さぽろぐ

ビジネス  |札幌市中央区

ログインヘルプ


インフォメーション


QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

スポンサーリンク

上記の広告は、30日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2011年07月29日

自己防衛市場の更なる拡大

ヒット商品応援団日記No513(毎週更新)   2011.7.29.

福島原発事故による放射能汚染が稲藁を通じ汚染牛肉となって全国へと拡散している。3月の水素爆発による放射能拡散の実態をスピーディによる汚染地域情報として公開すべきであったことがかえすがえす悔やまれる。「安全です」と言い続けてきた政府・東電の情報がいかに嘘であったか、その後の被害の甚大さを考えてもその責務ははかりしれない。初動を間違えるとこのような結果となる。畜産農家も、漁業者も、福島県民も、あるいは全国の消費者も、その被害者である。
ほうれん草といった葉もの野菜から始まり、茨城沖の魚や川魚、神奈川の茶葉・・・・・広がる汚染は稲藁を通じて牛肉まで汚染が広がり、東京のみならず不安は全国へと拡散した。稲藁ばかりでなく、腐葉土や堆肥などからも基準値を超えるセシウムが検出されており、ベランダにまで定着した家庭菜園であるが、そこまで汚染の影響がでてきた。3月のブログにも書いたが、残念だが汚染は空気だけでなく、水、土も汚染されており、それらを通じて全国へと広がりを見せている。
以前、中国での農薬汚染が問題になった時、イトーヨーカドーを始め大手の流通は自主検査体制を整えたが、やっと放射能汚染に対しても安全が担保できる検査体制が整ったようだ。今回の牛肉汚染に対し、畜産農家も地方自治体も独自に全頭検査の実施を志向している。これも全て安全を求める自己防衛策であろう。

一方、消費する側にも以前私が指摘した自己防衛策、停電時に備えた家庭用蓄電池や防災グッズの代用となるアウトドア商品、こうした商品が売れているとブログにも書いた。そして、アウトドア用品ばかりか、震災に備える意味も含めキャンピングカーまでもが売れている。節電対策として衣料を始めとした涼感商品が売れているが、更に夏場を迎え火を使わない食品が売れている。通年夏場は揚げ物やフライものといったお惣菜が売れるのだが、今年は通年以上に売れている。更に、賞味期限の長い日持ちする商品が売れていると言う。ソーセージなどがその代表であるが、従来日配品と言われてきた牛乳やお豆腐にも賞味期限の長い新商品が出てきた。こうした商品以外にも、レトルト食品や缶詰も再認識されている。
つまり、常に鮮度・新しさを追いかけてきた消費は、何かが起きた時の備えにもなる、そうした防衛意識の働いた商品へと消費移行が始まっている。この傾向は2ヶ月程前に起きた富山の焼き肉店のユッケによる食中毒事件も影響している。以前であれば、新しさと変化を求めた鮮度型商品を買い求めたが、今は極力買うのを控えるという傾向が出てきた。節電ばかりか、無駄にならない商品、ストック型商品へと移行し始めているということだ。5〜6年前、未だ十分食べられる食品が年間2000万トン以上も廃棄されている実態に注目が集まったが、恐らく今や四分の一以下の廃棄となっているであろう。

食に顕著に表れた自己防衛市場の主要な変化は以上であるが、6月度の百貨店協会の発表にもあるように、高額商品も動き始め、東京地区の売上では震災後初めて昨年同月比がプラス(0.4%)に転じた。ところで、既に学生を始め夏休みに入ったが、残念ながら茨城といった海辺の行楽地は昨年と比較し激減しているという。一方、都内のプールは大盛況となっている。以前にもブログに書いたが、行楽には不安要素が0であることが大前提である。不安を抱えた行楽等あり得ない。
戦乱の世を終えた江戸時代中期、江戸を中心に五街道が整備され、平和気分が横溢し一大旅ブームが起きた。なかでも、お伊勢参りには多くの庶民が旅をした。特に、1830年のお陰参りには500万人もの人がお参りしたと言われている。当時の日本の人口が3000万人ほどであったから、6人に1人が伊勢に旅をしたことになる。これも不安の無い平和な時代であればこそである。
さて今年の夏休みの過ごし方であるが、都内のホテルはファミリーで盛況となる。また、安全が担保されている沖縄や円高を利用した海外へと向かうであろう。これも自己防衛的夏休みの過ごし方である。

話は戻るが、茨城の海水浴場では勿論のこと放射能汚染については毎日海辺や海水を線量計で測り、その安全性を情報公開しているが、残念ながら安心へと再びクールジャパンへと至るには多くの時間を必要とする。これは風評被害といったことではない。不安は政府・東電への不信の裏返しであり、3.11以降のていたらくさは心理の奥底に強く刻まれている。その不安心理を除去するには、いささか政治的になるが、汚染された土壌と共に汚染された情報をまき散らした現政権をキレイに除染することだ。つまり、汚染を隠し今日に至らせた現政権がいち早く変わることだ。少し前の共同通信の世論調査にも出ていたが、まずは70%もの人が管政権には早く辞めてもらうことと答えている。しかし、野党である自民党への支持率が民主党を超えたとはいえ、圧倒的な支持に向かってはいないことがこのことを明確に示している。新しい政権のもと、福島を始めとした北関東や東北といった地域の汚染除去に徹底して取り組むこと。更には宮城や岩手の遅れに遅れた復旧に取り組んでもらうことだ。
安全を確保するために、生産者も、流通も、地方自治体も独自な検査体制とその情報公開へと進んでいる。生活者も同様に自己防衛消費へと大きく舵をとった。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 11:09Comments(0)新市場創造