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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年02月23日

今、地方が元気だ

ヒット商品応援団日記No446(毎週2回更新)  2010.2.23.

3日ほど京都・大阪に出かけていた。その目的は京都府南丹市美山で行われた地域フォーラムの基調講演であった。関西方面の人にとってはある程度知られた地域であるが、美山という名前が示しているように美しい山間の町である。どの地方も同じであるが、主産業である林業が衰退し、人口は流出し、高齢化が進んだ地域である。こうした問題が象徴的に進んだことから、恐らく全国でもいち早く住民が主体となって、行政を含め取り組み、そうした意味で地方における村起こし、産業起こしを先駆的に実践してきた地域である。

講演のテーマを「都市生活者の今と市場開発の着眼」としたのだが、どこにでもある田舎をここにしかない田舎にするために、持っている多くの資源・資産を使って、魅力的な固有の田舎になって欲しいとの願いがあった。そして、業界や競争相手を見る前に、「都市生活者の今」を見つめることから始め、「次」に進んでいくためのアイディア、着眼をいくつかの事例を交えて話をさせていただいた。
昭和50年代から始まった村起こしの体験と実績からであろう、更にはそうした結果として10年前には「優秀観光地づくり賞」の金賞に輝いた地域ということから、200名近くの住民の方々が集まり熱心に聞いていただいた。

実はこの基調講演の前に、京都の友人に美山町を2時間半ほど案内してもらった。その実感であるが、見事なネイチャーヴィレッジ、ネイチャーテーマパークになっているなと。それは東京ディズニーランドのマーケティング構図を重ねることができるものであった。勿論、昭和50年代から始まった村起こしであり、東京ディズニーランドが出来るはるか以前からの、住民と行政の手による日本そのもののテーマパークである。テーマパークというと、何か人工的なものと思いがちであるが、美山のそれは自然に寄り添って生活している住民の人達による自然を生かしたテーマパークである。東京ディズニーランドが米国のフォークロアとして物語化されたのに対し、美山は日本のフォークロアとして住む人達の手で継承され磨かれてきたものだ。

その構図とはこうである。美山地区への入り口・ゲートには国道162号線沿いに「ふれあい広場」という農産物等を販売している道の駅がある。東京ディズニーランドがそうであるようにゲートをくぐると両側にお土産物のショップが並んでいるのと同じである。道の駅から美山町に入ると杉や檜の森林が迎えてくれる。冬の真っ最中であるが、とにかく美しい景観である。道路脇には一切の広告物はない。住民の人達の総意で景観が守られている。ほどなくいくつかの集落があり、かやぶきの家が点在している。のどかな山間の農村風景である。それら集落の先に現れたのが文化財保護法による保存地区「かやぶきの里」である。見事なかやぶきの家が集積・保存されていて、東京ディズニーランドの構図から言えば、シンデレラ城にあたる。「かやぶきの里」は美山地区のランドマークということだ。寒い季節にも関わらず、カメラを手にした何名ものマニヤが撮影をしていた。このかやぶきの里の前には清流美山川が流れている。鮎の名釣り場として関西の釣りフアンに知られた川であるが、聞くと利き酒ならぬ「利き鮎大会」で準優勝したという。それだけ豊かな川であるということだ。この美山川の先には「自然文化村」という宿泊施設のある都市生活者との交流拠点がある。ここを拠点に、修学旅行生の農作業体験など数多くのイベントメニューが実施されている。東京ディズニーランドにおけるアトラクションと同じである。

こうした実感をもとに、基調講演とその後のパネルディスカッションをさせていただいた。東京ディズニーランドの収入の70数%が物販によるものであることを踏まえ、もっともっと特産品を作り、このネイチャーヴィレッジを更に磨くために儲けてくださいと申し上げた。そして、資源を使っていない、もったいないいくつかのポイントを指摘をさせていただいた。会場からも多くの質問が出て良い地域フォーラムであったと思う。そして、何よりも主体はそこに住む人達であり、特にお年寄りが主役になっていることであった。お年寄りが元気であることによって、コミュニティの元気が生まれ、そんな人達が住む日本の原点とも言える町に人は訪れる。結果、若い家族のIターンも生まれる。私の講演も少しの元気の素になったら幸いである。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:38Comments(0)新市場創造