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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年04月29日

過剰流通時代の今 

ヒット商品応援団日記No162(毎週2回更新)  2007.4.29.

バブル時代の過剰の一つが流通であった。ここ十数年、オーバーストア情況にあって百貨店やGMSあるいは専門店も合併あるいは撤退など企業再編が行われて来た。また、売り場という現場においては、変化対応を行うために、従来のような10年毎のリニューアルは5年になり、そして日常的な部分リニューアルを繰り返し行うようになった。多大な投資といった構えたリニューアルから、日常の小さな変化対応としてのリニューアルである。東京ミッドタウンのオープンに続いて、丸の内に新丸ビルが27日オープンした。東京においては商業施設が続々と新規及びリニューアルオープンが続いている。そうした東京の百貨店において、4月19日新宿高島屋が全館リニューアルという形でオープンした。

新宿に出店して10年。どんな全館リニューアルをしたのか大変興味が湧くオープンであった。その興味とはこれからの百貨店の生き方を示しているであろうと思っていたからだ。結論から言うと、「本来の百貨店の良さ」「百貨店らしさ」を時代変化の中で取り戻したと私は感じた。
オープニングのキャッチコピーに「薔薇と書けなくてもバラになれる」とある。コンセプトは「今」という時代の感性、2つの異なる感性世界、アンビバラントを分かりやすく提案するというものだ。具体的には、男と女、伝統と現代、和と洋、マチュアとヤング、こうした異なるそれぞれの世界をフロアゾーニングとして、マーチャンダイジングとして具現化し、顧客の選択肢を広げ、かつ奥行きをもったものとして提案している。この異なる2つの世界の真ん中にウエルカムゾーンという顧客サービスを行う百貨店ならではのおもてなしがある。(http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/index.html?alltop_banner01

今回のリニューアルで特に感じたのは団塊世代市場への意識的な取り組みと男性顧客の取り込みである。後者は新宿伊勢丹のメンズ館の成功を意識したものでかなりのスペースが割かれている。前者の団塊世代市場に対してはかなり充実したMDを行っている。その例の一つが食における「銘菓百選」という売り場だ。日本全国のお菓子の銘品を100集めたものでおかきやあられ、豆大福、といったどこにでもあるものだが、団塊世代にとっては懐かしいお菓子ばかりである。私が地方の「小さくてもキラリと光る商品」、地方の埋もれた商品に注目が集まると指摘をしたが、まさにその通りMDされた売り場である。いわゆる「町の和菓子屋さん」集積である。こうした発想は洋菓子にも見られる。世界から日本から集められたパティシェ達のケーキの集積で、中でも11人のパティシェが10個づつ合計110種類のケーキを集積、つまりケーキのセレクトショップである。

もう一つ着眼したい点が「学習の販売」「学び売り場」の展開である。モノを売るのではなく、学習という方法を売っていくことを積極的に取り入れている点である。その一つが和ブームだけに終わらせない「和文化倶楽部」における体験学習とオープニングイベント「京の銘菓と美食展」におけるだしの取り方等料理法のセミナーに表れている。
他にも日本初東京初といったブランドや専門店が多数MDされているが、特徴をキーワードとして言うと「セレクト」に表現される。つまり、顧客に代わってMDしてきましたという百貨店の原点、流通の原則に立ち返っていると感じた。過剰な流通の時代にあって、百貨店は50貨店いや30貨店等と言われて来たが、顧客代理店としての役割に戻って来たと思う。また、時代背景として百貨店の成長は団塊世代と共にあり、この点についても原点回帰であると感じた。過剰さを削ぎ落とし、育ててくれた顧客が求める物を顧客に代わってMDするという原点がこれから先の流通に求められている。丁度同じタイミングで百貨店を追い越したコンビニ大手が電子マネーを導入すると発表された。セブンイレブンはカードから得られた購買履歴データは顧客が求めるMDに反映させるためとコメントした。流通は顧客代理店という原則を外れてはならないということだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:40│Comments(0)新市場創造
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