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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2017年10月29日

日本観光応援団の2回目は「もう一つのクールジャパン」 

ヒット商品応援団日記No690(毎週更新) 2017.10.29.

「観光地化」というキーワードを使ったのは10年前の5月のブログ「変わる観光概念」であった。ちょうど東京ミッドタウンと東京駅新丸ビルがオープンし、連日10数万人の観光客が押し寄せた状況を踏まえてのブログであった。勿論、都市観光の先駆的事例としては1990年代後半の渋谷109で、当時中学生の修学旅行先の一つが東京ディズニーランドと渋谷109であった。従来の観光資源としての自然や歴史文化といったものから、新しい、面白い、珍しい「何か」を求めて都市へ、特に東京に人が集まる現象から「観光地化」というキーワードが生まれた。そして、リーマンショック以降、最大の観光集客があったのは周知の東京の新名所となった東京スカイツリーで連日20万人超の観光客が押し寄せた。そうしたことを踏まえ、次のようにブログに書いた。
『東京タワーを「Always三丁目の夕日」が描いたように、あらゆるものが荒廃した戦後日本の復興のシンボル、夢や希望を託したタワーであったのに対し、東京スカイツリーにはそうした物語はない。あるのは世界一高い634mのタワー、その眺望である。しかし、それでも人が押し寄せるのは東京が複合的テーマパ-ク、観光都市として存在しているからである。
東京に象徴される都市商業を舞台化することによって更に世界中から集客する時代となった。その舞台空間は非日常的でそこに繰り広げられる、新しい、珍しい、面白い、そうした刺激に酔うことになる。』

実はこうした視点から訪日外国人市場に着眼し、「都市観光」をテーマにした「日本観光応援団」をスタートさせた次第である。そして、そのポイントは「複合的テーマパーク」というMD(マーチャンダイジング)にある。どんな魅力であっても、単一では一過性に終わるということである。Facebookの第一回で「銀座の歩き方」としたのも、「表通り」だけでなく「横丁裏通り」という「複合の街」によって観光地化が成立しているということであった。「表通り」だけではダメで、「裏通り」も必要で、その奥行きこそが観光地化には不可欠であるということである。つまり、この奥行きこそが「観光物語」を創るということでもある。

訪日外国人市場とはどんな市場なのかを表しているデータがある。訪日外国人の多くが訪日前に目を通すガイドサイト「トリップアドバイザー2017年」が発表されている。周知のように世界の旅好きの「口コミサイト」であるが、人気の日本のレストランランキングが次のようになっている。
(詳しくはトリップアドバイザー http://tg.tripadvisor.jp/news/
1位;お好み焼き ちとせ(大阪市)
2位;ニーノ (奈良県奈良市/ピザ・パスタ)
3位;クマ カフェ (大阪府大阪市/ピザなど)
4位;お好み焼き 克 (京都府京都市)
5位;韓の台所 カドチカ店 (東京都渋谷区/焼肉)
全て小さな横丁路地裏の店で、隠れた名店ばかりである。私が一昨年から街場の名もない名店に着目すべきとの指摘そのままのランキングとなっている。訪日外国人にとっても、日本人が日常送っている「生活」に興味があるということである。4年ほど前に原宿を取り上げた時のことだが、表参道の表通りから少し路地に入った場所に餃子専門店「東京餃子楼」に行列ができていた。三軒茶屋にある普通に美味しい専門店であるが、原宿にも出店しているのかと少し驚いたが、その行列のほとんどが訪日外国人であったことにさらに驚いたことがあった。当時は単純に訪日外国人も餃子が好きなんだなと思っていたが、まさに街場の餃子店にも興味関心があるということだ。更に言うならば、少し前から「体験旅行」がキーワードとなっているが、最近では地方の農村体験ツアーが始まっている。こうした農村生活を体験してみたいということも、日本人が持っている興味関心事とかなり重なり合っているということである。
ランキングされたレストランを見てもわかると思うが、英語に堪能なスタッフのいる店ばかりでなく、たどたどしい会話であるがファミリーなもてなしの店がほとんどである。都市部の旅館が衰退する中で、いち早く訪日外国人の受け入れを決断した東京谷根千の旅館「澤の屋」と同じである。顧客のことを思い、真摯に向き合う日本人の姿である。訪日外国人も、日本人も、実は「知らない日常生活」「埋もれた生活文化」が山ほどあり、そのことに応える、そんな当たり前のことが問われているのだ。

こうした背景から「日本観光応援団」を立ち上げたわけであるが、第二回の横丁路地裏観光は東京駅地下に広がるフードパークを取り上げてみた。駅ホームの下には日本全国の飲食店やお土産店が出店しており、既に「デパ地下」を超えた存在になっている。トリップアドバイザーのランキングを見てもわかるようにそれらランキング先は団体旅行のレストランではなく、個人旅行先そのものである。それら個人旅行は訪日外国人旅行者の半数を既に超え続けており、その移動のポイントとなっているのが「駅」である。数年前から駅への要望事項の第一位がWiFiの整備で、その意味することはスマホを頼りに旅行するというスタイルが基本になっているからである。
この東京駅地下のフードパークには日本全国の新しい、面白い、珍しい「食」が集積されており、それまでの出張サラリーマンの出がけに買う駅弁やお土産をとうに超えた商業施設となっている。日本人には慣れ親しんだ駅弁「峠の釜飯」なども紹介したが、訪日外国人にとっては見知らぬ地方に出会える「場」でもある。日本人観光客がNYを訪れる時、一度はターミナル駅「グランドセントラル オイスターバー」で食事をしたことと思う。NYらしさを感じる「食」の一つであるが、この東京駅地下のフードパークはそうした日本らしさの一つになりつつある。

そして、東京駅地下を取り上げたもう一つの理由がフードパーク「グランスタ」が表通りであるならば、東海道新幹線ホーム下にある東京駅一番街が横丁路地裏に当てはまり、いわば複合的なテーマパークになっていることにある。常に行列の絶えないラーメンの「六厘舎」を始め、立ち食い寿司の「函館 函太郎」や新業態の「横浜崎陽軒」など「ここだけ」という専門店が集まっている。つまり、日本の食の奥行きをさらに深めているということである。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて4年が経とうとしている。アニメやコミックといった日本が生んだ文化経済の次に、食文化、特に地方文化の登場が待たれている。
そうした東京駅地下のフードパークを訪日外国人向けに「もう一つのクールジャパン」として 下記のFacebook上で公開している。
「日本観光応援団  https://www.facebook.com/profile.php?id=100007701331478
なお、京都の友人が京都の横丁路地裏にある「食」や「祭り」などをFacebookの「ホーム」にてガイド投稿してくれているので是非ご一読ください。(続く)
  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:23Comments(0)新市場創造