー世界を描いたものだ。大人の私たちにとっては、「なんのことか?」と理解不可能とはいわないが、異質な世界観で創られた物語である。この「スレイヤーズ!」がそうであるかどうかは分からないが、細かく分解された物語の要素はデータベース化されており、この組み立てによってライトノベルが創られていると聞く。このライトノベルは主人公も脇役もキャラクター化されており、物語の組み立てはこのキャラクター次第である。小説も創造ではなく、断片化された要素=情報を構成して物語をつくる時代になったということだ。

断片化された物語情報を身にまとう居場所の一つが携帯によるサイト「学校裏サイト」だ。文科省の発表ではネットいじめが横行し、時としてそれは現実世界にもまたがる。こうした情報の時代では前回も書いたが、一つの通過儀礼として考えなければならない。通過儀礼をはしかのように一過的なものにするには、あのキッザニアのような「体験」が必要となる。ここ一年ほど偽装事件が相次ぐこともあり、商品・メニューの多くが「体験型」となっている。今年も都市の百貨店ではカブトムシやクワガタが売られることと思う。カブトムシやクワガタを虚構とは言わないが、これからは昆虫ウオッチングツアーが売られる時代だ。

現在のオンラインゲームにおけるアバダーのようにわきまえた遊びはかまわないと思う。しかし、情報の時代である以上、分身となるキャラクターは再生産されていく。キャラクターという精神的コスプレをまとう虚構世界はこれからも様々なところで増殖し続ける。そして、その都度<虚構→現実体験>という新たな市場が生まれてくる。(続く)

あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(新市場創造)の記事画像
2023年ヒット商品版付を読み解く 
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半  
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半
春雑感  
変化する家族観
常識という衣を脱ぐ
同じカテゴリー(新市場創造)の記事
 2023年ヒット商品版付を読み解く  (2023-12-23 13:34)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半   (2023-07-05 13:21)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半 (2023-07-02 14:15)
 春雑感   (2023-03-19 13:29)
 変化する家族観 (2023-02-26 13:23)
 常識という衣を脱ぐ (2023-01-28 12:57)

Posted by ヒット商品応援団 at 14:06│Comments(0)新市場創造
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
精神的コスプレ時代
    コメント(0)