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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2016年04月18日

大地動乱の時代に

ヒット商品応援団日記No642(毎週更新) 2016.4.18、

大地動乱、おどろおどろしい言葉である。この言葉を耳にしたのは、3.11東日本大震災後数ヶ月経ってからであった。それは一部の地震学者から発せられたものだが、100年ほど眠っていた地球の活動、地震や火山が東日本大震災をきっかけに再び活発化するというものであった。
ところで今回の熊本地震についてだが、14日夜に起きた地震による被害の大きさが明らかになってきた。今なお地震が続いており、被災された人たちの救助の行方を見守るしかないのだが、私もそうであるが、多くの人が5年前の3.11東日本大震災や1995年の阪神淡路大震災を思い浮かべる人は多いと思う。地震以外にも御嶽山の噴火もあり、昨年秋には茨城県常総市には豪雨による大水害もあった。日本人はどのように自然災害と向き合ってきたか、そこに何らかの学習はあったのか、考える人も多いかと思う。

今回の熊本地震について気象庁は記者会見を行っているが、誰もが注視したのは分かっているだけで2000の活断層がどのようなメカニズムで今回熊本で起こったのか、その広がりとこれから続くであろう期間についてであった。そうした発表の中で14日夜の地震を本震と発表しでいたが、16日未明に起きた大きな地震が起きたことからこちらを本震とし、14日の地震を前震とすると訂正発表された。また、過去経験したことがない、前例のない地震であるとも。記者会見では記者からそれまでの発表は誤報ではないのかと質問があったが、地震の大きさから決めているに過ぎず、誰もが知りたがっている「これからどうなるのか」という予知については明確ではなかった。そして、その中でも気象庁始まって以来「前例のない地震」であるとの言葉に驚いた人は多いかと思う。

3.11東日本大震災後、地震・津波研究者は何を研究してきたのか、特に地震予知の方法と精度について。更に防災研究者はどんな対策をこれまで進めてきたのか、自省してきたはずである。そして、予知などできないということから、地震予知連絡会という名称をやめようではないか、という動きもあったと報じられた記憶があった。そして、特に東北海岸部では津波防災の痕跡に触れ、その科学的な解明は既に着手していたという。それは平安時代869年の貞観地震・津波は、今まで地震学で考えられていた地震の規模をはるかに超えた、想定される大地震がいくつも連動して起きる地震だということがわかっていた。その結果として岩手県から福島県にまでおよぶ広範囲で、海岸から1.5~4kmも遡上する大津波が襲ったものであった。そのことが今なお残る祠などに痕跡があることから明らかになったと言われていた。この研究は東北大学やつくば市の産業技術総合研究所やその他の団体が協力によって行われたものである。
あるいは江戸時代初期には現在起こるであろう想定されている南海トラフ地震の場所では既に巨大慶長地震が起きている。つまり過去には多くの大地震を経験してきているということである。気象庁の活動が始まったのは150年ほど前であり、前例が無いのは当たり前である。少し短絡的に言うならば、日本には多くの大地震が起きており、3.11東日本大震災は貞観地震・津波の再来であり、科学的に予想されていたという地震学者もいる。

また京都大学ではGPSを使って全国1000数百カ所の地殻変動のデータを日々解析しており、今回の熊本地震にもその変動データから大きな地殻の「歪み」が現れていたという。予知まではいってはいないが、一つの「予兆」はあったという指摘である。さらに言うならば、3.11東日本大震災後、地震防災を目的に「地震ハザードステーション」が開始され、住んでいる地域がどの程度の地震発生の可能性があるのか確かめられる仕組みも作られて使えるようになった。しかし、今回の熊本地震においてはその地震発生率は極めて低く評価されていたが、こうした評価についても見直されるべきであろう。熊本県民の多くは活断層があることは知っていたが、その活断層が活発化するとはほとんど認識される「情報」にはなってはいなかった。

今回の熊本地震も過去1000年単位での歴史から同じような事象を掘り起こされることになるかと思う。つまり、自然と向き合う科学者、研究者は100年程度の過去ではなく、1000年単位の歴史にも向き合い、地質学や歴史研究という横断的なものとして学び直すことが必要であるということだ。そして、地震や火山という地球活動の「未知」を解明する科学は多様な視座が必要であり、問題なのはそれらから得られた情報をもとにより高い精度の「予兆」を公開して欲しいと思う。生活実感からも、

日本には五風十雨(ごふう じゅうう)という言葉がある。その意味は、五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降る、という農作物には良い湿潤な気候、風土を表す言葉である。豊かな自然を育み、その恵みをいただくと同時に、また恐ろしい災害となる自然の力も受けざるをえないのが日本という国だ。日本の面積は地球上の陸地面積の約0.25%、過去記録されている地球上に起こったM6.0以上の地震の約20%が日本で起きているという。そして、年に数回必ず台風もやってくる。自然を前に、人為が及ばない世界であることを数千年前から続けてきたのが日本という国だ。東日本大震災の時もそうであったが、今回もまたご主人を亡くし呆然と全壊した家を前に、思い出という人生そのものである家を捨てざるを得ないお年寄りの表情は悲しい。
生活実感からも、特に3.11東日本大震災以降、「大地動乱」に入っていると思う。地震火山列島に住む日本人は数千年前からこうした自然と向き合ってきた。そこには災害から身を守る、やりすごす知恵もあった。しかし、それすらできない時もある。そんな時が頻発する「大地動乱」の時代に入ったということだ。
最後になったが、亡くなられた多くの方のご冥福をお祈りいたします。(続く)
  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:00Comments(0)新市場創造