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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年11月07日

崩壊のあとに 

    ヒット商品応援団日記No114(毎週2回更新)  2006.11.8.

昨晩深夜文部科学省が緊急の記者会見を行った。いじめに対する抗議の自殺予告についてである。この予告文書がいたずらなのか真実のものなのか、その信憑性については分からない。しかし、文面は教師をはじめとした「大人」といじめを行った当人たちに対するもので、自殺によって解決できるものではないと100も承知であるが、ああここまで来てしまったという感がする。情報の時代は、普通の伝え方ではなかなか伝わらない。だから、こうした自殺予告といった方法を採ったのだろうと思う。ここ数ヶ月、私がブログで書いてきた家族の崩壊、そして学校の崩壊、コミュニティの崩壊、つまり人と人との関係が崩壊しており、その根底にあるのが「個人化社会」「私生活主義」という巨大な問題であった。
実は数年前からこの個人市場だけは数多くのヒット商品が生まれ、活性化されている。いわゆる「おひとりさまマーケット」「ひとりリッチ市場」である。女性の一人旅メニュー、ひとりご飯、一人鍋、こうしたヒット商品を上げるまでもなく、オフィス街の昼食時を覗けば一人で食事をしている女性がいかに多いかわかる筈である。1000万を超えるブログの発展も、米国とは違って、個人間のやりとりという居場所が母体となっている。既に家族は崩壊しており、育児などの相談事といった情報交換メディアとなっていることは周知の通りである。

問題は一番弱い子供とお年寄りである。先日、福岡県遠賀郡岡垣町の「野の葡萄」に代表の小役丸さんを訪ねた。詳しい内容は別の機会にしたいが、その野の葡萄のHP(http://www.budounoki.co.jp/m12_gaiyo/m12_gaiyo_2.htm)に書かれているので是非ご覧いただきたいが、「夢を語り続ける企業でありたい」と話されていた。よく「絵に描いた餅」という言葉があるが、できそうもないことの意味として使われている。しかし、野の葡萄には絵もあり、餅になる前ではあるが種もあった。
「彩り事業」で全国的に有名になった徳島県上勝町と同じように、この岡垣町でもお年寄りは元気に作物を作っていた。岡垣町も地方の山村と同じようにお年寄りが多く、作物を作り続けることが難しくなり、次々と田畑が荒れていったという。そこで、お年寄りにとって一番の問題である集荷について、まず出荷用コンテナを作り、梱包の手間を省き、一軒一軒集荷に回っていく仕組みをつくったという。結果、70歳を超えても畑に出るお年寄りが増え、いきがいをもって働いていると聞いた。小役丸さんは「お年寄りの笑顔がうれしい」と話されていたが、今一番大切なことは「夢」を描き種をまくというビジネスにしていくことだと思う。

もう一つの弱い子供たちであるが、少し前に私は谷川俊太郎さんのことばを書いたが、夜回り先生こと水谷修さんであったらなんて言うのかなと思った。水谷先生の掲示板「春不遠」は今閉鎖され会員制となっているが、そのHPの中でインタビューに答えてつぎのように語っている。

「我々が行う心の相談にはルールがあって。メールの返信は3行、電話は5分、それ以上はダメ。メールでも電話でも、つらい話を聞いて受け入れてしまうのは危険なんです。つらい過去ではなく、明日を語らせなければいけない。過去を蒸し返し、自分のことしか考えられない状態を、僕は“自分の呪縛”と呼んでいます。過去を抱え込む子からいかに過去を切り離すか。外に意識を向けさせることで、救える可能性があるのです。 」(http://jp.getronics.com/today/helpful/mizutani_1.htm

野の葡萄の小役丸さんが「夢」を語るのと、水谷先生が”自分の呪縛”を解き放すために「明日」を語らせることに、どこかでつながっている。多くのものが崩壊していく中、バラバラになった個と個をつなぐもの、それは夢であり、明日であるということだと私は思う。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 22:39│Comments(0)新市場創造
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