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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年07月16日

アナログ新感性  

ヒット商品応援団日記No81(毎週2回更新)  2006.7.16.

あまり報じられていないが滋賀県の県知事選挙で無所属の嘉田さんが自公民をバックにした現職知事を破って知事となった。環境をテーマに東海道新幹線の新駅建設凍結を公約に掲げ、その時のキャッチフレーズが「もったいない」であった。政治的なことは別にして、この「もったいない」という日本語に着目してみたい。「もったいない」のもったい(物体)とは、もともと仏教用語で、物の本来あるべき姿になっていない、生かされていない、無駄になるのが惜しいとする言葉である。京都の庶民生活に今なお残っている「始末」ということばにつながっていることばである。以前取り上げた「えんぴつで奥の細道」ではないが、日本語、日本文化への再着目と共に、日常語の世界に戻る傾向を読み取ることができる。子供の頃、ご飯が少しでも残っていると”もったいない”と怒られたものである。特に、日本語の場合、使われ、磨かれ、新たな意味を付与され、といった時代の変化がことばの中に堆積されている。つまり、ことばは数千年前の世界とつながっており、遡ることができるアナログ感性の世界である。
一方、私達はことばを圧縮し、記号として使ってきた。「マルキュー」(渋谷109)や「セカチュウ」(世界の中心で愛を叫ぶ)、最近では女子高校生のヒット商品「天マス」(天まで届け!マスカラ)まで、ほとんど圧縮されることを想定してネーミングされている。猛スピードでことばをやりとりするには、デジタル化は不可欠である。というより、デジタル技術によって、このスピードが可能となったのだ。既に、死語となっているが、「ドッグイヤー」ということばの如く、時を駆け抜けてきた。以前、「二十歳の老人」というキーワードで若い世代の特徴を指摘したが、情報体験だけであたかも老人の如く達観してしまっている若者についてである。今、コラムニストの天野祐吉さんはブログ(http://blog.so-net.ne.jp/amano)にて若者の「ことば感覚」に触れ、ことばの本来の意味がわからないと嘆くのではなく、時代を色濃く映し出していることばとして、その遊び心、新感性を認めている。例えば、若者からの新解釈・珍解釈として、

「目が肥える」
「ヘロいん」さんの答;ヒアルロン酸の注入しすぎ。成形の失敗。
「チンゲン斎」さんの答;情報の取り込みすぎで肥えた目へのダイエット勧告。

前回「こどもびいる」のネーミングの妙について書いたが、私たちは物を買っているように見えて、実はその物に取り込まれている意味や情報という「物語」を買っている。その表現としての「ことば」は重要であり、ゆとり感、遊び心が必要になっていると思う。ある意味で、ことばはデジタルからアナログへと向かいつつあり、その向かう先は過去という世界もあるが、今感覚もある。デジタル世界は0と1、白と黒、善と悪、好きと嫌い、といった二者択一的世界であるが、0.5もあるよね、これは好きだけれどこの部分はチョット嫌い、とした第三の世界、第三の感性がやっと表舞台に上がってきた。そして、地域には地域固有のことば、文化がある。冒頭の知事選の滋賀県は近江商人発祥の地であり、商人の教え「三方よし」がまだビジネスに生きている土地である。「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方が良しとした近江商人が到達した「商いの精神」で、「一人勝ち」は決してうまくいかないということでもある。このように潮目が変わってきたと言えるのだが、この「もったいない」を今の若者が解釈したとするならば、どんな新解釈、珍解釈がでてくるだろうか。勿論、「もったいない」と同様の運動の一つにLOHASがあることは周知しているが、自前のことばで素直な感性で解釈したらどんな世界が生まれてくるであろうか。ここに、新市場創造の着眼がある。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:22│Comments(0)新市場創造
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