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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2008年01月01日

ゴドーを待ちながら 

ヒット商品応援団日記No230(毎週2回更新)  2008.1.1.

この十数年、何かが変わってくれるであろう、解決してくれるであろう人物や考え・意味が「今日」という部屋の扉を開けて入ってくることを待っていたように思う。タイトルの「ゴドーを待ちながら」 はアイルランドの作家サミエル・ベケットの戯曲であるが、やってきてくれるかどうか分からない不確かな何か、救世主あるいは神と呼んでもかまわないが、そのゴドー(Godot)という「不確かなもの」を待った十数年であった。

ブログを書き始めて約2年半になるが、市場の性格を「心理市場、精神化された市場」と表現し、生活者の心の動きを反映した市場傾向について繰り返し書いて来た。豊かな時代と言われてきた時代の傾向である。しかし、特に都市においては本当に豊かであろうか、物の豊かさ・便利さはあっても、依存症という言葉が象徴するように精神的な飢餓感は日に日に増していく傾向ばかりであった。そうした市場の性格について私なりの気づきを書いて来た訳であるが、「待っていた何か、ゴドー」が少しづつ明らかになり始めた。

マーケティングに携わる者であれば、ブランドは創っていくものであり、ブランドばかりか伝統ですら創られていく。それは、あらゆるものを商品化していくことでもある。1980年代には物語を遊ぶ、ゲームという物語消費として一大ヒットとなった「ビックリマンチョコ」を思い浮かべれば分かると思う。カード収集だけで、チョコをゴミ箱に捨てるといって社会問題化した商品である。こうした市場の興味情報の消費、物語消費の延長線上にブランド創造はあると私も考えてきた。ところが昨年の世相を表した「偽」ではないが、こうした興味情報消費の意味とする世界の本質は何かと多くの生活者が気づき始めてきたと思う。船場吉兆ではないが、但馬牛と佐賀牛の違いとは何か、ブランドの魅力とは何かということにもつながっていく。

私がライフスタイルの原型が江戸時代にあり、今なお底流として続いているとこのブログでも書いてきた。大仰に言うと、明治維新という産業革命・近代化という革命以前と以後の「変わったこと」と「変わらないこと」の明確化でもある。もっと積極的に言えば、変えても良いものと、変えてはならないものとの明確化ということだ。
その江戸時代であるが、江戸初期の人口は40万人程度の小さな都市であったが、後に人返し令がでるように130万人にまでふくれあがる。ロンドンやパリをしのぐ世界NO1の都市である。こうした都市化は郊外住宅を増加させ、自然破壊も行われ、あの宮崎駿監督が描く「もののけ姫」のように森に住む動物達との争いが起こる。結論からいうと、近代化を進める人間と森を住まいとする神々との闘いである。ところで江戸の人達はそうした神々は動物や草木といった自然ばかりか日常の道具にまで住んでいると考え大切にしていた。江戸時代はエコ社会というが、こうした共生思想の裏には自身を含めてあらゆるモノに精霊が住んでいるとの自然観があったからだ。モノを大切に粗末にしないとは、モノに住んでいる精霊を敬い畏れることでもあった。神も物の怪(もののけ)も人間も同じ世界に共生していると発想したのは国学者平田篤胤だが、そうした神々やお化け・妖怪の話は落語や歌舞伎のモチーフとして今なお残っている。

実はこうした神々や妖怪を産み出したのは人の心、脳であると指摘しているのは文化人類学者の中沢新一さんである。今日の物消費の多くは工業化されたマス生産のマス消費といった「使い捨て」で、つまりモノに住んでいる精霊などいないとする社会となっている。若い世代におけるスピリチュアルブームは人を含めた自然やモノに住んでいる精霊との交感を無意識のうちに希求しているように私には見える。この正月には数千万人の人が初詣へとでかけると思う。狐や狸を祀った神社もあれば、災難から守ってくれる道祖神まで、まさに八百万の神の国である。「待っていた何か」「変わらない何か」とは、こうした精霊たちかもしれない。精霊達はどこにいるのか、時間を遡り、原点を見つめ、辺境に眠る、あるいは地中奥深く掘削し、大きなものを最小単位に分解していくことの中に眠れる精霊達がいる。この一年、そんな精霊達の発見をブログにて書いてみたい。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:07│Comments(0)新市場創造
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