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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年05月07日

やせがまん美学消費

ヒット商品応援団日記No263(毎週2回更新)  2008.5.7.

以前「経済格差」について東京ほど格差の激しい地域はないと書いたことがあった。その象徴例として足立区と港区などとの比較をいくつかの指標をもって行ったことがあった。その時使ったキーワードが「まだら模様」である。そして、顧客は誰か、誰を顧客とするかを今以上に鮮明にしなければならないとも書いた。前回、OKストアを例に挙げ、顧客が求める新しい基準、スタンダートになるのではないかと書いた。ある意味、食品という日常消費を扱っているスーパー業態であり、一つの基礎消費概念としての指摘であった。勿論、同じ生活者は時には百貨店の食品も購入するであろうし、コンビニ利用もである。つまり、OKストアに使い分けの基礎ベースを見出したということである。

何故こうした指摘をしたかであるが、足立区と港区の比較とは都市と地方との比較でもあり、今年度から周知の『地方財政再建促進特別措置法』や『地方公共団体の財政の健全化に関する法律』、いわゆる「健全化法」の適用が始まり、破綻した夕張市と同様の市町村が40〜50カ所出てくると推測されている。もしくは、既にその予兆としてこの4月から公共サービスの縮小、あるいは値上げが実行へと移された自治体も出てきているようである。
つまり、一般的平均的な景気から、明確な生活実感としての景気へと全国レベルに波及し、まだら模様が明確に浮き上がるということだ。地方自治体に倒産はない。民事再生法や会社更生法といった法的在り方は認められず、つまり貸し出し銀行などの債務放棄などは認められず、長期にわたって返済し続けなければならないということだ。

ところで夕張市はその後どうなったであろうか。結果、多くの暖かい支援はあったものの人口流出に歯止めはかからず、予定された歳入に届かず、再建計画すら頓挫しつつある。仕事という場は既になく、都市へと向かう人達は増え続けるであろう。
ちょうど日経MJ(5/5)に原材料高によるマクドナルドの再値上げの記事が載っていた。いち早く、地域価格を導入したマクドナルドであるが、最低価格地域を5県から12県に増やすとの発表であった。再建団体になってしまうことを想定した価格改定とは思わないが、地方との格差が拡大していくことは間違いない。

分かりやすくするために都市と地方という表現を使ったが、厳密にいうと中心と周辺ということである。今回のガソリン税の再値上げにより郊外のファミレスが苦戦しているという。右肩下がりのファミレス業態にガソリン税という逆風が吹いた訳であるが、コトの本質は「中心化現象」、サービス集積度の高い中心に顧客が動いているということだ。今、アウトレットに注目が集まっているが、その価格サービスの集積度が高く、郊外であっても集客できるということである。一方、中心という言い方をすれば、エリアの中心は駅である。駅商業施設、特にJRの駅中は全体としては好調であるが、その個別内容を子細に見ていくと、行列が出来る店と閑散とした店とに明確に分かれている。情報に踊らされない、学習体験を積んだ成熟した顧客がいるということだ。

さてこうしたまだら模様の景気にあって、どんな新しい消費スタイルが生まれてくるであろうか。誰もが新たな付加価値を探り、回数減となるビジネスをなんとか客単価を上げる工夫をと。あるいは自己防衛の周辺市場である、自給自足的セルフ市場に着眼することも必要であろう。勿論そうした努力は必要であるが、私は新しいライフスタイル市場が生まれてくるような気がしている。シンプルスタイル、素の魅力、過剰さを削ぎ落とした美学。質素であるがそこに豊かさを見出したスタイル。今日のライフスタイルの原型である江戸時代のライフスタイルで、一種の「やせがまん美学」である町人文化、粋(いき)や鯔背(いなせ)といったスタイルである。

そうした江戸町人文化の一つが蕎麦である。もともと蕎麦は稲作に適しない貧しい土地で栽培された代用食であった。この粗食を粋な江戸文化にまで高めたのが「やせがまん美学」である。一昨年ほど前から注目され定着した商品に「卵かけご飯用醤油」がある。蕎麦文化にまで高められるような芽にはならないが、どこか似ていると私は思っている。LOHASでもない、スローライフでもない、うまく表現できないが、「やせがまん」から生まれた新しい消費スタイルが出てくる予感がしてならない。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:04│Comments(0)新市場創造
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