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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年05月30日

子ども手当と未来価値

ヒット商品応援団日記No470(毎週2回更新)  2010.5.30.

子ども手当がこの6月から実行されるが、百貨店を始めとした流通業はコーナーを設けたり、13,000円という価格キーワードに関連したお得感を全面に出したMDを行うようである。どの程度消費に向かうか、最近の日経MJによる調査結果もそうであるが、昨年12月に博報堂から発表された調査結果(http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2009/20091217.pdf " target="_blank"> http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2009/20091217.pdf )から大きくかけ離れたものにはならないようである。結論から言うと、博報堂の分析にあるように「教育財源として短期的ではなく、中長期的に使う傾向が見られる」。つまりある程度は消費に回すが、子の未来を考えて貯蓄に回すという極めて賢明な生活者像が浮かび上がって来る。特に、子育て中の専業主婦の場合は生活費に、有職主婦の場合は貯蓄に回す傾向が見られ、使い道については体験型教育に使いたいと答えている。

当たり前であるが、ここ2年ほどの巣ごもり消費傾向と同じ傾向である。例えば、短期的ではなく中長期を見据えた意味ある消費、更には使って終わりの物消費ではなく体験型消費に使うといった具合である。それらは何よりも不確かさばかりの時代の自己防衛策であり、LED電球ではないが新しい合理的価値が見出せるものへの消費と言えよう。もっと明確に言えば、2007年以前のような消費には戻らないということだ。今求められているのは、子どもへの新しい未来価値ということである。

日経MJも子育て主婦は何に使ったら良いのかとまどっている様子であると指摘をしている。つまり、市場には意味ある新しい価値ある商品やサービスが未だ現れてはいないということである。更には、来年度の子ども手当が満額の26,000円になるのか否か分からない。それどころか現政権がこうした政策を実行していけるのか不確かである。そんな不確かなままでは消費どころではないと、多くの子育て主婦は貯蓄へと「取り敢えず」回すこととなる。これが平均的な子育て主婦の心理である。

そして、パラダイムチェンジ(価値観の転換)の時代とは、こうした未来への向き合い方にその価値観が現れて来る。生活者・両親にとって未来とは子そのものであり、子へと消費するとは未来投資に他ならない。モンスターペアレントという言葉に象徴されるような私生活主義から、コミュニティ再生のなかの社会にあっての個人という振り幅のなかで未来への価値観を探しあぐねている。ビジネス現場はといえば、従来の欧米から中国を中心とした東アジア、東南アジアに移り、ビジネス内容も大きく変わっていることを実感している。少し短絡的な言い方になるが、1990年代子どもの育て方の一つとして、米国でのホームステイがブームとなっていた時期があった。それが単純に中国に変わると言うことではないが、仕事の場も、社会という広がりにあってもグローバル世界を見据えた価値観探しとなっている。

今回の子ども手当という官製支援ではあるが、その使われ方、消費内容には生活の未来が映し出されることとなる。しかし、未来価値が定まらない以上、子ども手当の多くは貯蓄へと回る。そして、消費への第一弾となるのが、この夏休み期間の過ごし方である。これは仮説ではあるが、従来のような家族揃っての海外旅行は減少するであろうし、故郷帰省も年々減少していくであろう。それではどこに出かけていくのであろうか、そのヒントはキッザニアにある。周知のようにリアルな社会体験を積ませる教育プログラムであるが、こうした体験型の過ごし方が増えていくと思う。特に、昨年のヒット商品に回帰型が多く見られたように、近代化によって失われた自然や歴史・文化の体験型旅行が出てくるであろう。例えば、米国へのホームスティではなく、国内の山村留学、農家へのホームスティということである。理屈っぽく言えば、子どもの五感体験を通じ、未来を育むということである。

もう一つは、若干唐突に思えるかもしれないが、発売されたiPadを子に買い与える両親も出て来ると思う。どんなアプリが用意されているのか未だ購入していないので分からないが、遊びを入り口にした楽しい知育道具になると思っている。ベストセラー&ロングセラーを続けてきた任天堂DS、Wiiの先へと進んだ情報端末である。読ませたい古典文学を購入する親もいれば、子自らピアノを演奏する場合もあるであろう。
全てが不確かである時代にあって、どんな子どもの未来を描くことに使われるか、巣ごもり生活の先を予感させることだけは確かである。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:53Comments(0)新市場創造