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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2016年09月11日

おめでとう、広島カープリーグ優勝 

ヒット商品応援団日記No657(毎週更新) 2016.9.11.

ここ数年、高校野球は観るが、プロ野球はTV観戦を含めほとんど観ない。しかし、広島カープが25年ぶりにリーグ優勝を決めた巨人戦については、広島フアンでも巨人フアンでもない私はNHKの試合中継を最後まで観てしまった。「観てしまった」という表現は、どこかでまだ高校野球のような心を熱くさせてくれる「何か」が残っているのではないかという気がしたからであった。それはプロ野球チームの投手交代に見られるように分業制合理主義に貫かれている戦いに魅力を感じなくなっていたからである。

メジャーリーグの大金を選ばず、好きな広島を選んだ「男・黒田」のおそらく最後のピッチングを観てみたかったこともあるが、逆転勝ちが多い広島というチームはどんなチームなのか、これも観てみたかった。体調が万全でなかったのか、やはり年齢的なものなのかわからないが、それに抗うように必死に懸命に投げる熱い黒田に心が動かされた。そして、初回に先制された広島は4回鈴木と松山のホームランによって逆転する。そして、直後巨人マイコラス投手の死球に激昂した黒田と新井が詰め寄る・・・・・なぜか高校野球のような「必死さ」を感じた。これが野球の本質なのだと思い、実は最後まで観てしまったのである。

周知のように広島カープの選手年俸の総額は巨人の半分である。戦後の広島カープ誕生後も球団経営は苦難の連続で有名な市民による「たる募金」によって乗り越えてきた。そして、新しくなった広島球場においてもこのたる募金が活躍したという。市民球団と言われる所以である。優勝を決めた巨人戦では広島地区の視聴率は50%を超えたと言われている。黒田も新井も好きな広島に戻ってこられたのも、こうした球団・市民があってこそである。
全国の町おこしとしてはB-1グランプリを始め、スポーツではマラソンやサイクリングなど数多くあるが、やはり元祖は広島カープであろう。町おこしといったイベント的なものとしてではなく、広島という地域コミュニティの軸となっている。それは戦後復興のシンボルとしての球団を体験しているシニア世代から、一昨年から話題となっているカープ女子まで、まさに市民総ぐるみによる球団である。そうした意味で、優勝決定戦の主役は誰かといえば、「市民一人ひとり」ということだ。

消費が低迷する中で、7月末には「ポケモン探し」による活性ぐらいしかないとブログで指摘をしたが、ヒット商品という視点に立てば、今回の「広島カープ優勝」は全国的な消費活性には繋がらないが、市民球団、コミュニティスポーツの在り方として多くの示唆を与えてくれている。
さらに、スポーツのジャンルを超えて言うならば、広島のチームメンバーが見せてくれた「必死さ」は、人の心を動かすという今日の心理ビジネスの根幹を成しているということである。必死で作ったラーメンと、仕事だから作るラーメンとでは自ずと味の違いがわかってしまう、そんな時代に生きている。

おめでとう、広島カープ、広島市民の皆さん。

(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:42Comments(0)新市場創造