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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年06月20日

人力経営

ヒット商品応援団日記No177(毎週2回更新)  2007.6.20.

人力(じんりき)経営というテーマは今回私が書いた本のタイトルである。人材は人財であり以前から言われて来た永遠のテーマであるが、情報の時代にあっては現場=人の在り方が直接経営に大きな影響及ぼし、時に倒産や廃業に向かう時代にいる。極論であるが、現場のたった一人によって経営は窮地にもなり、また逆に大きな成長にもなる時代である。バブル崩壊後、終身雇用、年功序列という旧来の人事・雇用の仕組みから、一斉に成果報酬制やストックオプションといった経済面による経営の仕組みへと移行した。しかし、多くの企業において評価の仕組みに問題を抱え機能してこなかったのは周知の通りである。

ところで丁度「人力」の象徴的なビジネスであるタクシー業界の特集がNHKで取り上げられていた。規制緩和、自由化によるタクシー台数増加にあって、タクシードライバーの収入は激減し、問題となっていたテーマである。その問題解決に対する料金の値上げ&据え置きをした長野と大分におけるその後の動向についてのレポートであった。タクシードライバーの収入アップをはかるための運賃値上げの会社は10%の顧客数を失い売上は横ばいとのこと。逆に、値上げをしない据え置きの会社は客数が増え、台数を10%増やしていくという。
タクシー業界の運賃価格は勿論認可制で、価格は事業費用に事業報酬を加えて行う総括原価方式であることに実は問題がある。今回の運賃値上げは業界保護のためで、しかし値上げすれば顧客は更に離れ、高齢者ややむおえなく使う人達だけにしわ寄せが行くだけである。古いマーケティング、ビジネス概念である台数というシェアーを押さえることが経営だと勘違いしているのである。タクシーマーケットという市場、パイは右肩上がりどころか縮小傾向にあり、供給過剰であるのに、運賃値上げを認め、結果タクシー運転手にとっても経営者にとってもパイは更に縮小しマイナスということになった。顧客を見ない、行政とタクシー会社の経営者の結果と言えよう。

「人力」というと、昨年秋一般紙に「新幹線のカリスマ販売員」として取り上げられた齋藤泉さんを思い出す。東京—山形間往復7時間に車内販売員の平均販売額8万円のところ、齋藤さんは4倍近い30万円を売り上げる。この驚異的な実績に対する秘訣について、その第一はお客様の観察力と気遣いにあると分析している。PCを使って仕事をしているお客様や寝ているお客様の横を通る時は静かに通るという。しかし、次に通るときには再チェックし、起きていれば声をかけるという。通常、片道3時間半の道中では2〜3往復するのがやっとという中で、齋藤さんは6往復する。左のポケットには10円玉と50円玉を入れ、右のポケットには100円玉と500円玉を入れて、触った感触で素早く釣り銭を渡すという工夫も編み出している。記者の質問に「特別なことはしていません。自分が逆の立場だったら何がうれしいかと考えているだけです」と答えている。
丁度この記事を読んだ後、福岡の野の葡萄の小役丸さんと会ったのだが、齋藤泉さんと同じように「当たり前」のことしかしていませんと話されていた。自分がして欲しいことをして、売り上げ増だけではなく、お客様の本当の笑顔に出会えることがうれしいとも話していた。

今回取材したのはダスキン、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船、エゴイストの5社であるが、共通していることは「人をいかに生かすか」を経営の中心に置いている企業だ。齋藤泉さんのような人財がいる企業ということである。例えば、元祖カリスマ店長として脚光を浴びたエゴイスト渡辺加奈さんについても鬼頭一弥社長にお聞きしている。是非一読いただけたら幸いである。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:08│Comments(0)新市場創造
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