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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年05月04日

エブリデーロープライス

ヒット商品応援団日記No262(毎週2回更新)  2008.5.4.

昨年から価格は超えなければならない一つの壁であると繰り返しこのブログでも書いてきた。そうした延長線上だと思うが、私にとって懐かしいスーパーマーケットをマスメディアもやっとテーマに取り上げるようになった。そのスーパーはOKストア(http://rikunabi2009.yahoo.co.jp/bin/KDBG00100.cgi?KOKYAKU_ID=0026018001&MAGIC=)という店で、首都圏を中心に約50数店舗、売上1700億円ほどの中堅スーパーである。生活者にとっては激安、地域で一番安い店で知られているスーパーでエブリデーロープライスの本家であるウオルマートを見に行かなくてもOKストアを見れば済むと言われている。

私が懐かしいと表現したのも、1970年代外資系広告代理店に在籍していた当時、同じビルにOKストアの本社もあって、新しい取り組みのパートナーとして要請があったからである。その新しい取り組みとは無人店舗スーパー、100%セルフ形式のスーパー業態であった。その着眼発想の一つがローコスト経営であり、セルフスタイルの可能性であった。つまり、ローコストの極限が「無人店舗」ということだ。私は直接の担当ではなかったが、当時テーマそれ自体斬新で社内でも注目されていた。店頭で手に取って見比べることのできない無人店舗での課題は、「いかに鮮度品質を実感させるか」であった。TVCMも作ったのだが、ステーキ肉を焼く絵に、ジューっと焼ける音が重なる広告で、出来としては良かったと思う。しかし、やはり広告だけで解決できるものではなく、無人店舗業態から撤退することとなる。

この無人店舗業態へのチャレンジを見ても分かるように、とにかく時代が求めるものをどこよりも早くトライしている企業である。レジ袋の有料化もそうであるし、この有料化を杉並区が取り入れたと言われている。現場では廃棄される段ボール箱は無料で顧客につかってもらう。とにかく徹底して無駄を省いたビジネスだ。ウイキペディアで労働環境の実態、いかに人件費を抑えるかについて書かれており、その実態について判断はできないが、いずれにせよどれだけ生産性を上げローコスト経営を行っているかが分かる。その典型が自動発注システムであろう。米国ウオルマートを支えているシステムを学習し取り入れていると推測されるが、人が関わっていた作業を極力削減する仕組みが用意されている。

もう一つの特徴が情報公開であろう。以前、「訳あり商品」について書いたことがあるが、OKストアも徹底している。例えば、「日照時間が少ないため少し糖度が低い」といった従来では表現しなかった情報を店頭POPで明確に表示している。安い訳を全て公開しているということだ。この情報公開の裏側には、いわゆるサービスコンセプトとしてオネスト(正直)を掲げている。良いことも、悪いことも正直に伝え、顧客に判断してもらおうということだ。エブリデーロープライスという顧客への約束をシステムとして実行し始めたのは2000年以降のようであるが、それは特売というセール設定を無くすことでもある。このことによって、特売の折り込みチラシといった経費を無くすこととなり、これもローコスト経営へとつながる。オーケーの経営の原点は「売上高総経費率を15%以下に抑える」というローコスト経営にある。業界で話題となるのがこの経費率だ。国内のスーパーでは困難にも思われる高い経営目標を掲げており、無人店舗スーパーの試みもそうした背景からであった。

前回、新たなパラダイムへと変わってきつつあると書いた。流通におけるOKストアの生き方も、新しい基準、新しいスタンダードのビジネスモデルの一つだと思う。収入は増えず景気は低迷し物価高にあって、価格に顧客の注目が集まる。こうしたスタグフレーションという追い風の意味もあるが、ここ数年出店スピードを上げている。このビジネスモデルも明快な顧客主義に立脚したものだ。単なる安さだけでなく、小さな単位でていねいに売る日本的な小売りの良さを併せ持った業態である。ある意味、日本版でありながら世界に通用する独自なエブリデーロープライス業態である。日本の流通は再編がほぼ終わったといわれているが、それは資本関係といった器であって中身ではない。生活者が流通に求める中身の一つがOKストアであり、今後は中身、内実の競争となる。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:53│Comments(0)新市場創造
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