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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年10月22日

都市別荘  

ヒット商品応援団日記No1089(毎週2回更新)  2006.10,22,

六本木ヒルズがオープンした時、盛んにいわれたことの一つに「職住近接」「職住一体」があった。ある意味で「時間」を買うことに他ならない働き方、生活の仕方である。数年前から深夜時間帯のTV視聴率が上がり、また早朝の時間帯では英会話スクールやスポーツジムが盛んである。「24時間化」というキーワードはCVSの成長とパラレルで15年ほど前に流行ったが、今や日常になっている。春夏秋冬、四季という自然時間感覚は、都市生活者にとって既に失ったものであるが、24時間1日及び1週間という時間感覚は社会時間ということもあって、かろうじて残ってはいる。私たちはこうした時間に追われる生活から、ひととき休みを取ってリゾートなどで癒されることとなる。ちなみに、1960年と2000年との睡眠時間を比較すると、40年間で50分も減少している。新しく得た50分の多くは自由時間として使っている。このブログでも様々な視点からライフスタイルを見てきたが、新しい時間の使い方が「都心回帰」によってどう変化していくのか、その芽が出始めている。

既に死語となったことばの一つに「ベッドタウン」がある。団塊世代にとっては通勤ラッシュとともに実感することばであるが、若い世代には意味が分からないと思う。ベッドタウンとは東京でいうと多摩ニュータウンのように通勤に1時間以上かかる郊外にある住居、そのライフスタイルを総称していた。昼間働き、夜寝に帰るという意味のベッドタウンである。こうしたライフスタイルは2000年頃から大きく変わることとなった。これが都心回帰で、都心の地価が下がったことと規制緩和による住居の高層化により、求めやすい住居価格になったことによる。今や、人口流出が激しい多摩ニュータウンでは空室が多いだけでなく、お年寄りもまた多く孤独死などの対策に追われている状況となっている。
さて、こうした都心回帰による新しいライフスタイルを本格的に見せてくれたのが豊洲一帯の再開発である。六本木ヒルズが特定の人たちの職住一体型の街であるのに対し、銀座までわずか10分という豊洲地区は多くの人が購入しえる価格帯の住居が約2万戸予定されており、文字通り開かれた街となる。特に、目の前には東京湾があり、潮風を日常的に感じ取れる海浜リゾートとしての条件も備えている。

ところで、その豊洲の中心となる、「ららぽーと豊洲」へ行き2時間ほど歩いてみた。ある意味で商業はそこに住む人たちの生活未来を映し出すものであり、どんなライフスタイルがそこから見えてくるか興味があったからである。日本初、東京初というショップもあるが、そうした個々のショップについては後日取り上げてみたいと思うが、ここではテナント構成とゾーニングから見えてくるものに絞ってみたい。テナント構成については子育てファミリーをかなり意識しておりギャップキッズに代表されるように価格帯もかなりリーズナブルになっている。当たり前であるが、アパレルファッションもカジュアルなものが中心でスーパーブランドは皆無である。つまり、日常型高頻度使用型のテナントである。また、キッザニアに話題が集まっているが、シネコンや東急ハンズ、スポーツクラブなど休日型テナント・施設が多くなっている。もう一つの大きな特徴は、石川島播磨重工のドッグ跡地の再開発ということから、ドッグを囲むようにオープンテラスの飲食施設が配置されている。いわゆるリゾートホテルのオープンエアーのカフェなどをイメージされたら良いかと思う。植栽が未だ根付いていないため、海浜リゾートの雰囲気は乏しいが、数年先には散策やファミリーの良い遊び場になると思う。つまり、旧来はリゾートと言えば非日常、休日のものであったが、日常の中に、都市の中に、リゾート・休日を取り入れた生活未来を描いていると私は思っている。私は、そんな街づくりコンセプトを「都市別荘」と呼んでみた。NYはマンハッタンと比較する人もいると思うが、数年先には豊洲はTOYOSUという新しいライフスタイルが生まれてくると思う。つまり、モノの豊かさから、時間を楽しむ豊かさへの転換が、このららぽーと豊洲が描くライフスタイルであると思う。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:33│Comments(0)新市場創造
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