さぽろぐ

ビジネス  |札幌市中央区

ログインヘルプ


インフォメーション


QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

2010年02月03日

消費の砂漠化

ヒット商品応援団日記No441(毎週2回更新)  2010.2.3.

2/1のNHK「クローズドアップ現代」は「フードデザート」がテーマであった。「フードデザート」とは食の砂漠化との意味で、生鮮食品の買い物に行けない高齢者の食が缶詰やレトルト食品といった栄養面においても偏った食生活になっている、そんな特集であった。都市に生活している人間には分かりづらいが、地方都市の中心部ですら商店街はシャッター通り化し、過疎地の山間には商店すらない。いわゆる限界集落に生活する高齢者の実態の特集であった。鉄道やバスといった公共交通が赤字のため廃止されていくなかで、運転免許を持たない、ましてやPCなど使えない高齢者にとって、買い物ができない孤立した生活となっている。以前、ブログにも取り上げた鹿児島阿久根市のAZスーパーセンターのように、1回100円の買い物バスを運行し、高齢者にもやさしく、ビジネスとしても成功しているところもあるが、ほとんどの地方都市は「フードデザート」状態である。

一方、同じ2/1の日経MJにはインターネットを駆使した先進流通である「ネットプライスドットコム」のインタビュー記事が掲載されていた。周知のように、安く手に入るギャザリング(共同購入)や中古品の宅配買い取りといった時代変化に即応したビジネス企業である。若い世代、ネット活用世代にとっては極めて便利なネット流通である。
この記事を読みながら、都市と地方の経済格差ばかりか、情報格差もここまできたのかという感がした。食の砂漠化と共に、情報の砂漠化である。
私は地方に出かける場合、ほとんどの方と同じように航空券やホテルはPCを使って予約&決済している。昨年12月頃から、航空運賃やホテルなどのバーゲンメールがひっきりなしに届く。しかし、どれだけの人がバーゲンメールに誘われて旅行するだろうか。昨年春頃から、消費現場では目的買いのみで、ついで買いはほとんどしなくなっている。こうしたメールも単なる砂漠に吹き荒れる砂嵐のように思えて仕方がない。

ところで、今日は2月3日節分の日である。豆まきといった行事は家庭ではほとんど行われず、恵方巻きを食べる日となった。10日後にはバレンタインデーとなるが、小売り現場は恵方巻き一色である。義理チョコからミーギフトへ、今年あたりは友チョコや逆チョコといった変化を持ち込んだバレンタインデーであるが、もはやそんな余裕、いや空気感は全くない。手頃な価格で恵方巻きを食べた方が実質的で、百貨店からコンビニまで、恵方巻きのセール一色である。これが素直な消費現場の実態である。

この恵方巻きは節分の日に食べると縁起が良いとされるが、その発祥には諸説あり、そのいわれを物語にして大阪の海苔問屋が仕掛けた販促キャンペーンが起源だ。バレンタインデーの起源も諸説あるようだが、日本においてはチョコレートメーカーが販促として仕掛けたものである。こうした記念日は別に悪いことではなく、業界全体が「この時」という拡販時期を設定し、各社が競ってコトを起こすキャンペーンである。他にも、成功した事例では「孫の日」があるが、これも百貨店業界が仕掛けた日である。

しかし、こうした記念日という売り出し方も何か空々しく思えるほどの空気感となっている。ハレ(非日常)とケ(日常)という言い方がある。ハレの日ぐらいは少し華やいで何かをしよう、そんな気持ちになるものであるが、残念ながらそんな気が起きないほどである。せいぜい恵方巻きを丸かじりして、満腹感に浸りたい、そんな感じとなっている。
今、ショウガを使って身体を暖める食がブームとなっているが、これもお金をかけずに寒い冬を乗り越える消費氷河期ならではの知恵であろう。本来であれば、単なる冷え対策としてだけではなく、低体温症の根本対策としてマクロビオテクスなどが注目されてしかるべきである。しかし、そこまでも行かない、いや行けないほどの消費氷河期、いや無味乾燥な消費の砂漠化が始まっている。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:24Comments(1)新市場創造