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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2007年02月07日

気づき力の時代

ヒット商品応援団日記No138(毎週2回更新)  2007.2.7.

今、マーケティングやマーチャンダイジング、あるいはヒット商品や業態の開発担当者の課題となっているのが「気づき力」についてである。ヒットするかしないかも最終的にはアイディア次第という一言で終わってしまうが、そのアイディアの源は何か、それをどう気づくかがテーマとなっている。少し理屈っぽく整理すると次のようになる。
①一つの仮説に基づいて「行動」してみる
②今までとは異なる変化に「気づく」
③その変化を「観察」する
④整理し、「理解」する
⑤最後に「実現」するべく実行する
特に重要なこととして②の気づきに注目が集まっている。ある意味「答え」を出していく入り口のようなもので、入り口を間違えれば答えも当然間違ってくる。私の場合、何十回と顧客調査を実施してきたが、一番重要視してきたのが、顧客の定性情報、いわゆる何を書いても答えてもよいフリーアンサーの項目に「何」が出て来ているかであった。理屈っぽくいうと、顧客の本音が一番出やすい項目であり、心理市場といわれるような「心の動き」を見ていくには一番良い方法であった。その時私がしたことは、生の文章、生の言葉にふれることであった。繰り返し繰り返し、ふれていくと小さな変化を感じ取れるようになっていく。また、よく売れている店ばかりを観て、その後で売れない店ばかりを観て、その「違い」を感じ取れるように訓練したりした。私の場合、気づきとは感じ取ることだと思っている。

さて、江戸時代に新たな変化を提供したのが、行商や屋台といった流通業であった。例えば、江戸前のにぎり寿司の原型は上方の押し寿司やなれ寿司であった。江戸中期には経済も活性し、人の移動も激しくなり、時間がキーワードとなっていく。つまり、寿司を作る側も食べる側も「小時間」で済む食べ物の開発である。江戸の食の多くは上方が原型にあり、そこに小さなアイディアを付加したものであった。屋台という業態への気づきは「時間」に対する気づきであったと思う。また、江戸時代の商業の多くは行商で多岐多様な商品やサービスを扱っていた。リサイクル社会の江戸では「蝋燭流れ買」や「灰買」、面白いところでは「看板書き」「暦・番付」までもが行商されていた。よく江戸っ子を評して「宵越しの銭はもたない」とその心意気をいうが、その日暮らしで持てなかったのが事実のようである。そうした経済背景から、その都度毎日必要なモノだけを行商から買い求めていた訳である。面白いのは行商は全て専門店で、後に大きな資金を必要とする呉服の行商は店舗を構え越後屋(後の三越)といった百貨店となっていく。また、江戸は単身世帯が多かったことから、損料屋という手ぬぐい1本からペットまでレンタルするビジネスが盛んであった。江戸中期に四文銭が普及すると二十文銭のところを一文安く売る十九文銭という価格立てが流行り、今日の100円ショップならぬ99円ショップのような発想も生まれていた。こうした多様な商売も顧客接点によってのみ気づきも生まれアイディア豊かなビジネスが開花した時代であった。

今日、気づく力や感じ取る力が注目されているのは、膨大な情報が駆け巡る社会の中にいて情報に翻弄されているからである。「発掘!あるある大辞典II」のねつ造事件を見ればよくわかることだ。必要なことは情報を見るのではなく、顧客、目の前にいる顧客をリアルに見続けることだ。そして、自ら体験し、身体も含め感じ取れる力を復元するということである。納豆好きは今なお納豆を食べている。このマーケットがロングセラーを創っている。「発掘!あるある大辞典II」放映後に売り場に殺到したマーケットは「バブルマーケット」ということだ。過剰な情報の時代にあって、気づかなければならないことの第一は、「誰を顧客にしたいか」ではなく、「誰が顧客か」である。そして、その顧客が明日もまた顧客であり続ける「理由」は何であるかに気づくことだ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:41│Comments(0)新市場創造
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