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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。

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2009年05月31日

自由時間に見る価値観変化

ヒット商品応援団日記No371(毎週2回更新)  2009.5.31.

前回、東京ディズニーリゾートの集客数が減少に転じた時、消費氷河期へと本格的に入って行くと書いた。私の理解としては、東京ディズニーリゾートは「プロが提供するエンターテイメント」のシンボル的存在であり、家族が過ごす自由時間の遊びの中で他に変え難い固有の世界であると考えている。つまり、家族の日常的な遊び費用や食費などを減らしてでも、東京ディズニーリゾートには行こうという価値を認めたプロ消費の意味合いとしてである。あるいは数年前に閉園に追い込まれたが、今や再生し大人気の北海道の旭山動物園でも同じである。東京ディズニーリゾートがプロによる高度に創られた人工的なエンターテイメント世界であるのに対し、旭山動物園はプロの目によって着眼された動物の行動展示という自然のエンターテイメントであって、自由時間にお金をどう使うかの違いがあるだけである。

消費変化を俯瞰して見ていくには、まず時間に対する価値意識の変化を見ていくことが重要である。例えば、コンビニという業態は24時間営業、いつ行っても買う事ができる便利さにもお金を支払っている。仕事に追われると良く言うが、就業時間はその生産性を上げることに企業も個人も努力をしている。時間は限られており、その価値にお金を支払う訳である。まるで高速料金を支払って高速道路を走っているかのような社会に私たちは生活している。省時間(=小時間)という便利さに価値を見出してきた訳だが、コンビニも値下げせざるをえない情況のように、時間価値意識にも変化が見え始めた。

仮説はこうである。ここ10数年、生活時間を切り詰め、あらゆる生活の省時間化が進められてきた。その象徴例が冷凍食品の常態化であり、解凍調理の電子レンジの100%近い普及であった。あるいは家族一緒の外食であった。しかし、今や切り詰めるのは時間ではなく、生活費、経済に向かっている。省時間から省マネーへの転換である。省マネーによって起きたのが内食化である。そして、食において大きな支持を得たのが「わけあり商品」であり、今やお弁当持参の時代に向かっている。3年ほど前のブログに、今やおふくろの味はコンビニ弁当や学校給食になってしまったと書いたが、おふくろの味が試される時代となった。

ところで、従来は省時間によって得られた自由時間の多くは「外」へと向かっていた。その象徴が海外旅行や東京ディズニーリゾートであった。そして、渡航歴の多い人ほど日本から遠い国へと出かけていた。しかも、単なる名所観光ではない明確な渡航目的・テーマを持ってであった。しかし、昨年夏のお盆休みは原油高によって海外旅行者数は前年を割り、昨年末は同様の傾向と共にウオン安で近場の韓国が人気となった。国内旅行はと言うと、ダントツ京都人気で表通りから裏路地まで人で溢れ返っている。
つまり、自由時間の過ごし方は省マネーを背景に、遠くから近場へ、外から内へと明確に変化してきた。その近場で内で遊ぶ最大のヒット商品があの任天堂のWiiであり、安近短のシンボル的商品と言えよう。

自由時間はその言葉通り、自由ということから生活者の価値観がストレートに行動に出る世界である。つまり、素の世界、本音の世界、勿論好みの世界が出るということである。どのように自由時間を使うかによって、巣ごもり状態なのか、冬眠へと向かう氷河期に至ったのかライフスタイルの変化が分かる。そうした意味で東京ディズニーリゾートの集客数の変化に生活者のライフスタイル変化が表れるということである。勿論、日常的にどうであるかということも重要である。しかし、単純化していうと、「他に変え難い固有の世界」を中止もしくは延期せざるを得ない自由時間があるとすれば、消費氷河期に入ったと言わざるを得ない。ある意味、生活経営の深刻さの表現としてあるということだ。

もう一つの指標が子供への教育投資の低下である。最近の家計調査のデータを集計してはいないが、昨年の夏から秋にかけては大きな支出低下は起きてはいなかった。見えない不安の時代にあって、唯一未来を感じ、お金を使うのが子供への教育である。生活保護世帯の増加と共に、高校への未就学生徒が増えていると聞く。未来を感じられない生活こそ、実は氷河期ということだ。
ところで、私の住むマンションの隣に公園がある。ここ1年ほど前から、土日には父子がキャッチボールやサッカーボールで遊ぶ光景を目にするようになった。お金を使わない遊びもまた素敵である。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:21Comments(0)新市場創造