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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年03月11日

和の合理性に着目     

ヒット商品応援団日記No147(毎週2回更新)  2007.3.11.

前回、生活者が求める「普通」「日常」とは何か、この研究がもっとなされなければならないと指摘をした。また、少し前に「和ブームの本質」というテーマを書いたが、このテーマに沿いながら普通、日常について私の考えを書いてみたい。ところで、予測などは当たらないと言い続けて来た私であるが、大きな潮流の理解を深めるために和におけるヒット商品の予測を敢えてしてみたい。
このブログを書き始めて約1年8ヶ月になるが、スタート当時誰も指摘をしていないヒット商品の代表として「一人鍋」について何回かふれてきた。個人化(=個食化=小食化)の進行に伴う食のスタイルを「一人鍋」と指摘したのだが、「和」ブームの「普通」「日常」にも「食」から始まると考えている。食は毎日のことであり、取り入れやすく、またその利用結果もすぐ分かる世界である。結論からいうと、次は「和道具」の世界へと消費は進んで行くと思っている。その代表商品にはご飯を炊く「土鍋」に注目が集まる。土鍋はどの家庭にもあるものだが、私が言っている土鍋はご飯を炊く土鍋のことだけではない。圧力釜や石焼板の代わりにもなる万能に近い土鍋で、伊賀あたりの土を使ったものである。実は、土鍋は炊く、煮る、焼く、蒸す、毎日多様な使い方ができる合理的な道具である。時には季節の食材を入れた炊き込みご飯といった季節を楽しむ、和道具の知恵を使うライフスタイルである。これが私がいうところの「普通」「日常」を表す商品である。この土鍋がヒットするかしないかは別にして、例を挙げるとこんなような商品である。(http://stylestore.allabout.co.jp/mojo?language=ja&vgform=ProductGroupAA&sku=atelier20070101&template=default/atelier/2007/01/atelier20070101.html&from=AAZBUN

土鍋といった和道具は、簡単ではあるがスイッチ一つで標準的な何かができる道具ではない。個人の経験が出来の善し悪し、用途の広さを決める。機能と合理で済ませざるを得ない小さな子供のいる家庭では電気炊飯器、更にはコンビニやスーパーの出来合いのライスを購入するであろう。釜と薪で炊いた記憶の残っている時間的にもゆとりのある団塊世代にとっては、「手作り」でありながら、和道具の持つ合理性を実感できる道具だ。土鍋ばあまり失敗しないで美味しいご飯が炊ける、つまり道具自体に知恵が隠されているものへの支持といえる。理屈っぽくいうと、現代の機能合理性ではなく、先人達が育てて来た「和の合理性」と言えよう。こうした潮流は団塊世代を中心に少しづつ生活道具へと広がっていく。更には、道具素材に隠された不思議その合理性、土、鉄、錫、竹、木、紙といった古来から使われ、磨かれて来た和の生活道具類の美しさにも注目が集まるだろう。生活者が日常使う用具類、壷、膳、棚、家具といった工芸品に美を見いだした柳宗悦なども再び注目が集まるかもしれない。また、蕎麦好きが高じて蕎麦屋を起業する話についても何回か書いたが、鍋好き、鍋名人なんかも出てくると思う。普通・日常における「豊かさ」実感の方向の一つが、「手作り」=「和道具」の世界である。

和における普通、日常についてその「ケ」の日の世界を土鍋という商品で指摘したが、「ハレ」の日の世界はどうかというとまだまだ「入り口」段階にあると思う。その代表商品というと呉服、和服であるが、慶弔といった儀礼での舞台でしかないと思う。もっと日常の生活の中へと組み込まれるようなものにはならない。せいぜい花火大会の時の浴衣程度である。江戸時代で一番大きな生活イベントは「お花見」で、「梅見」「桜見」「桃見」と続くもので、特に「桜見」は多くの女性のファッションショー、舞台となっていた。オシャレを競い、お見合いの舞台でもあった桜見は、もはや私たちの生活歳時には入っていない。つまり、「季節」を楽しむといった世界にはまだまだ遠いということだ。ただ、東京日本橋では「街づくり委員会」が主催し着物姿を促進するためのプロモーションが行われている。江戸の古い街並を借景に着物姿で歩く素敵さを感じてもらおうという企画である。こうした小さな芽と共に、1987年の映画「私をスキーに連れてって」によるスキーブームではないが、映画や音楽といった若い世代へのテーマリーディングによって、和ファッションが舞台へと上がり、「ハレ」の日の和文化の導火線になる可能性はある。和のファッションという視点に立つと、やはり普通・日常の世界となる。例えば、風呂敷や手ぬぐいといった小物、風呂敷の多様な使い方といった知恵・アイディアは静かなブームになると思う。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:42│Comments(0)新市場創造
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