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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年03月02日

次を睨むインキュベーション

ヒット商品応援団日記No244(毎週2回更新)  2008.3.2.

「ダ・カーポ」の廃刊に続き、あの「主婦の友」が休刊となった。年間200以上の雑誌が生まれ、そして廃刊・休刊の雑誌も出てくる。約3000種類発行されていると言われている雑誌全体でも対前年20%の売上減少とのこと。また、サブカルチャーの両雄と言われてきた少年マガジンと少年サンデーが過去のコンテンツを提供し合って一つの雑誌を創刊するという。いわば、過去の名作をコラボレーションによって再創造していく試みだ。この背景にも、最盛時15億冊あった販売部数も今や10億冊にまで減少している事情がある。多様な個に即したメディアの多様化に対応し切れていないと言えばそれで終わってしまうが、日本映画の再生という良きモデルがあるのに何故学ばないのか不思議である。

顧客が変われば、当然経営の在り方も変わる。少量生産少量販売、中抜きSPA、商品の回転スピードup、・・・・バブル崩壊以降多くの企業がこうした試みをビジネスモデルに取り入れてきた。対象とする市場が小さければ、小さくても経営できる方法を模索するのが経営である。日本映画の再生がそうであったように、大作ではなく小作映画をモデルに、小さな資金でしかも小さな単位のファンドで調達する。上映は小さな客席数のシネコン、夫婦割りや各種の割引特典を用意し、顧客を再び呼び戻した。そうした、小さな単位ビジネスに呼応するかのように、キラリと光る周防監督のような人材が出てヒット商品が生まれる。繰り返してしまうが、まずは小単位へと分解し再編しなければならないということだ。

最小単位、それは個人であり、この個人をメディアへと一気に加速させたのはgoogleとYouTubeである。漫画雑誌経営は販売収入であるが、一般雑誌や新聞・TVあるいはラジオメディアは広告収入を柱としたビジネスモデルである。こうした既存メディアの広告収入ビジネスを根底から崩したのが、ネットメディアだ。既存メディアの扱いに依存してきた広告代理店の再編が行われたのはこうした背景からだ。今、このネットメディアで注目すべきが「勝手広告」である。政治での「勝手に意見広告」から始まり、「勝手にブランド広告」までアイディア溢れるユニークなものも出始めている。ネットの掲示板の書き込みから生まれた「電車男」から始まり、ケータイ小説がベストセラーになる時代である。既存アナログメディア世界と全く同じことがネット世界でも起きている。最早、利用者にとってアナログとデジタル、既存メディアとネットメディアの境界はない。区別・区分によって行われてきたビジネスモデルは終焉したということだ。

ところで少年マガジンや少年サンデーの初期には顧客反応を採るはがきを分析し、更には「新人漫画家」の舞台が用意されており、一種のインキュベーション(孵化)装置が仕組みとして組み込まれていた。主要な商業施設は全てこうした孵化装置としてのスペースが用意され、「次」が何であるかの発見を行っている。例えば、渋谷東急フードショーでは売り場の中心に4コマ程度の売り場があり、常に新しい専門店が出店しており、顧客変化のアンテナ役を果たしている。また、今なお成長し続けている渋谷109では新規出店ブランドを公募し、常に顧客変化を受信する。こうしたインキュベーション装置があればこそ、変化に対応できるのだ。

孵化装置という言葉の如く、卵を産み育てる装置・仕組みであり、未来投資としてある。どんな卵が「次」をつくっていけるのか未来は分からない。だから小さく卵を産むことだ。そして、この装置は流通の場合は一定の売り場・スペースを用意することになるが、他の業種にあっても同様である。今、日本語圏のWebサイトは約1億5585万と飽和・横ばい情況であるが、個人が創った特定テーマにおける比較検索サイト等は既に数百万から数千万といった金額で売買されている。こうしたWebサイトを流通させる仲介業者も既に存在している。一方、個人事業であった農業についても変化の兆しが出てきた。確か埼玉で行われていると記憶しているが、跡継ぎのいないいくつかの農地を借り、更に知恵を借り、競争力のある大規模農業を会社経営として実践しているところもある。資本主義経済とは、あらゆるものを商品化しようとする経済活動のことだ。時代が変わり、顧客が変われば、そこに新たな市場機会が生まれる。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:39│Comments(0)新市場創造
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