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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年12月23日

「新しい強さ」を目指して

ヒット商品応援団日記No229(毎週2回更新)  2007.12.23.

一年前の12月、2007年はどんな年となるかこのブログで次のように私は書いた。

2007年は猛スピードで駆け抜ける情報に「真」があるのか、それは「信」足りうるのか、見極めることのできる年となる。2006年、私たちは、情報の偽装、偽計、粉飾、うわさ、やらせ、といった情報体験を積んできた。そして、マスメディアが取り上げない、誰も知らない埋もれた商品が表へと出て、ヒット商品が生まれる。そんなポリシー&コンセプトの競争という本当のマーケティングの時代を迎えると思う。いや、そう願っている。

情報の時代とは、表も裏も無い、内も外も無い、あらゆる垣根・障害を超えて伝わる時代のことである。「信」足りうるのか見極めることはできたが、2007年のビジネスは「偽」そのものであった。何か、人間の持つ弱さが奔出した一年となった。

五木寛之は作家らしい表現で、この時代を「鬱(うつ)の時代」であると指摘している。戦後の昭和の時代「Always三丁目の夕日」ではないが、物質的には貧しくとも夢や希望があった時代を五木寛之は「躁(そう)の時代」であったという。司馬遼太郎の「坂の上の雲」ではないが、無我夢中で働いて「坂の上にたなびく一筋の雲」に辿りついたと思った時、果たして雲が見えたのであろうかというのが、五木寛之が今の時代を指して「鬱の時代」とした理由である。坂の上で見えてきたのは、「人間関係の喪失」であったと言う。私の言葉でいうと、時代の「踊り場」で一筋の雲は見えず、どの階段を選べば良いのか分からないで立ち尽くしている。それを鬱と呼べば呼べなくはない。五木寛之はこの鬱時代は50年続くと言う。そして、「今を生きる力」として、鬱をプラス思考として考える時に来ていると指摘(「人間の関係」ポプラ社刊)している。

ところでタイトルの「新しい強さ」という言葉は、梅田望夫さんがその著書「ウェブ時代をゆく」の中で呼びかけているキーワードである。誰もが早く目的地(目標)にたどり着きたいと「高速道路」を選び走るが、目的地に近づくと渋滞となり、なかなかたどり着けない。無料で走れる高速道路をネットの世界と見立てた指摘である。ネット以外に、一流大学から一流企業・大企業への道を高速道路としても同じである。既成、エスタブリッシュメントと言っても良いと思う。五木寛之いうところの鬱の時代にもつながる認識である。梅田さん曰く、自ら高速道路を降り「けもの道」に入って活動しているのだが、そこには「新しい強さ」を身につけなければならないと言う。この本に答えはないが、私は2つのことを感じ取った。1つは「未知への開拓精神」という志しと、そうした志しを共有できるコミュニティ・仲間を持つこと。もう一つがネットというとGoogleやアマゾンを目標とするが、それらは結果であり、好きで好きでたまらないと思える「スモールビジネス」への執着である。

話は変わるが、先日鳥取県のアンテナショップ検討部会を終え米子に移動し、いくつかの企業を案内してもらった。案内してくれた人物は大山の麓に生まれ、育ち、こよなく大山を愛しNPO「大山王国」を立ち上げた人物である。車中、大山の素敵さとそこでコト起こしをしている仲間達に話は及んだ。結論は、まだまだアイディアが足りない、知恵が足りない、そしてもっと儲けなければいけない、ということであった。私はこのブログで何回か書いた二宮尊徳の報徳思想「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」を話した。今年は道徳なき経済=犯罪の一年であったが、一方高い志しを持つNPOは「経済なき寝言」とは言わないが、ボランティアの延長線上という現実がある。それは「三方よし」には至っておらずまだまだ役に立っていない、アイディアを出しもっと儲けなければならないと。もし、「新しい強さ」という言い方をするならば、鬱を楽しむ強さ、踊り場であれこれ小さくコトを起こす勇気であると思う。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:43│Comments(0)新市場創造
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