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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2006年11月26日

景気と私生活防衛

ヒット商品応援団日記No119(毎週2回更新)  2006.11.26.

先日財政破綻した夕張市の住民説明会が行われ、「全国最低の住民サービス」という一種のリストラ案が提示され紛糾したと報じられた。同時に破綻以降4ヶ月で220名の住民が夕張市から転出したとの付帯報道があった。多くの企業倒産と同じで、粉飾決算が行われていたことは周知の通りで、その責任は重い。政府内では随分前から破綻処理のためのプロジェクトがあり、その準備はできていたのだろう。また、第二、第三の「夕張市」は潜在的には無数にあるが、「世論の動向」を見ながら破綻、国の管理下に置くという形になると思う。多くの崩壊に伴う不安に、もう一つの不安が増えたことになる。ここ数ヶ月、「うわさの法則」や「いざなぎ景気と格差意識」といったテーマで書いてきたが、残念ながら不安心理による「自己防衛市場」は増々大きくなると思う。先日、政府の月例経済報告があった。高度成長期のいざなぎ景気を超え、プラス成長57ヶ月となり順調な回復を見せている、と報じた。但し、個人消費は伸び悩んでいるとも付け加えられた。少し調べれば分かることだが、生活者の景気感の指標(対前年同月成長率)である百貨店売り上げ、スーパー売り上げはマイナス成長、新車の販売台数、国内旅行などの個人消費もマイナス成長である。日本のGDPの6割近くを占める個人消費が伸びない限り、景気感はありえない。

ところで、夕張市の住民220名が既に転出したことは、この時代の一つの象徴のように思える。現代の「逃散」で、住民が領主である行政に対する対抗手段として、他県に逃亡するように見える。江戸時代には、その豊かな経済都市江戸へと集中し、「人返し令」が出され歯止めをかけたが、江戸の町は巨大化することを止めなかった。ある意味で自己防衛的行動であったと思う。勿論、非正規社員が多いが、雇用機会は圧倒的に都市に集中している。結果として、更に都市と地方の格差が加速する。また、今後の日本経済の見通しについては、多くの経済アナリストが言っているように劇的に良くも悪くもならない。例えば、英国経済がグローバル化という改革を行い安定成長へと向かった1992年以降14年間、2〜3%の継続成長を果たしているように、日本も同様のパターンを辿るという指摘である。
よく産業構造の転換と言われているが、その前提は日本の地方であってもグローバル化ビジネスという視点を抜きには成立しないということである。青森のりんご農家がヨーロッパへの輸出を考えて営業したり、既に世界には3000もの日本食レストランがありブームとなっていることは周知の通りである。こうした産業構造の転換にはかなりの時間を必要とする。そうした意味で良い景気感にはまだまだ時間を必要とする。

さて生活者はどうであろうか。その良否は別として、更なる不安を背景に「私生活防衛」が更に加速される。単なる、セキュリティといった安全・安心のための防衛から、生活のあらゆる断面において防衛意識が強く働く。マイブームというキーワードは当たり前となり、個別オーダー的サービスが基本となる。一方、日常生活の無駄・無理削減の創意工夫、知恵やアイディアが更に求められるようになる。自家菜園、手作り料理、手作り生活、こうしたセルフスタイルが生まれてくる。ある意味でホームリサイクルといった考え方から、そのための道具などに注目が集まる。また、手作りといった時間のないOLにとっては、全てが「小単位」の購入となる。これは単なる食の物販といった世界だけでなく、サービスの小単位化も生まれてくる。今流行の岩盤浴やマッサージのような時間サービスばかりでなく、部分サービスのような小単位化が出てくる。そうした、小単位のモノやサービスを賢く組み合わせて生活する、自己防衛的生活へと向かっていく。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:55│Comments(0)新市場創造
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