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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年09月13日

ふるさと回帰市場 

 ヒット商品応援団日記No98(毎週2回更新)  2006.9,13,

今までのライフスタイルトレンドの多くは海外、特に米国からのものであった。しかし、今や海外では逆に日本ブームが起きており、健康志向を踏まえた日本食が人気となっていることは周知のことと思う。健康でいうと、長寿県といわれていた沖縄では米軍基地の存在=洋風化が進み、今や肥満度全国NO1(男性)となっている。勿論、50歳以上では長寿県であり、健康のモデルとなっている。つまり、「洋」のライフスタイルからの回帰現象として、少なくとも沖縄のように50歳以上の頃の「和」に注目が集まることとなる。そして、食だけでなく生活の隅々において見直しが始まっていると理解しなければならない。その結果としての回帰現象である。さて、どこにどこまで回帰するのか、またその際どんな物差し(価値観)をもって回帰するのか、これが最大課題であり、誰もが答えを欲しがっているポイントでもある。
以前、冷凍みかんに注目が集まった時、ティーンにとっての「プチ思い出消費」であると指摘したが、今や団塊世代を対象とした「思い出消費」が消費の表舞台に大きく出てきた。例えば、新宿プリンスホテルでは団塊世代を対象としたイベントばかりを集中的に実施している。8月中旬には「給食ランチ」に始まり、10月には従来のディナーショーに代わって「ディスコ&オールディーズナイト」が予定されている。9月23日に行われる「吉田拓郎×かぐや姫」による嬬恋ライブは、4月に売り出されたチケットは即日完売で、9月に新たにスペースを作り売り出したほどの人気である。トヨタセリカに対する根強いフアン、サントリーオールドやキリンラガービール、こうした話題を取り上げてきたが、ある意味で「思い出の再生産消費」というストレートな市場である。

つまり、団塊世代を中心に「記憶を辿る」ことに一斉に走り出したということである。さて、その記憶とは何かである。記憶とは三木成夫さんが「胎児の世界」で書かれているように、本能、野生といった生命記憶のように突如として思い出す記憶もある。もう一つが人生の出来事としての節目の記憶である。幼い頃、両親と行った動物園や行楽地、入学・卒業という節目での仲間との思い出、卒業旅行や夏の林間学校・・・・ライフステージ毎の記憶である。そして、この2つの間にあるのが「教育」であろう。ある人は思い出そうとしても思い出せない記憶が教育であると語っているが、教わったことは今なおなんらかのかたちで出てくる。こうしたことを考えていくと「時代感の共有」という意味でのジェネレーション市場は極めて重要な着眼となってくる。数年前までは、ジェネレーションという市場セグメントより、好き・嫌い、といった好みの世界で個性市場をセグメントしてきた。しかし、こうした市場のセグメントは現在もあるが、おそらくこうした方法以上にジェネレーションによるセグメントが重要な時代を迎えることとなる。こうしたことを考えていくと、「洋」という世界を最初に取り入れたジェネレーションは団塊世代である。生活に、遊びに、特に米国文化を取り入れた世代である。私はこの世代が今後の消費市場の帰趨、方向を決めていくと考えている。団塊というマスマーケット、量として大きいから言うのではない。「洋」を初めて取り入れ、そして見直しし「和」へと回帰し始めている。それはどこまで進むのか、その影響として他の市場へとどう映し出していくのか、団塊世代はそのキー・マーケットとなる。(数年前に作った年表であるが参考にしていただきたい)

ところで記憶を辿る「先」には何があるかである。1ヶ月ほど前「団塊世代の心象風景」で書いたように、幼年期〜少年期に過ごした「場所」へと帰っていく。いわゆる「ふるさと」である。定年後はふるさとで暮らす団塊世代も多くいると思う。ふるさとは場所であるが、ふるさとを想起させるビジネスが更に流行ることと思う。東京は全国各地方〜世界が集まった雑居都市であり、既にその「芽」は出ている。昨年オープンした丸の内のTOKIAにはそうした「ふるさと」が数多く出店している。大正12年創業の立ち飲み居酒屋「赤垣屋」、カレーと言えば「インディアンカレー」、串揚げの「旬's」、これら全て大阪の懐かしい飲食店である。ところで大阪の人が中心顧客かというと、そうではなく、大阪人以外が中心顧客となっている。つまり、東京という市場にとって、大阪という「地方」は新鮮でユニークな存在である。勿論、大阪以外の地方も同様であり、地域活性への大きなビジネスチャンスとなっている。ところで、人間関係における「ふるさと」はやはり学生時代ということになる。既に、小さな同窓会が無数に行われている。そこで飲まれるのはワインではなく、日本酒やウイスキーになる。オヤジ居酒屋も流行るであろうし、もしかしたら「トリスバー」も復活するかもしれない。「ふるさと」は懐かしく、優しい世界である。ポスト団塊世代にとって、そうした「懐古趣味」を保守的でつまらないものと指摘すると思う。同じ立ち飲みでも団塊世代が大阪「赤垣屋」や東京新橋・大井町の立ち飲み屋であるのに対し、ポスト団塊世代は東京恵比寿のショットバーになる。結果として、ジェネレーションという異なる個性文化市場が形成されていくと思う。つまり、それぞれのジェネレーションの記憶の先の「ふるさと」に、ヒット商品が生まれてくる。(続く)
ふるさと回帰市場 

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:13│Comments(0)新市場創造
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